どうも。僕です。
ふと気が付けばもう師走。
残りひと月ほどとなった2016年、みなさまにおかれましてはどのような年だったでしょうか。
我々ガンズファンにとっては、本当に生半可な言葉では言い表せないほどのビッグイヤーになりましたね。
去年から噂はちらほら出ていて、だんだんと外堀が埋まってきた感はあったものの、やはり年明けにスラッシュ&ダフの復帰が発表された時は「ついに歴史が動いた!」と震えました。
リユニオンが発表された夜、渋谷のタコベル(タコス専門店。アクセルの大好物)に集まり、ガンズファンのみなさんとお祝いをしたのですが、「アクセル、こんなの食ってて痩せる訳がねえ…」と心配になるような見事なまでの高カロリー飯。
ライザップをやれとは言わないけれど、せめてタコベルは月1くらいにしておけと言いたい。
莫大な興行収入を叩き出しながらアメリカ大陸を熱狂の渦に叩き込んだ『Not In This Lifetime』ツアー。
年明けにはいよいよ日本上陸です。
この瞬間を何年待ったことでしょう。
アクセルとスラッシュ、そしてダフが並び立つ光景を観た後、ついに夢が叶ったと燃え尽きてしまうのか、はたまた更にガンズ熱が高まるのか。
自分がどのような心持ちになるのかまったく想像できません。
オープニングのIt's So Easyで絶命昇天しないことを祈るばかりです。
あと、2002年~2012年のガンズ来日公演を「ガンズ?スラッシュいないんしょ?観る価値無し」などとほざいてスルーしていた方々。
今回はどうするのでしょうか。
などと底意地の悪いことを言っておりますが、世紀のツアーなのでひとりでも多くのガンズファンに集まっていただきたい。
観れるはずのなかったものが観れるなんて素敵じゃないですか。
そんな具合で来日に向けてガンズ熱が高まっている今日この頃。
「今会いに行けるGuns N' Roses」(勝手に命名)ことGunmen Showersさん(通称 ガンシャ)のライヴを観に行ってきました。
今年最後のライヴとなるワンマン公演。
会場は日本屈指のお洒落タウン代官山のライブハウス『晴れたら空に豆まいて』。
だっさいコートの下にGuns N' Roses公式ファンクラブNightrainのだっさいティーシャーツを着込み、コンプレックスで濁りきった眼をしながら代官山の駅に降り立ってやりましたよ。
ライヴに先立ちまして、いかにも代官山という雰囲気の洒落た和菓子屋さんで、とある集まりが。
約1時間半に渡ってガンズ話に華を咲かせました。
詳細については控えますが、非常に貴重な体験をさせていただきました。
ちなみに団子が美味しかったです。焼きたての団子の柔らかさ、ヤヴァイ。
和菓子屋さんを出て、友人のくりこさん(Master Of 恫喝)と合流。
開場の17時半までは今しばらく時間があるため、文筆家の志村つくねさんもお誘いして近くのお店でビールなぞを飲むことに。
とはいえ、持っている衣類の8割がバンドティーシャーツというわたくし。
こんなお洒落タウンで気軽に入れるお店を知っている訳がありません。
しかし、そこはさすがのくりこさん。
代官山に似つかわしくないビールの安いお店をすでにリサーチ済みでした。
出来る女です。
ある種の障害レベルで方向音痴のくりこさん。
Googleマップという文明の利器を凝視しながら移動開始です。
この人は地図があっても当たり前のように迷うので、「方向合ってる?」「マップ上の丸印動いてる?」としつこいくらいに確認して万全を期するわたくし。
この冷たい11月の雨の中、わたくしとくりこさんだけならまだしも、志村さんまで路頭に迷わせてしまう訳にはいきません。
Googleマップを起動させたスマホを片手に、何かに導かれるように代官山の街を我が物顔で進んで行くくりこさん。
「次の大きい通りを左折だよ」と目的地が高いことを我々に告げます。
が、いつまで経ってもその大きい通りが見えてきません。
非常に嫌な予感がします。
「大丈夫?現在位置わかってるんだよね?」と訊くと…
「あっ!反対側に来ちゃった!」
なんなんですか、この役立たずの女はこの驚異の方向音痴ぶりは。
気が付いたら柔道の払い腰の要領でくりこさんを代官山の往来に打ち捨てておりました。
中島みゆきの名曲『わかれうた』の歌詞の如く、路に倒れて誰かの名を呼び続けるくりこさん。
志村さん、その節は本当に申し訳ありませんでした。
このような方向音痴の愚か者にこれ以上頼るわけにはいきません。
仕方がないので近くでビールを飲めそうなお店を探すことに。
もちろん代官山などというお洒落タウンに土地勘は皆無なので、来た道を戻りつつ、それらしいお店を物色します。
しかし、カスみたいなデザインのバンドティーシャーツに身を包んだ我々には敷居の高いお店ばかりで、店のドアを開けた瞬間にテクノカットのボーイに猛烈な前蹴りの連打で追い出されそうな予感しかしません。
くりこさんも「こんなお洒落な建物は手抜き工事で倒壊して欲しい」などという意味の呪詛を繰り返し呟いている始末。
くりこさんの方向音痴のせいでビール1杯飲めないのかよ、と非常に悲しい心持ちとなり、改めて払い腰で投げ捨てようかと思ったその刹那、華やかな表通りからは隔絶されたような昔ながらの横道にたこ焼き屋があるのを発見。
まさに砂漠の中のオアシス。
まさにしらす干しの中の小さい蟹。
ビールを飲みたい一心でたこ焼き屋へ駆け寄る我々。
こんな素敵なスポットがあるなんて代官山も捨てたもんじゃありません。
が、その店構えを目にして愕然。
なんと店の中に座席は存在せず、注文カウンターの前にテーブルと椅子がいくつか並べてあるという野ざらし営業スタイル。
天気の良い昼下がりならいいのでしょうが、冷たい雨の降りしきる夕刻にふさわしい雰囲気ではなさそうです。
「馬鹿じゃないんだから、こんな寒いのに野外は無理だよっ!」
と吐き捨てて立ち去ろうとしたのですが、冷たい雨の降りしきる夕刻に野外でたこ焼きを食べている気の毒なフォロワーさんを発見。
前言を速やかに撤回いたしました。
どうやらお洒落なお店ばかりで気後れしてしまい、ここに腰を落ち着けるしか選択肢が無かった模様。
笑顔で挨拶してくれましたが、その心の中では血の涙を流しているのが見えました。
代官山、本当に罪深い街です。
その後、ビールを飲ませてくれるお店(屋根付き)を見つけ、2杯ほど補給することに成功。
やはりロック話をしながら飲むビールの味は格別です。
大阪出身の志村さんから大阪城ホールで観るライヴの楽しさについてご教示いただき、好きなバンドの大阪城ホール公演を観に行くという新たな目標が生まれました。
Aerosmithあたりで達成できたら嬉しいナーなどと思っております。
そうこうするうちに開場時刻を回ったので、ビールを飲み干して『晴れたら空に豆まいて』へ。
初めて来る会場だったのですが、フロア後方にお座敷が2箇所あるなど一風変わった造りでした。
詳しい方がおっしゃるには、普段はシンガーソングライター系のアーティストなどで演奏している会場だそうで、ガンシャさんのようなハードロックバンドが出演するのは珍しいんだとか。
少し順番が前後してしまいましたが、チケット代金を支払って会場内に入ると、ピクセル(いわゆるドット絵)で描かれたアクセル、スラッシュ、ダフが我々を出迎えてくれました。
見てください、この可愛さを。
作者はピクセルアーティストtakekiyoさん。
Twitterをやっている方であれば一度は目にしたことがあるかもしれませんが、ガンズに限らず様々なミュージシャンを可愛らしくピクセル化した作品を発表されている天才アーティストです。
ガンズの『Appetite For Destruction』のスカルクロスをピクセル化したティーシャーツはまさに珠玉の出来。もう1枚買っておけばよかったと思うほど気に入っております。
takekiyoさんご本人はとっても気さくな方で、わたくしのTwitterアイコンがアクセル&スラッシュに挟まれているというデザインのポストカードをプレゼントしてくださいました。
ありがとうございました。大切にします。
takekiyoさんのガンズ愛溢れるアートを堪能した後は、今年『ガンズ・アンド・ローゼズとの30年』を出版された音楽ライター増田勇一氏によるDJタイム。
言わずと知れた日本におけるガンズの第一人者であります。
あのアクセル・ローズにインタビューをした数少ないジャーナリストといえば、その凄さが伝わるのではないでしょうか。
わたくしは増田さんが編集長だった時代の『Music Life』を読んで青春を過ごした人間ですので、2年ほど前に某ロックバーで初めてお会いした時は本当に感激いたしました。
その尊敬する増田さんと敬愛するGunmen Showersのコラボレーション。
どう考えても素敵な夜になる予感しかいたしません。
(写真:このままtrfに加入できそうなDJスタイルを披露する増田さん)
バーカウンターでビールをもらい、フロア前方のテーブル席を確保。
テーブルにはキャンドルの炎が揺らめき、非常に良い雰囲気であります。
スペシャルゲストDJ増田さんの1曲目は…
Nine Inch NailsのHead Like A Hole!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
好みすぎる選曲にテンション上がりまくる我々。
自然と身体が揺れ、口は知らぬ間に歌詞を追っていました。
その後もJane's AddicitonやAlice In Chainsなどの名曲オンパレード。
詳しい選曲については増田さんご本人がアップをしてくださっているので、そちらをご参照ください。
すでにお気付きかと思いますが、ガンズファンであればその関係性を指摘できるバンドや楽曲が並んでおります。
中でも増田さんが「最近のバンドに聴こえなかったでしょ?」としてやったりだったのが、UK出身の新世代グラムロックバンドThe Struts。
リユニオンガンズの北米ツアーでオープニングバンドに抜擢された期待の若手バンドであります。
来年2月には初となる日本ツアーを控えている彼ら。
のちのち「ストラッツをあんな小さな会場で観れたなんて奇跡だよね!」というレベルのバンドに成長するポテンシャルを間違いなく秘めているので、気になっている方は是非とも足を運んでみてください。
増田さんのDJセットラストはAC/DCのSin City。
曲が終わると場内の照明が落ち、ステージを覆い隠していたスクリーンが上昇して行きます。
ステージ上のメンバー達はすでに準備万端。
ベースのDuffyさんが勢い良く刻み始めたベースラインは…
Right Next Door To Hell!!!!!!
本家ガンズでは限られた時期にしか演奏されていない曲ですが、ファンの間では人気の高いスピードチューン。
ここで一気に勢い付いたガンシャさんは、Welcome To The Jungleを皮切りに『Appetite For Destruction』ナンバー5連発。
一見さんの多いイベントなどで ガンシャさんが良く使う手法ですが、これをワンマンでやると更に場内が熱くなることがよくわかりました。
Out Ta Get Meの前には「この曲を君達を抑えつけようとする連中に捧げるよ。君達にどう生きるべきか、何を着るべきか、どう話すべきか、口にしていい事と悪い事、そんなのを教えてくれる連中さ。個人的にはそんなのはちっとも必要としてないね。そんなクソみたいな連中は俺の人生には不要なんだよ」というアクセルの神MCも披露。
この神MCを見たい方は88年NY Ritz公演を是非。
You're CrazyはNaxlさんの「これでもくらえ!」でスタート。
この方は本当にアクセルを良く研究しているナーと感心します。
『Appetite For Destruction』5連発の後は、92年の東京ドーム公演でアクセルがやったのと同じ、「新しいビデオの曲だ」というMCに導かれてDon't Cryへ。
Izzlyさんのイントロアルペジオで場内がメロウな雰囲気に一変。
最後のパートでスタジオ版のように音を伸ばすNaxlさんも良かったナー。
Pretty Tied UpとMy Michelleで再びハードにロックした後は、Gunmen Showers恒例のお楽しみコーナーへ。
そう。DuffyさんのMCの時間です。
「はいっ。そういったわけでございましてね!」というお馴染みのフレーズを枕詞に、某携帯電話会社への恨みつらみを悲痛な表情で語るDuffyさん。
テレビCMでは、加入者には牛丼やらアイスクリームやらの無料クーポンが贈呈されるなどと景気の良いことを言っておりますが、Duffyさんのところには一度もメールが届いたことが無いとのこと。
ギターのGaslashさんがアイスをもらったことを知ると、「友達やめようかな…」と悲しげに吐き捨てるなどバンド存続の危機を迎えましたが、その怒りは疾走パンクチューンAttitudeを絶唱して解消することに。
お前の言うことなんて信じられねえよ
お前がそんな態度のヤツだからさ
まさにDuffyさんの心境そのものでしょう。
某白い犬の携帯電話会社さん、Duffyさんにも無料クーポン送ってあげてください。
よろしくお願いいたします。
そしてGaslashさんのスパニッシュソロ、それを盛り立てるMadlerさんのダイナミックなドラミングが見せ場のDouble Talkin' Jiveを経て、陰鬱なアルペジオの調べと共にCivil Warがスタート。
この流れは92年の東京ドームを意識したもので、ガンシャさんメンバー的にも思い入れがあるとのこと。
つい先日、メキシコにて幕を閉じたガンズのラテンアメリカツアーにおいて、この曲の歌詞を変えてトランプ次期アメリカ大統領を非難するという場面があったようですが、世界情勢の緊迫度が増す中、この曲がオバマ政権時代以上にリアルに響く世の中がやって来ないことを祈るばかりです。
戦争の欺瞞を鋭く糾弾するCivil Warに続くのは、『Appetite For Destruction』の最後を飾るダンスチューンRocket Queen。
重心の低いグルーヴィーな演奏でオーディエンスを横に揺らした後は、一気に希望へ満ちたパートへと展開。
Naxlさんのアクションに合わせ、客席でも無数の拳が突き上げられます。
最後のパートを見事に歌い上げ、Gunmen Showers第一部終了。
この日のライヴは2部構成となっており、第2部の開幕までは再び増田さんのDJタイム。
ハード系の曲で攻め立てたオープニングのDJとは趣向を変え、今度はメロウな曲が多めのチョイスとなっておりました。
しかし、ガンズと関連のある楽曲またはバンドという点は一貫しており、ただのBGMとして聴き流すのは不可能なプレイリスト。
Pink FloydのWish You Were Hereは名曲だナー、と改めて思いました。
先月、感動的な来日公演を終えたばかりのManic Street Preachersの大名曲Motorcycle Emptinessで血の涙を流し、息も絶え絶えとなった頃にGunmen Showers第2部の幕開け。
第1部と同じように白いスクリーンがゆっくりと上がり、徐々にステージの様子が見えてきます。
が、先ほどと何かが明らかに違う。
ステージ中央に鎮座した黒光りする巨大な物体は…
グランドピアノ!!!!!!!!!!!
そして、その前に座るのはNaxlさん。
この状況を見れば、どんなに頭が察しが悪い人でも、これから何が行われようとしているのか理解できるでしょう。
メンバー全員が一様に緊張の表情を浮かべる中、Naxlさんが静かにピアノを弾き始めます。
聴こえて来たのは、我々ガンズファンであれば最初の一音でそれと分かるあの旋律…
そう。アクセルの代名詞とも言えるピアノバラードの傑作November Rain。
ピアノを弾きながらもテンポや音程をキープして見事に歌い上げるNaxlさん、Dizzy Reedのストリングスパートは再現できないため、フレーズなどを工夫しながら曲を盛り立てるGaslashさん&Izzlyさんのギターチーム、あの印象的なバックコーラスを巧みに再現するDuffyさん、あのひたすらに繰り返されるフィルを真剣な表情で叩き続けるMadlerさん。
あの大作を5人が必死になって再現しようとする姿に感動を禁じ得ませんでした。
アンプで増幅されたバンドサウンドの中に生ピアノが一台。
これはさぞかしアンサンブル的に難しかったのではないでしょうか。
ふと横を見ると、著名ガナー白玉さんは見事なまでの号泣。
いや。これは泣いていいやつですよ。
むしろ泣いてなかったら「白玉さん、体調悪い?」と心配になるレベルです。
ガンズ愛溢れる演奏によって溢れ出す美しい涙。
ハンカチをお貸し出来なかったことだけが心残りであります。
奇しくも外は冷たい11月の雨。
そんな日にNovember Rainを初披露するなんて運命的な何かを感じてしまいます。
日本ハムファイターズ斎藤佑樹投手(出版社の社長からポルシェを借りたりする人)流に言えば「持ってる」ということになるでしょうか。
天候をも味方につけてしまうバンド。それがGunmen Showers。
曲もいよいよ終盤。
お立ち台に昇り、あのロック史に残るギターソロを披露するGaslashさんのかっこよかったこと。
スラッシュを志す者として長年憧れ続けて来た瞬間だったのではないでしょうか。
あの姿、来年のGaslash家の年賀状にしても問題の無い素晴らしさだったと思います。
最後のEverybody needs somebodyパートも見事に決め、Gunmen ShowersによるNovember Rain初演は無事に終了。
場内に沸き起こった拍手の嵐がやってのけたことの凄さを物語っていました。
まさかガンシャのライヴでNovember Rain聴けると思っていなかったし、さらに言うなら、ライヴハウスでグランドピアノ使ったNovember Rain聴けるなんて予想の斜め上を行きすぎですよ。
ライヴハウスで聴けるような曲じゃないでしょう。
Gaslashさんが「今回は絶対に観に来て欲しい」とTwitterで繰り返し発信していた意味がようやくわかった瞬間でした。
大きな挑戦が終わり、肩の荷を下ろしたGunmen Showersは終盤に向けてさらにアクセルを踏み込んでいきます。
誰もが愛してやまない大ヒット曲Sweet Child O' Mineのサビでは誰もが歌詞を口ずさみ、NaxlさんとDuffyさんのデュエットが目玉のSo Fineでは、ダフならではの“男の世界”を思う存分堪能。
イルカおじさんことマット・ソーラムがその本領を発揮するハードロックナンバーYou Could Be Mineですが、ガンシャのライヴではMadlerさんがポップコーンスタイルで叩きまくるのが面白い。
本家スティーヴン・アドラーが同曲を練習している動画がインターネットに投稿され、ファンの間で大いに話題となりましたが、結局ラテンアメリカツアーでは一度も披露されませんでした。
来年の日本公演でもしかしたら…?
You Could Be Mineの余韻が色濃く残る中、Gaslashさんが弾き始めたコードストロークの響きにより、我々はこの楽しい時間に終わりが迫っていることを悟らされます。
ガンズ不動の最終曲Paradise City。
泣いても笑ってもこれで最後。
ここが最後の暴れどころです。
頭を振らずにはいられないギターリフが繰り返され、興奮が頂点に達したところで鳴り響くNaxlさんのホイッスル。
それを合図として、無数の女性用下着がフロアのあちこちからステージに向かって投げ込まれます。
Gunmen Showersライヴにおける定番のお約束。
女性が投げるから意味があると思い、いつも遠慮しておりますが、何かの機会に一度くらい投げてみたいナーなどと思っております。
その桃源郷的なタイトルとは裏腹に、後半で一気に暴走するParadise City。
暴走列車から振り落とされぬように、必死に歌いながら拳を突き上げるオーディエンス。
Gunmen Showersのメンバーとお話しする時、全員が口を揃えて言うのが「ガンズの曲ってさ、本当にいいんだよね!」というある意味シンプルすぎる意見なのだけれど、その意見に全面的に賛同するしかない光景が繰り広げられていました。
ロックファンであれば問答無用で大暴れするしかない馬鹿みたいにかっこいい楽曲。
そして、それをかっこよく演奏できるロックバンド。
その組み合わせがあれば、もう他には何もいらないのではないだろうか。
「あんた単純すぎるよ!」と言われそうだけれど、そう思ってしまったのだから仕方ないでしょう。
至福の時間でございました。
Paradise Cityが終わり、ガンズファン的には「いやー。最高だったねー!」と会場を後にするところですが、この日のオーディエンスはどこまでも貪欲でした。
すぐさま沸き起こるアンコールの声。
その声に応え、再びステージに舞い戻るGunmen Showersの面々。
嬉しいことにまだまだ宴は終わらないようです。
Gaslashさんの柄にもない「ヘーイ!ファッカーズ」の雄叫びからのMadlerさんのドラム乱打。
『GNR Lies』オープニングの再現ということは…
Reckless Life!!!!!!!!!!!!!!!
個人的に本当に大好きな曲で、初期ガンズのかっこよさがすべて詰まっていると言っても過言ではないほど、音楽的にも歌詞的にも完璧な一曲。
今のガンズで演奏される可能性があるとは思えないので、Reckless Lifeをレパートリーに入れてくれたGunmen Showersに感謝する日々です。
なんならLiesのA面完全再現してくれてもいいんですよ…。
疾走チューンReckless Lifeに続くのは、ガラリと雰囲気が変わって、聖なる祈りのようなKnockin' On Heaven's Door。
ガンズのライヴでは定番曲ですが、「あ。そういえば演ってなかったね」と思ってしまったのは、それまでの演奏内容が濃すぎたせいでしょうか。
ついでのような感じで恐縮ですが、ボブ・ディランさん、ノーベル文学賞受賞おめでとうございます。
わたくしはシニカルなLike A Roling Stoneが好きです。
などとどうでもいいことで文字数を使っておりますが、この日のHeaven's Doorはコール&レスポンスもバッチリ。
ガンシャTの着用率が高いことからも薄々気付いておりましたが、素敵なお客さんが集まっているナーと実感いたしました。
来年の日本公演、アクセルに「南米よりすげえな」と言わせるくらいの合唱を響かせてやりましょう。
最後は『Appetite For Destruction』の人気曲Nightrainで我々を終着駅まで連れ去ってくれます。
これはもうオープニングでもエンディングでも盛り上がる鉄板曲。
余談ですが、ガンズのライヴ盤『Live Era』に収録されているNightrainはまさに珠玉ですよ。
アウトロで聴けるスラッシュのギターソロに挑みかかるようにヴォーカルをかぶせていくアクセル。
あんな光景が来日公演でも観れたら吐血しながら静かに息を引き取る所存です。
Nightrain尊い。
ガンシャさんがステージを去ると、再び増田さんのDJにバトンタッチ。
QueenのSail Away Sweet Sisterが流れる中、みんなで記念撮影したのは感動的な光景でした。
ガンズを30年間書き続けて来た増田さんとガンズに1歩でも近付くために10年間努力を続けて来たGunmen Showersが同じ舞台に。
きっとバンドを始めた時には想像すらしなかった光景でしょう。
Gunmen Showersの歩みに微塵の貢献もしていないわたくしが言うのもおこがましいですが、本当に「おめでとうございます!」と絶叫したい瞬間でした。
終演後はアフターパーティー。
メンバーのみなさんは一様に興奮した面持ちで、November Rainという一世一代のチャレンジを見事に乗り越えたことを噛み締めているような感じでした。
特にピアノを演奏したNaxlさんは特別な想いを抱いていることでしょう。
ご本人に話を聞くと、ピアノはまったくの初体験で、今年の5月くらいから練習を始めたとのこと。
しかも、弾くだけならまだしも、弾きながら歌うというのは生半可な努力では不可能だと断言していいでしょう。
これがプロのミュージシャンであれば「プロなんだから当たり前」と突き放すところですが、年に数回ライヴをするウィークエンドミュージシャンのようなNaxlさんがあそこまでのレベルに達するのは、もうガンズ愛という範疇で語るしかないような献身の成せる業なのではないでしょうか。
それはもうTributeという言葉通りの「尊敬のしるし」であり、自分の人生の一部分を愛する対象に捧げる献身です。
この愛がどこまでのレベルに達するのか。
Gunmen Showersから目が離せない理由のひとつがそこにあります。
来年もいくつかライヴが決まっているようなので、興味がある方は是非会場に足を運んでみてください。
絶対に損はしないと思います。
などと一瞬もライヴから眼を離さないような雰囲気で語ってまいりましたが、実は思いきり席を外した瞬間もあります。
正直に述べるならば、とある曲の演奏中にトイレに行っておりました。
ガンシャさんの演奏が素晴らしくて、ついついビールが進んでしまって…
というのも事実なのですが、演奏中にトイレに行くのには理由があります。
ガンシャさん、トイレの中でめっちゃ良く聴こえるんですよ。
いや。別に普段が良く聴こえないわけではないです。
でもね、とある時に気付いたのだけれど、トイレの中で聴くガンシャさんは、小さいクラブで若かりし日のガンズが演奏しているように聴こえるんですよ。
若きのガンズの演奏を聴いたことはおろか、音楽的な素養がまったく無いわたくしが言うのもアレですが、ガンシャさんが表面的な音だけではなく、ガンズの精神性までトリビュートしようとしている証拠ではないかなと思っております。
トイレが混んでしまうのは困るけれど、何かの折りに是非あの響きを聴いて欲しいと思います。
ガンシャさんのメンバーは絶対に聴けない音ですしね。
行儀が悪いのは承知ですが、どうかご容赦いただければ幸いです。
ここまで辛抱強く読んでくださって、ほんの少しでもガンシャさんに興味を抱いたあなた。
来年1月8日に2017年の初ライヴがありますよ。
詳しくはオフィシャルのサイトやTwitterアカウントをご参照ください。
http://www.gunmenshowers.com/info/top.html
ひとりでも多くのガンズファンが足を運んでくださることを願っております。
会場でお会いできたら盛大に乾杯いたしましょう。
楽しみにしております。