You and I are gonna live forever.

どうも。僕です。

もっと言えば、夏の終わりを感じる今日この頃を生きる僕です。

ブログに着手するたび、書き出しに苦悩している僕です。

書き出しのアイデアだけ500個くらいストックしておきたいものです。

 

まあ、そんなどうでもいい悩みはさておき。

去る9月2日に祖父が亡くなりまして、11日に通夜、12日に葬儀という段取りでお見送りをしてまいりました。

死去から葬儀まで10日ほど空くという謎のインターバル。

これは何か意図があるわけではなく、祖父の住む地域は人口に対して葬儀場の数が非常に少なく、押すな押すなの大盛況だという事情があるようでした。

少子高齢化が進む日本社会、今後はさらに葬儀場への需要が高まっていくのだろうナーと思いましたよ、あたしゃ。

 

通夜および葬儀は滞りなく終了し、無事に祖父をお見送りする事が出来ました。

92歳の大往生だったので、悲しみに暮れる雰囲気ではなく、その生涯を労うような式になってよかったです。

葬儀場の控室に親戚一同が集まっている中、そこに祖父がいない事に気付いた時だけは少し悲しくなりましたが、置いてあった寿司桶(3人前)をひとりで完食するなどして悲しみを乗り越えてやりました。

お寿司おいしい。

 

葬儀場から遺骨を祖父宅に持ち帰り、納骨等の打ち合わせを済ませたのが(僕は近くで聞いていただけですが)午後のまだ早い時間。

祖母に別れを告げ、祖父宅を辞する事にしました。

自宅に戻ってバンドティーシャーツに着替え、向かった先はお台場。

「祖父の葬儀の日に不謹慎な!」と怒られそうなのでTwitterなどには書かなかったのですが、実は葬儀からのライヴ会場というハシゴをキメておりました。

いや、当初は行かないつもりでチケットの譲り先を探したりしていたんですよ。

しかし、残念ながらお譲り先が見つからなかったのと、湿っぽい葬儀ではなかったので、いわゆる“喪に服す”といったメンタルにならなかったのもあって、コンビニでチケット発券して会場へ向かう事にしました。

まあ、後ろめたい気持ちがまったく無かったかと言えば嘘になりますが…

 

たどり着いたのは機動戦士ガンダムの足元。

そう、Zepp DiverCityであります。

ガンダムZepp DiverCity、観覧車はZepp Tokyoブートレグ漁りに西新宿にやって来るのはLed Zeppelinジミー・ペイジと覚えると迷わなくて済むのでオススメです。

今宵のイベントは『Queen+Adam Lambert Live In Japan 2014』。

“2014”という表記からもわかる通り、本当のライヴではなく、いわゆるフィルムコンサート形式のイベントです。

上映されるのは、Queen+Adam Lambertが2014年のSummer Sonicに出演した際の映像で、僕もオーディエンスのひとりとして目撃した思い出深いライヴ。

余談ですが、同年のSummer SonicにはGuns N' RosesのトリビュートバンドであるGuns Love Roses(当時はGunmen Showersと名乗っていた)も出演していました。

“Sweet Child O' Mine”のイントロとして演奏されたQueenの“Sail Away Sweet Sister”は、一番小さなステージからヘッドライナーに向けての素晴らしいトリビュートで、とても感動的だったのを今でもよく覚えております。

f:id:R__Y__O:20190920135312j:plain(写真:観覧車の下じゃない方のZeppことZepp DiverCity

 

映画『ボヘミアン・ラプソディ』の大ヒットに後押しされ、来年の日本ツアーは全公演ソールドアウト。

洋楽不況どこへやらという大ブームの真っただ中にいるQueen

この日の上映会もその例外ではなく、本人達が登場しないイベントにも関わらず、ファンの方々が本当に楽しそうにロビーでQueen話に花を咲かせていたのが印象的でした。

 

イベントのトップバッターは青森県ゆるキャラにゃんごすたー

両手に持ったスティックで床をリズミカルに叩きながら、ステージ中央に設置されたドラムセットに向かって移動して行く。

そして始まったのがゆるキャラによるドラムソロ。

なんなんだ、このシュールな光景は…

Queen関係ないだろ!と文句のひとつも出そうになるが、普通にドラム上手い。

あの着ぐるみを着た状態でよくあんなに上手く叩けるものだと感心するほど。

最後はQueenの“Stone Cold Crazy”の音源に合わせてアグレッシヴなドラミングを披露。

Queen随一のスピードチューンもバッチリ叩き通したその腕前に大きな拍手が贈られていました。

デスメタルのイベントに呼ばれたら完璧なブラストビートを披露してくれるのだろうか?などとどうでもいい事を考えてしまったのは僕だけでしょうか。

 

にゃんごすたーと入れ替わるようにしてステージ下手に登場したのは、音楽ライターの増田勇一さん。

映画『ボヘミアン・ラプソディ』で字幕監修を担当した人、と説明すれば音楽ファン以外の人達にも伝わるのではないでしょうか。(最後に名前がデカデカと出る人だよ!と付け加えれば更に伝わりそう)

トークショーの内容というのは基本的に会場で観た人だけの特権だと思うので、この場で詳しく紹介するような事は避けるけれど、Queen+Adam Lambertにインタビューするためにシンガポールへ飛んだ増田さんが、インタビュー会場となったホテルでバンドの出待ちをしていた女の子に「Are you Adam?」と訊かれたという増田勇一すべらない話は披露して欲しかったナーというのが唯一の心残りでした。

 

ライヴ本編に先駆けて上映されたのは、増田さんがシンガポールで行ったインタビュー映像。

タイミング的には、2016年の日本公演前という事になります。

Queen側から「日本滞在中は取材は受けない」と通達されていたため、バンドのオフ日に合わせてシンガポールまで飛んだという貴重なインタビュー。

テレビカメラが入るインタビューなので、メンバー達がオフ日丸出しのラフな格好で登場したらどうしようかと増田さんは心配していたそうです。

そんな心配をよそに、Queenというバンドのイメージと格式にふさわしい小綺麗な格好で登場してくれた3人。

無造作に椅子に座っているだけでも絵になるのは、まさにスターの風格と言えるでしょう。

 

元々バンド側には、2014年のSummer Sonic公演を映像作品にするという考えは無かったようです。

ステージの上はとにかく暑く、あまり良い演奏が出来ているとは思っていなかったとの事。

しかし、日本側からのオファーを受けて改めて映像と音を確認してみたところ、自分たちが抱いていた印象よりも遥かに素晴らしい内容だったため、日本限定という形で発売される事になりました。

2013年のSummer Sonicでヘッドライナーを務めたMetallicaもそうですが、夏の日本は「とにかく暑い」という印象が先立ってしまうのかもしれません…。

暑さよりもオーディエンスの熱さで記憶してもらえると嬉しいナーと思ったマイライフです。

 

インタビュー映像が終わり、いよいよライヴ本編へ。

オーディエンスで埋め尽くされたマリンスタジアム、そしてバンドロゴが入った白い幕で覆われたステージ。

興奮を抑えきれないオーディエンスの表情と歓声があの日の記憶を呼び覚まします。

空調の効いたZepp DiverCityにいるはずなのに、肌にまとわりつくような湿気をはらんだ暑さを感じてしまうほどの臨場感。

 

恥ずかしながら、『ライヴ・イン・ジャパン サマーソニック2014』というタイトルで発売されているDVDは所有しておらず、初めて観る映像でした。

もちろん発売されたのは知っていましたが、生で観て感動したライヴほど逆に映像作品を買えなくなってしまう事ってありませんか。

「冷静に観直してみた時、記憶しているよりも凄くなかったらどうしよう…」と思ってしまうあの現象です。

あの現象に名前を付けたい

もしも名前があるなら教えて欲しい。

そんな気持ちわかるでしょう。

 

しかし、大画面&大音量で上映された『ライヴ・イン・ジャパン サマーソニック2014』は、僕の心配を完璧に宇宙の彼方へ吹き飛ばしてくれました。

あの日、僕が観たもの、感じたもののすべてがそこにありました。

とにかくすべてがリアル。

“Love Of My Life”や“Bohemian Rhapsody”でフレディ・マーキュリーがスクリーン上に登場し、見事に歌を引き継いで去っていくという素晴らしい演出があるのですが、スクリーンの向こう側とこちら側が完璧に繋がっているような感じがして、すごく温かい気持ちにさせてくれます。

あの演出を考えた人は天才としか言いようがない。

 

映像を改めて観直してみて、やはり一番感銘を受けたのはヴォーカリストであるアダム・ランバートの素晴らしさでした。

稀代のエンターテイナー フレディ・マーキュリーの後任という地雷としか思えない仕事を引き受け、Queenの偉大なレガシーを引き継いでいく覚悟を決めるのは、ちょっとやそっとの肝っ玉の持ち主では不可能な芸当でしょう。

多くの人が言っている通り、アダムの素晴らしいところは“フレディになろうとしていない”という点。

モノマネではなく、Queenというバンドが持っている精神性の方に焦点を当て、“なぜQueenはこれほどまでに多くの人に愛されるのか?”を理解した上でステージに立っているように思えた。

 

そして、僕が一番好ましく思えたのは、アダム・ランバートQueenとフレディに対して最大級の尊敬の念を抱いてステージに立っているのが明らかだった事でした。

「俺が新しいシンガーだ。フレディの事なんて忘れさせてやる」というそぶりは微塵も無く、Queenとフレディを讃えるために会場をひとつにしようと全身全霊を傾けるその姿に感動しなかった人はいないでしょう。

アダムのパフォーマンスを観て、ファンが「ここはフレディの方が凄かったな」と感じたとしたら、それは決してネガティヴな事ではなく、フレディ・マーキュリーというシンガーの素晴らしさを再認識するという機会の提供なのだと思います。

もうフレディの肉体はこの世には無いけれど、彼の存在をみんなの心の中で生かし続けるのが残された人達の使命で、その仕事を引き受けたアダム、そしてオリジナルメンバーとしてQueenのレガシーを守り続けるブライアン・メイロジャー・テイラーには惜しみない尊敬の念と拍手を贈りたいです。

もちろんアダムにはアダムの良さがあって、“Killer Queen”における艶姿は本当に眩暈がするほど悩ましいので、来日公演に行かれる方は必見ですよ、奥さん。

Queen+Adam Lambertとして新作を作るのかどうかはわからないけれど、もしも何かしらのリリースがあるのであれば、“フレディが歌っているように聴こえる作品”ではなく、“アダム・ランバートというヴォーカリストを擁するQueenの作品”としか聴こえない物であって欲しいナーと願っております。

 

そんな事を考えながらスクリーンを観ていたら、いつの間にか想いは葬儀が終わったばかりの祖父へ。

祖父はフレディのように世界中の人から讃えらえる存在ではないけれど、それでも世界中でたった一人の存在だったわけで、僕にとってはフレディ以上に重要な人です。

もうすでにこの世にいない人を生かし続けるためにはどうしたらいいのか。

それをスクリーンの中のQueen+Adam Lambertが教えてくれたような気がして、葬儀同日にここへ足を運んだ若干の後ろめたさが霧散しました。

いや、ここに来た意味が確実にあったのだ、と思って生きていく事にしようかな。

ここ数年、ちょっとばかり足が遠のいていた正月の親戚の集まり。

来年の正月はビールでも飲みながら祖父の思い出を語りますかね。

いや、酒を飲みたいわけではないですよ。

祖父を心の中で生かし続けるためですよ。

Only drinking beers makes my grandfather alive in my heart!!!