My ゴルデン週間 その2

5月のうららかな土曜日、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

わたくしも爽やかな陽気に誘われ、自宅でロック音楽を聴く、ビールを飲む、意味もなく裏声で発生するなどの行為を行い、いわゆるリア充と呼ばれるような生活を送っております。

 

さて、更新が滞りがちな当ブログですが、前回からゴルデン週間に観たライヴのレポートのような駄文を書き散らしております。

今回はゴルデン週間2本目のライヴについてご報告していきたい。

いやだと言われてもご報告していきたい。

それっ。

 

5/5(月)

Japan Jam 2014@新木場Studio Coast

 

Rockin' On社が毎年開催しているJapan Jam。

昨年までは日本のバンドが複数出演し、豪華な組み合わせによるジャムセッションが堪能できるという趣旨のイベントでした。

まさに「ジャム」がイベントのコンセプトだったという訳です。

が、今年はその趣きをガラリと変え、肝心のジャムセッションは無し。

さらに洋楽をメインに手がけるプロモーターとして知られるCreativemanと手を組み、海外バンドも出演するという洋楽邦楽ミックスのイベントに変貌しておりました。

去年までは出演者を横目で見て「いいナー。豪華だナー」と思いつつも、実際に参加した事はなかったのですが、今年は大好きなVintage Troubleが出演するというのでチケットを即座に購入。

晴れてJapan Jamデビューと相成りました。

 

2月末のNine Inch Nailsの来日公演(素晴らしかった!)以来のStudio Coast

天気予報ではあまり芳しくなかった天候もなんとか持ちこたえており、外でビールを飲んだりするのには支障がなさそう。

「リストバンド引き換える前に昼ご飯でも食べようかナー」などと考えながら新木場駅構内を歩いていると、前を歩いているDQNのような男から出し抜けに「おい!早くしろ!」などと身に覚えのない罵声を浴びせられるわたくし。

一瞬で頭に血が昇り、心の中のアクセル・ローズが押取り刀で駆けつけそうになりましたが、よく見ると自分の子供に対して発した言葉の模様。

おそらく新木場駅から電車を乗り継いで夢の国にでも行くところだったのでしょうが、この親子の荷物が置き引き被害に遭ったり、キャラクターの着ぐるみがこの親子にだけ邪険な態度を取ったりして最悪の休日になるよう心の底から願いました。

 

まあ、そんな心の狭い呪詛はさておき本題に戻りましょう。

予定通り昼食とビールを済ませ、いよいよ会場である新木場Studio Coastへ。

ここはトイレにコンドームの自販機が置いてあるという悪名高き会場であります。

入口でリストバンドを交換し、フロアへ続くドアを開けると、すでに主催者の挨拶が始まっていました。

挨拶をしていたのは主催会社の社長であり、音楽評論家として有名な渋谷陽一氏。

氏の雑誌やラジオには学生時代から親しんでいたのだけれど、実物を拝見するの初めてということでじんわりと感動。

チケット代金のうち200円程度は渋谷陽一氏で回収できたと思いました。

 

渋谷陽一氏の「海外のフェスからも声がかかっていましたが、拝み倒してJapan Jamに出てもらいました!」という紹介で、本日のトップバッター SOIL&"PIMP"SESSIONSの登場。

突如として会場に鳴り響く、聴き覚えのある勇壮な調べ。

なんとMetallicaの出囃子として有名な名曲「The Ecstasy Of Gold」を彼らもSEとして使用していたのです。

思わず「め…メタリカっ!」と叫んでしまいましたが、メタラー率が極めて低かったのか、周りにテンション上がっているような人は皆無でございました。

 

このバンドは名前しか知らなかったのですが、すげーラウドなジャズバンドでした。

普段好んで聴くタイプの音楽ではなかったけど、ライヴは本当にかっこよかった。

ドラマーが上手かったなー。

きっとCDで聴くと途中で飽きてしまうような気がしたけど、こういうフェスでライヴを観る分には大歓迎。

また何かの機会に観ることができたら、ビール片手に気持ちよく踊りたい。

 

SOIL&"PIMP"SESSIONSがほどよく場内を温めてくれた後は、イギリスはバーミンガムからやって来た期待の新星Peace。

Twitterのフォロワーさんの中には「Peace地蔵になります」という人もいたくらいなので、かなりポテンシャルの高いバンドなんでしょう。楽しみ!

しばしのセットチェンジ(ドラムの音に異様にこだわっていたか?)の後、場内が暗転し、いよいよPeace登場。

最前列の女の子がキャーキャー言うのも納得できるほど、ヴォーカルの子がイケメン。

ふわふわのロン毛に甘いマスク。これはロックスターの香りがしますね。

 

が、肝心の演奏が…これはやばいと叫びたくなるレベル。

ベースはずっと指板とにらめっこしてるし…。

いかにもイギリスのバンド特有のナイーブさが完全に裏目に出てしまっている楽曲。

ブリットポップのあだ花バンド級に酷いと思いました。

これは相当に辛い点を付けなければいけないかな…。

 

などと絶望しておりましたが、セットが後半に入るといきなり骨太な楽曲が多くなり、こちらも前半の粗相は忘れて自然と身体が揺れてきます。

UKのバンドに見習って欲しいのは、ナイーブな先輩バンドよりもReefのごつい手触りなんだよなー。

後半の路線を追求してくれるなら、個人的にかなり好きなバンドになりそうです。

今後に期待したい。

蛇足かもしれませんが、Reefの代表曲をどうぞ。


Reef - Place Your Hand - YouTube

 

心地よい余韻を残してステージを降りたPeaceの後は、もうすでにベテランと呼べるようなキャリアを有する日本のバンド Grapevine

このバンドは某イベントで観たことがあるのですが、その時は正直あまり良い印象がありませんでした。

有名曲「風待ち」くらいしかピンとくる楽曲がなかったような…。

 

いかにも良い音がしそうなテレキャスを持ってステージに上がったギター/ヴォーカルの田中さん。

リラックスした感じで演奏を始めると…

あれ? なんだかすげーいい感じなんですけど。

以前に観た時とは比べ物にならないくらいい感じの演奏。

これは俺の好みなんですけど。

 

それから次々に繰り出される名前も知らない俺好みの楽曲。

こんなにいいバンドだったんだナー。と自分の見識の浅さを恥じましたよ。

これは今後、俺の好きなバンドリストに入ってしまいそうな勢い。

田中さんが「主催者の粋な計らいでPeace、GrapevineVintage Troubleっていう並びにしていただきました。わかってるねー」とMCで話していた通り、これは本当にわかっている並びだったと思う。

このポジションに入れる邦楽バンド、他に思いつきますか?

少なくとも俺は思いつきませんでした。

ふたつのバンドを繋ぐ完璧なパズルの欠片。

こういう出会いがあるからフェスっていいなーと思う。

 

そして、完璧なパズルの欠片Grapevineがバトンを渡してくれたのは、個人的に本日最大のメインアクトVintage Trouble!!

ブルーズベースのロックンロールを演奏する最高のライヴバンドでございます。

ヴィレッジ・ヴァンガードでアルバム売ってるのを買ってファンになり、2012年のサマーソニックで虜となり、同年のサマソニ・エクストラで完全に中毒となってから早2年弱。

去年はGreen Room Festivalのトリを務めたライヴを観ておりますので、3年連続4回目。

「彼らのことはよーくわかってますよ」と多少余裕を持って最前列のバーに寄りかかっておりました。

 

伝え聞くところによると、前日に日本入りするという強行スケジュールだったそうで、しかもライヴ当日の早朝に東京で震度5弱地震があり、万全の体勢とは言えない彼ら。

当日のTwitterを見る感じだと、彼らが会場入りしたのはGrapevineの直前。

これはほぼぶっつけ本番に近いのでは…。

しかも、会場のほとんどはこれから出て来る邦楽バンドのファンと思しき若者たち。

これはどアウェーと言っても過言ではないシチュエーションですよ。

 

そんな不安の中、必殺のBlues Hand Me DownでセットをスタートするVintage Trouble

ヴォーカルのTyはドーピングした郷ひろみかと言わんばかりの高速回転を披露。

これはもう完全に短期決戦の構えでしょう。

 

しかし、強行スケジュールの影響か、いきなりモニターの不調に見舞われるVintage Troubleの面々。

ステージ袖に向かってバランスの調整を要求するジェスチャーを連発。

これはいきなり3点ビハインドか…。

 

と思いましたが、モニターのバランスが改善するかしないかという段階で、完全に場内を掌握してしまう彼ら。

この後に出演する高音ヴォーカルのバンドがお目当ての女の子たちの心も完全に掴んでおります。

一気にビハインドをひっくり返し、ここからはまさに横綱相撲の様相。

 

場内が一体となるコール&レスポンスはもちろん、再三客席に飛び込んでいうヴォーカルのTyの熱演に熱気を帯びていく場内。

その熱気に応えるように再度客席に飛び込んだTyは、そのままStudio Coast後方の階段上までたどり着き、そこでひとしきりパフォーマンス。

さらにそれだけでは飽き足らず、2階席にまで突入し、そこでも熱演を繰り広げておりました。

ここまで来ると、どのバンドを目当てにチケットを買ったかに関わらず、もうVintage Troubleの手の平の上で転がされている感じでしたね。圧巻。

 

ライヴを観れば好きにならずにいられないバンド、それがVintage Trouble

まさにバンドに恋をしているという感覚を味わわせてくれます。

アメリカのショービズのレベルの高さ + 純度100%のロックンロール = Vintage Trouble

これは試験に出るから覚えておいた方がいいレベルですよ。

 

そして初来日でいたく日本を気に入ってくれた彼ら。

「初めてここに来て以来、日本とはとてもいい関係を築いている。それは…雪だるまみたいにどんどん大きくなっているんだよ」と嬉しい言葉もいただきました。

さらに「新譜が6月に出ること」、「夏に戻って来ること」という重大発表までさらりと言いのけてステージを去っていった彼ら。

このJapan Jamの数日後、サマーソニックでの再来日も発表されましたので、まだVintage Troubleを観たことのない方は是非会場まで足をお運びください。

絶対に損をしないことは請け負いますし、場合によっては人生で最も重要なバンドのひとつに躍り出るかもしれません。

絶対に裏切らないバンド、米国代表Vintage Troubleを今のうちに是非ご覧ください!

 
Vintage Trouble - Blues Hand Me Down (Official ...

 

「黒人にはかなわない」なんて陳腐な言葉は吐きたくないし、黒人以外でも歴史に残るシンガーは山ほどいるのだけれどVintage TroubleのTyを観てると黒人ってやはり天性のものがあるなと痛感させられる。

この納得せざるを得ない複雑な気持ち、ひとりでも多くの人に伝わって欲しい。

伝わってくれた人は、今年のサマソニで乾杯しましょう。

願わくば去年ほどの酷暑ではありませぬように。

 

では、Vintage Troubleを手放しで絶賛したところで今宵は御免。

次回はCarcass編でお会いしましょう。

とうっ!