暑いぜ暑いぜ暑くて死ぬぜ。
というわけで僕です。
本当に暑いですね。
みなさまにおかれましては、水分補給などを心がけていただきたい今日この頃です。
Boys, don't be George Tokoro.
そんな暑すぎる夏の日の2019。
Guns N' Rosesファンの体温をさらに上昇させる出来事があったのをご存知でしょうか。
そう。未発表曲のリーク事件であります。
“Atlas Shrugged”と“Hardschool”という2曲の未発表曲の一部が突如としてネット上にリークされ、瞬く間にGN'Rファンの間で拡散していきました。
特に“Atlas Shrugged”は長年その存在は知られていながらも、実際に聴いたファンは皆無という都市伝説化していた楽曲。
「“Atlas Shrugged”なんて曲はアクセルの頭の中にしか存在しないんだ」などと言い出すファンもいたほど、その実情はベールに包まれていました。
実は3秒間(!)の音源は数か月前から出回っていたようで、僕自身も7月に入ってから入手することができました。
これが本当に“Atlas Shrugged”なのかどうかは別として、たしかに聴いたことの無いアクセル・ローズのヴォーカルパートを聴くことができ、「あるところにはあるのだなあ」というどうでもいい感想を抱いた記憶があります。
(画像:“Atlash Shrugged”のインスピレーションの源となった同名の大ベストセラー作)
未発表音源(の一部)が出回る時、そこには必ずなんらかの背景があります。
今回のリークに関してもそうです。
もうすでに音楽サイトなどでその経緯を読まれた方もいらっしゃるかもしれませんが、僕が独自に入手した情報も含め、今回のリーク事件を改めて紐解いていきたいと思います。
基本的には
1)すでにGN'Rファンサイトの掲示板などに書き込まれている情報
2)知人GN'Rファンから入手した情報
3)僕が関係者から直接入手した情報
この3種類の情報に基づいた記事になりますが、登場人物の一部の氏名等は架空のものに変更させていただきます。
また、当記事はリーク音源の入手および拡散等を推奨するものではありません。
入手方法等のご質問には一切お答えできませんので、あらかじめご了承ください。
すべての始まりは、とある1枚のCDがebayに出品されているのを、音楽コレクターが発見したことだった。
The Villageというスタジオで録音されたと思しき音源。
そのアーティスト名はGuns N' Roses。
どうやらレコーディングの出来映え等を確認するための関係者用ディスクらしく、ジャケットには「These rough mixes are for reference only」と記載されている。
一般に出回ってはならないアイテムであることは一目瞭然だ。
発見者である音楽コレクター(アメリカ在住の男性だと言われている)は、慌てて出品者と連絡を取り、このCD以外にどのようなアイテムを所有しているのかを確認したという。
その結果は驚くべきものだった。
いや、驚きという言葉でも生ぬるい、まさに世紀の大発見と言っても過言ではないだろう。
出品者が所有してたひとつのロッカー。
その中から出てきたのは、GN'Rの2008年作『Chinese Democracy』の制作過程を記録した15枚のCDだったのである。
しかもその中には、少なくとも12曲を超えるアクセル・ローズのヴォーカル入り未発表曲、さらにはデビューアルバムを新メンバーと再レコーディングした『Appetite For Destrction '99』まで含まれていたという。
リリースまでに膨大な時間と金銭を費やしたことで知られる 『Chinese Demoracy』。
そのレコーディングセッションでは、80曲を超える楽曲が書かれたとも言われている。
実際に15曲のヴォーカル入りトラックが発掘されたことにより、アクセル・ローズの「『Chinese Democracy』は3部作になるんだ」という発言を裏付ける結果となった。(実際に残りの2部・3部がリリースされる可能性は低そうだが。)
問題は、門外不出であるべきのこのロッカーがどこから出て来たのか、である。
元々は、とある音楽関係者が借りていた保管庫に置いていた荷物のひとつだったようだ。
しかし、この人物が保管庫の使用料を滞納したため、保管庫のオーナーが費用回収のために荷物を売りに出し、今回の音源大量流出へと繋がってしまった。
この“とある音楽関係者”とは誰なのか?
トム・ズータウ
80年代にGN'RやMotley Crueとの契約を勝ち取ったことで知られる伝説的な人物である。
『Chinese Democracy』がレコーディングされていた時期は、スタジオでの成果物の出来をチェックするという役割を担っていたようだ。
ただし、同アルバムのサンクスクレジットには名前が載っておらず、どこかの時点でアクセルから見切りを付けられたのではないかと思われる。
トム・ズータウの荷物の中には前述の『Chinese Democracy』ロッカーとは別に、それよりも古い時期のアイテムを納めたロッカーも存在したそうだ。
『Appetite For Destruction』および『Use Your Illusion』の時期のリハーサル、レコーディングセッション等を収録したカセットテープやビデオテープが納められていたと言われている。
こちらのロッカーは『Chinese Democracy』ロッカーとは別の人物へ売り渡されたそうで、転売目的の女性だったそうである。
事実、この女性はロッカーの中身をオークション等を通じて販売しており、複数の有名GN'Rコレクターの渡ったと聞く。
そのうちの1本である1987年のビデオテープ(VHSではなくベータ)は、僕の友人でもある海外GN'Rファンが購入し、近いうちに専門の業者の手によってデジタル変換される予定だ。
余談だが、古い方のロッカーにはMotley Crue関連のアイテムも含まれていたようだが、Motleyファン界隈でも話題になったのだろうか。
音楽コレクターの手に渡った『Chinese Democracy』ロッカー。
この後、その持ち主が一度変わっている。
買い取ったのは、Lという人物を中心としたGN'Rコレクターの集まり。
取引は水面下で行われ、ロッカーの存在についても箝口令が敷かれていたようである。
しかし、秘密はいつか漏れるのが世の常。
ロッカーの存在を知ったRという人物(今回の主役だ)がLに接触を試みる。
粘り強い交渉の結果、LはRに音源を売り渡すことに同意する。
その額はなんと15,000ドル。
この記事を書いている今日現在のレートで言えば、日本円にして159万円である。
CD15枚で159万円ですよ、奥さん。
1枚あたり106,000円。
まあ、わたくしは『Appetite For Destruction』箪笥を買ってしまった人間なので、何も言わないことにしておきましょう。
ここで人物名の表記を訂正することにしましょう。
売り手の名前はそのまま“L”としておきますが、買い手の“R”の名前はこれから頻出することになりそうなので、何か架空の名前をつけてやらないといけません。
そうですね…。話題の人物の名前を借りて、この記事内では“宮迫”と表記することにします。
名前も決まったところで、「未発表音源買いに行く芸人」の話を続けましょう。
宮迫の家からLの家までは片道14時間のロングドライヴ。
秘宝を手に入れるための大冒険の始まりです。
熱心なGN'Rとして知られる宮迫、テンションが上がってしまったのか、はたまた何か意図があったのか、CD15枚にも及ぶ未発表音源を購入する手はずを整えた事をGN'Rファンサイトで公言してしまいます。
この発言がGN'Rファンの心を燃え上がらせ、ファンサイトの関連スレッドは最終的に約100ページまで延びるという過去最大規模の祭りとなりました。
僕も大いに心躍らせたひとりであり、何か進捗が無かったか掲示板を頻繁にチェックする落ち着かない時間を過ごすことに。
世界中のファン達が睡眠時間を削って推移を見守る中、1分17秒の“Atlas Shrugged”と22秒の“Hardschool”がネット上に登場。
宮迫の話が荒唐無稽な創作ではないことが立証され、ファンの期待はさらに大きく膨らんでいきます。
関係者から「グラムロックと“November Rain”の間のどこかにある曲」と評されていた“Atlas Shrugged”。
アクセルのお気に入りでもあったことから、てっきりアクセル印がデカデカと押されたバラード曲なのかと思っていましたが、そういう曲調ではなかったのが一番の驚きでした。
Queenのブライアン・メイが参加したことでも知られている同曲は、すでにスラッシュがギターソロを追加録音しているという噂もあり、もしも秋から再開されるGN'Rのツアーで新曲が演奏されるようなことがあれば、その候補の筆頭に挙がるのは“Atlas Shrugged”なのかもしれません。
一方、“Hardschool”の方は超アップテンポのハードロック曲。
この曲は、かなり前から“Checkmate”というタイトルで16秒間のクリップが出回っており、その存在は多くのファンに知られていたものです。
また、GN'Rファンサイトの掲示板に登場したアクセル本人が「“Checkmate”はデタラメのタイトルだ。俺たちは仮タイトルで“Jackie Chan”って呼んでるよ」と説明した経緯もあり、ファンの間では「ジャッキー・チェンの映画用に書かれた曲」と認識されています。
たった22秒間とはいえ、今までに聴いたことのないパートも含まれており、ファンの間では「“Atlas Shrugged”よりもこっちが好きだ」「新作出すならこの曲をリードシングルにするべきだ!」などと大きな反響を呼ぶことに。
個人的にもかなり好きな曲調なので、いつの日かライヴで演奏されるのを聴きたいものです。
宮迫はその後も掲示板への投稿を続け、祭りはクライマックスに向かって確実に突き進んでいきます。
判明した事実をまとめると
・CDの枚数は当初の15枚ではなく、20枚以上
・総トラック数は約250
・ヴォーカル入りの未発表曲は16曲ほどある
圧倒的な物量に唖然とする世界中のGN'Rファン。
元々、オフィシャルからの供給が少ないバンドとして知られるGN'R。
リリースされたアルバムの枚数から見ても“超寡作”の範疇に入るバンドです。
そんなバンドのファンを長年続けてきた我々です。
少ない水でも生きていけるように環境に適応してきた我々です。
そこにねえ!そんな我々にねえ!
いきなり東京ドーム1杯分のお水を「はいどうぞ」ってかけられてもねえ!
根腐れしちゃうのよ!
ええ。もうどうしたらいいかわからずに叫んでしまいました。
取り乱してしまって申し訳ございません。
もう10年以上アルバムが出ていないバンドですよ。
それでも新作のリリースを信じて待ち続けてきた我々ですよ。
こんな物量を目の前にして、叫ぶ以外に何ができるって言うんですか。
まあ、でもね、250トラックって言っても、個別の楽曲が250曲収録されているわけじゃないんですよ。
同じ楽曲のバージョン違いもかなり入っているのも事実。
ひとつの楽曲について「レギュラー」「ヴォーカルちょい上げ」「ヴォーカルちょい下げ」などが存在しており、“There Was A Time”だけでも僕が確認できた範囲で12トラック。
そういうわけで、“250トラック”という字面に対して過剰な期待は抱かない方がよさそうです。
「ギター0.7デシベル上げ」などという微妙な違いを聴き分けられる耳を持っている方であれば話は別ですが…。
取り乱してしまったせいか、だいぶ文体も乱れてきました。
軌道修正いたしましょう。
14時間のドライヴの末、Lから無事に音源を買い上げた宮迫。
そこから再び14時間の復路へ。
疲労は相当なものだと推測されるが、最愛のバンドの未発表音源を手に入れた興奮からか、復路においてもファンサイト掲示板への書き込みは継続。
仲のいい友人には電話越しに未発表曲を聴かせたりしていたようです。
宮迫自身は掲示板上で「今のところ何がリークされてるの?」と発言するなど、音源のリークについては関与を否定。
リーク音源の流出元については今現在も不明のままです。
世界中のGN'Rが宮迫の凱旋を待ち侘びた2019年7月末。
日曜日である7月28日に宮迫が音源をアップするのではないか?という憶測も飛び交い、まさに祭りの盛り上がりは最高潮。
あと数日も経てば、秘密のベールに覆われていた『Chinese Democracy』期の未発表曲を耳にすることができるのです。
しかし、最後の最後になって宮迫は完全に沈黙。
土壇場での宮迫の心変わりに戸惑い、中には激怒する者まで登場。
ファンサイト掲示板は、お祭りムードから一転してお通夜のような状況に。
漏れ伝わってきた情報を総合すると、今回の取引を察知したGN'Rのマネージメントが音源の流出阻止に動いたということで間違いなさそう。
大山鳴動して鼠一匹ということわざがあるけれど、本当にそのような結果になってしまって非常に残念と言わざるをえない。
とはいえ、伝説的な“Atlas Shrugged”がその一部であれ世の中に出る結果となったので、それだけでも感謝するべきなのだろうか。
そして、謎の多かった『Chinese Democracy』期のレコーディング音源のうち、数十曲分の詳細が判明したことは非常に高い資料的価値があるはずだ。
存在が確認された楽曲の中には、今まで一度もメンバーや関係者から言及されたことのないものも含まれており、GN'R未発表曲リストが大きく書き換えられることとなった。
マネージメント側が宮迫から回収した音源が、2028年にリリース20周年を迎える『Chinese Democracy』ボックスセットに収録されることを願うばかりである。
実は僕は、7月末から8月の頭にかけて宮迫と何度かメールのやり取りを行っている。
以前、GN'Rファンサイトを通じてメッセージをやり取りしたことがあり、その際にメールアドレスを交換したのだ。
宮迫は「今、僕が言えることは非常に限定されている」と前置きした上で、GN'Rのマネージメントチームから接触を受けたことを認めた。
どうやら誓約書に署名をさせられたようで、今後宮迫が何かしらの音源をリークするようなことがあれば、非常に大きな法的責任を科せられる事態に陥るのではないだろうか。
実際、今回は未遂で終わったからこの程度の措置で済んだが、2008年に発売前の『Chinese Democracy』から9曲がリークされた際には、FBIが動いて逮捕者まで出ている。
その顛末は下記の記事をご参照いただきたい。(執筆者は逮捕された当人!)
ここから先は噂に関する話である。
もっと言うならば、“現実になって欲しい噂”についての話だ。
その噂とは…
今回の一件でGN'Rのマネージメントがここまで迅速に動いたのは、GN'Rの新作のリリースが予定されており、それに水を差したくないから、というものだ。
つまり、その新作の中には“Atlas Shrugged”など『Chinese Democracy』制作過程で作られた楽曲の再録音源が収録される可能性が高いということだろう。
もちろん、噂は噂でしかないが、待望の新作に着手していることはメンバー自身も認めているところであり、完成の目途がすでに立っていたとしても不思議ではない。
2019年8月現在、ファンの間でまことしやかにささやかれているのは、“2020年にEPがリリースされる”という妙に具体的な噂だ。
GN'Rは噂が浮かんでは消えていくタイプのバンドなので、あまり過剰な期待を抱くのは失望の元ではあるが、近いうちにバンドから新作リリースの公式発表があることを願っている。
その際は、2017年以来となる日本公演の実現にも期待したいところである。
短めにサクッと書こうと思ったのだけど、今回もそれなりの長さで申し訳ございません。
飲み会の席で、とある美人に「りょうさんのブログ長いんだもん」と言われたのが今でも心の奥深くに刺さっております。
次はNapalm Deathの名曲“You Suffer”くらい短いブログが書けるように頑張ります。