続くよ、続くよ、リークは続く。
我らがGuns N' Rosesの未発表音源リークは留まるところを知らないようです。
これを書いている今も新しいのが1曲出てきました…。
一体なにがどうなっているのやら…
事の経緯については、下記の拙ブログをお読みいただけたらマイプレジャーです。
上記の記事にもあるように、元々はガンズの関係者が貸し倉庫に保管していた音源でした。
それがファンの手に渡り、つい最近になって堰を切ったように次から次へと流出している、という状況です。
かなりの物量があるため、まだ音源の全貌が判明しているわけではありませんが、僕の印象としては、美味しい部分のほとんどは出て来たな、という感じ。
アクセルの声が入っている音源で、まだリークされていないのは2曲のみだそうです。
また、前回ブログを書いた時点で判明していなかった事、事実誤認だった事(意図的に嘘の情報が混ぜられていたようです)がありますので、それについても補足しておきます。
・音源の数は140トラック程度(約250トラックはかなり盛られた数字だったようで す。)
・アクセルのヴォーカル入り未発表曲は8曲(当初は16曲という情報。これもかなり盛られた数字でした。)
・『Sympathy For The Devil』関連のディスクがある(内容は不明。スラッシュ在籍時最後の音源か?)
・『Appetite For Destruction』再録盤は今回流出した音源には含まれていない
当初、ヴォーカル入り未発表曲だけでアルバム1枚分の素材があるという話でしたが、どうやらそういうわけではなさそうです。
まあ、ベーシストのトミー・スティンソンが歌っているものが2曲あるので、それを含めて10曲入りアルバムは作れそうですが…
ヴォーカル入れが終わっていない音源が多数あるとはいえ、インスト状態の楽曲の数などを見る限り、アクセルが『Chinese Democracy』を本気で三部作にするつもりだったのは間違いないように思えます。
今回の音源はThe Villageというスタジオで録音されたものですが、Rumbo Studioで作業を続けていたバンドがThe Villageに移ったのは、アリス・クーパーやキッスとの仕事で知られる音楽プロディーサー ボブ・エズリンのアドバイスだったようです。
そして、『Chinese Democracy』の完成があれほどまでに遅れた理由の一端は、ボブ・エズリンにあると言っても過言ではないかもしれません。
(遅れたアルバムの代名詞『Chinese Democracy』)
2000年頃、Queen等を手掛けたロイ・トーマス・ベイカーをプロデューサーに迎え、Rumbo Studioで作業をしていたガンズ。
しかし、一向に完成の報が届かない事に業を煮やしたレーベルは、作業の進捗の確認および方向性等についての助言を目的として、ボブ・エズリンをスタジオに派遣します。
作業に合流したボブ・エズリンは、今までに録音された音源を聴き、レコーディングスタジオをThe Villageに移す事を提案。アクセルもこれを受け入れます。
The Villageで作業を再開したアクセルですが、ボブ・エズリンとの信頼関係を築くまでには至らず、彼との会話を避けるようになっていたようです。
それに関し、ボブ・エズリンは「アクセルは私を避けていたよ。彼は、自分が録音したものを私があまり良いと思っていない事を知っていたんだと思う」と語っています。
アドバイスを与える事を目的として派遣されたボブ・エズリンですが、その目的を果たす事が出来ないまま時間だけがいたずらに経過していきます。
そんなある日、ボブ・エズリンがガールフレンド達とホームパーティーを楽しんでいると、そこに1本の電話が。
相手はレコード会社の重役でした。
「アクセルが君と話をしたがっている。20時にレストランを予約したから行ってくれ」
まさかの当日オファーに戸惑うボブ・エズリン。
「今日は先約があるから無理だ」と断りますが、最終的には押し切られてしまい、レストランに向かう事を承諾します。
ただし、「そのレストランには20時から20時半までしか滞在しない。アクセルが現れなくても時間になったら帰る」という条件を付けたそうです。
以前にアクセルと約束をした際、午後10時に会う約束だったにも関わらず、アクセルが登場したのが午前2時だったという経験があったようで、それに対する牽制の意味だったのでしょう。
指定されたレストランに到着したボブ・エズリン。(おそらく20時前には到着していたのでしょう。)
約束の時間になるとアクセル側のスタッフや取り巻きたちが入ってきました。
しかし、肝心のアクセルはその中に含まれていません。
結局、アクセルが登場したのは20時25分。
「それがアクセルなんだよ」とボブ・エズリンは笑って話します。
でも、20時30分を越えないあたりにアクセルの可愛さを感じてしまうのは僕だけでしょうか…。
ボブ・エズリンは、レストランを立ち去る時刻が迫っているため、スタジオでの成果物に対する感想を手短にアクセルに伝えたそうです。
「アクセル、このアルバムはまだミックスされる準備が出来ていないと思うよ。1曲か2曲はすごく良いものがあるけど、アルバム1枚分に足りないと思うな」
それに対するアクセルの反応は
「俺のアルバムはミックスされる準備が出来ていると思う」
この場にいたら間違いなく胃に穴が空いているであろう緊迫感。
アクセルがテーブルをひっくり返して暴れなかったのが不思議なくらいです。
しかし、ボブ・エズリンもプロ中のプロ。
そのくらいで自分の意見を曲げる事はありません。
「アクセル、君は僕の電話番号を知っているよね?何か手伝って欲しい事があればいつでも連絡してくれ。じゃあ、僕はもう行くから」
そう言ってレストランを後にしたそうです。
その後、我々も知っての通り、ボブ・エズリンがスタジオに呼ばれる事はなく、アルバム『Chinese Democracy』は、アクセル・ローズとカラム・コンスタンゾの共同プロデュース作品として2008年に世に出る事となりました。
ボブ・エズリンに対し、アルバムはすでに完成しているとの認識を示したアクセルですが、内心ではその意見を非常に重く受け止めたようで、かなりの量の作業をやり直す事にしたと言われています。
あまりにも長い制作期間と莫大な費用で知られる『Chinese Democracy』。
もしもあの時、ボブ・エズリンをスタジオに派遣しなかったら。
もしもあの時、ボブ・エズリンがレストランに現れなかったら。
歴史にもしもはありませんが、そのようなもしもを考えてしまいます。
もしかしたら、我々は『Chinese Democracy』三部作を手にしていたかもしれません。
まあ、その場合はスラッシュと和解しない世界線だったかもしれませんが…
今回のリークでいろいろな音源を聴いているうち、そんなどうでもいい事を考えてしまったマイライフです。
本当は各音源の簡単なレビューなどをしようかな、と思っていたのですが、それは次の機会に譲る事にいたしましょう。
あと数時間でガンズは秋のツアー初陣の舞台に上がる事になります。
セットリストに何かしらのサプライズがある事を祈って。