Gunners Circus開催されたってよ(2)

いつの頃からでしょうか。

職人さんが目の前で握ってくれる昔ながらのお寿司屋さんを「回らない寿司」などと呼ぶようになったのは。

本来であれば、回転寿司の方を「回る寿司」と呼んで区別するべきだと思うのですが、今の世の中、もう回転寿司の方が主流になったということでしょうね。

もしも居酒屋業界で立ち飲みが主流になった場合、従来の居酒屋を「立たない飲み屋」と呼ぶようになるのでしょうか。

それは誰にもわかりませんね。

 

とある日曜の夜、回転寿司屋さんに行った時の話です。

あれは22時くらいだったでしょうか。

いわゆる夕飯どきはすでに過ぎていたと記憶しております。

お店に入ってすぐのレジ付近に立ち、店員さんが来るのを待っていましたが、待てど暮らせど声がかかる気配はありません。

仕方がないので、順番待ちの用紙に名前を書き、ソファーに座って案内を待つことにしました。

しかし、待てど暮らせど声がかかる気配はありません。

店内の様子をさりげなく窺ってみると、特に混雑しているような感じでもない…。

どうやら圧倒的にマンパワーが足りていないようです。

これもある意味、“回ってない寿司屋”だナー、などと思いました。

あ、申し遅れました。僕です。

 

そんな申し遅れがちな僕ですが、今回は前回の記事の続き、Gunners Circus第二部の模様についてレポートしていきたいと思います。

大盛況となった第一部カフェイベントについては、前回の記事をご参照ください。

 

sasayaki-okami.hatenablog.com

 

第二部:ライヴイベント

12月1日、第一部から約1ヶ月のインターバルを経て第二部の開催となりました。

今回は、Guns N' Roses(以下、ガンズ)のトリビュートバンドGuns Love Roses(通称:ガンラヴ)が出演するライヴイベントです。

ここで簡単にガンラヴについてご紹介しておきましょう。

 

ガンラヴは2005年結成、東京を中心に活動する5人組トリビュートバンド。

結成当初はGunmen Showersというバンド名だったが、2017年にGuns Love Rosesに改名。2014年にはSummer Sonicにも出演した実力派バンド。

ジー・ストラドリンおよびスティーヴン・アドラー在籍時の初期ガンズを再現するというポリシーで活動を続けている。

 

メンバーは

・ヴォーカル Naxl

リードギター Gaslash

リズムギター Izzily

・ベース Duffy

・ドラム Madler

 

活動歴などを詳しく知りたい方は、ガンラヴのファンサイトをご確認ください。

ていうか、ファンサイトのあるトリビュートバンドって…

 

Guns Love Rosesファンサイト 

https://gunsloverosesjp.wixsite.com/glrjp

 

 

ライヴイベントの会場は中野heavysick ZERO。

10月のカフェイベントの会場から少し歩いた場所にありました。

会場の公式ホームページによると、キャパは80~100名のようです。

地下2階のラウンジスペースに降りると、フロアはすでに大盛況。

Gunners Circus公式アカウントがTwitterで「当日券3枚だけお出しできます!」と告知していた通り、チケットは完売状態だったようですね。

Sold Outの会場でガンラヴを観られるなんて素晴らしいことです。

 

開演時間が迫っているとのアナウンスがあり、お客さんは上階のライヴスペースへ移動開始。

入ってみて驚いたのはステージの大きさ。

まだメンバーが登場する前で楽器が置かれているだけの状態ですが、本当にここで演奏ができるのか心配になるほどの狭さです。

いや、普通に演奏するだけなら問題はありません。

しかしガンラヴはガンズのトリビュートバンド。

棒立ちでパフォーマンスをするわけではなく、特にアクセル・ローズ役のNaxlさんは激しく歌い踊るわけです。

渋谷Music duo exchangeなどのライヴハウスで演奏するガンラヴを観慣れているせいか、始まる前から少しばかりの不安を抱いてしまいました…。

 

ガンズが過去に行なった特定の公演を再現することもあるガンラヴ。

今回のGunners Circusでは、1986年9月13日のMusic Machine公演をベースにしたセットリストを演奏することがあらかじめ発表されていました。

同公演はガンズ最古のプロショット映像が残されていることで知られ、客席には1990年にバンドに加入することとなるキーボーディストのディジー・リードがいたと伝えられています。

古い映像なので画質は良くありませんが、初期ガンズの荒々しいかっこよさは十分伝わってくるのではないでしょうか。

Youtubeのリンクを貼っておきますので興味のある方は是非。

(余談ですが、この日の“Nightrain”のイントロは面白いアレンジになっています。)


Guns N' Roses Music Machine, Los Angeles, CA 09 13 1986 DVD

 

とりあえずよさげな位置を確保し、瓶ビールなどを飲んでいると、我々が入って来たのと同じ扉からメンバーが続々と登場。

演者も同じ入り口なのかー。

ヴォーカルのNaxlさんは長細い板のような物を持参。

なにかナーと注視してみると、どうやら姿見のようです。

ライヴ中、頻繁にお色直しをするNaxlさんならではの必需品ですね。

 

ステージ上にメンバーが揃い、準備が完了したところで場内暗転。

Naxlさんご本人による「Guns!! Love!! Roses!!」のアナウンスに続き、場内の空気を切り裂くように鳴り響いたのは…

 

 Welcome To The Jungle!!!!!!

 

ガンズがブレイクするきっかけとなった初期の代表曲。

同曲のPVの冒頭に登場する、大きな荷物を抱えてバスを降りてくるアクセルのコスプレまで披露してくれるNaxlさんの姿に場内は大盛り上がり。

ビデオの中のアクセル同様、口に茎(?)まで咥えて完璧な仕上がりでした。

完全につかみはオッケーです。


Guns N' Roses - Welcome To The Jungle

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お色直し番長Naxlさん


 

 

テンションをマックスまで振り切ったまま“Welcome To The Jungle”がエンディングを迎えると、ドラムのMadlerさんが次の曲に繋がるリズムを叩き出します。

軽快にスタートしたのは、『Appetite For Destruction』収録曲の中でもひときわキャッチーな“Think About You”。

本家ガンズではあまり演奏される機会がありませんが、ファンの間で人気が高い隠れた名曲です。

「はじめて聴いた時、“Nightrain”と“Think About You”好きになりがち」というのが『Appetite For Destction』あるあるですので覚えておいてください。

 

この日のガンラヴは、攻撃の手を一切緩めようとしない超アグレッシヴな布陣。

Mr.Brownstone”と“Rocket Queen”という横揺れダンサブルチューン2連発で中野heavysick ZEROを揺らしにかかります。

冒頭から『Appetite For Destruction』4連発。

もう耳と眼が幸せすぎて昇天です。

ここまでのセットリストは、予告通り1986年のMusic Machine公演とまったく同じ。

もしかしたら本編は同公演の完全再現か…?

 

そんなことを考えていると、NaxlさんがベースのDuffyさんを中央へ呼び込みます。

ステージ中央のマイクスタンドの前に立ったDuffyさん、ぐるりと客席を見回した後、「はいっ。そういったわけでございましてね!」とガンラヴ名物Duffy漫談を開始。

これまでの4曲で作り上げた初期ガンズの空気感はどこへやら、完全に昭和のテレビ番組の世界へ我々を誘う話術はさすが。

さんざん客席を笑わせたところで、再びミュージシャンの顔に戻ったDuffyさん。

ジョニー・サンダースの名曲“You Can't Put Your Arms Around A Memory”からThe Damnedの“New Rose”へ。

カバーアルバム『The Spaghetti Incident?』からの2曲を演奏し、ダフ・マッケイガン役としての役割をきっちり果たしてくれました。

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MCの達人Duffyさん

 

この2曲を挟んでくるあたり、どうやら1986年Music Machineの完全再現というわけではなさそうです。

先が読めなくなったので、ますますこの後の展開が楽しみになってきます。

ステージ下手の定位置に戻ったDuffyさんのベースラインからパンキッシュな“It's So Easy”がスタート。

再び『Appetite For Destruction』モードへ戻るようです。

その推測を裏付けるように、同アルバムからの“Out Ta Get Me”へ雪崩れ込みます。

演奏前の反抗的な名MCは、ガンズのもっとも有名な公演である1988年2月2日The Ritz公演から採られたもの。

あんなかっこいいMCを反抗期に聴いていたら人生変わっちゃうだろうな…。

ちなみに“It's So Easy”も“Out Ta Get Me”もMusic Machine公演では演奏されていない楽曲です。

The Ritz公演の“Out Ta Get Me”を貼っておきましょうかね。

自分の人生にあれこれ口出ししてくる奴らなんて必要ないぜ!というアクセルのMCに膝をガクガクさせながら観てください。


Guns N Roses-Out ta get me-the Ritz-1988-LIVE

 

急上昇した場内をクールダウンさせるように始まったのは、ボブ・ディランの名曲“Knockin' On Heaven's Door”。

本家ガンズも初期からずっと演奏し続けている定番曲です。

コーラスパートでの「俺が1回歌うから、続けて君たちも歌ってちょ♡」というNaxlさんのお願いに抗える者は誰もおらず、「Kno-Kno-Knockin' on heaven's door」のコール&レスポンスはバッチリ。

静かな高揚感をもたらすGaslashさんのギターソロも素晴らしかった。

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地毛のスラッシュ役ことGaslashさん

 

「もうクールダウンは十分でしょ?」と言わんばかりに始まったのは、『Appetite For Destruction』随一の高速チューン“You're Crazy”。

こんなん首がもげそうな勢いで振るしかないじゃないですか、奥さん。

楽器を嗜まない僕には想像することしかできませんが、この曲を演奏するのってすっごい楽しいんじゃないかナーと思っております。

ミスったら大惨事になるスリリングな曲調は、猛スピードで車やバイクを運転する興奮に似ているのではないでしょうか。

本家ガンズにも演奏してもらいたい楽曲ですが、今のアクセルがこのスピードについていけるのか…。

 

『Appetite For Destruction』祭りはまだまだ続きます。

印象的なアルペジオから一転、激しく展開する“My Michelle”を叩きつけた後は、Naxlさんの「今夜俺たちはNightrainに乗るのさ!」というMCからの“Nightrain”へ。

さらには、世界一有名なリフのひとつである“Sweet Child O' Mine”で完全に勝負あり。

この曲はイジー・ストラドリンのバッキングフレーズも最高だし、スティーヴン・アドラーの温かみのあるドラムパターンも素晴らしいんです。

ガンラヴのライヴを観る機会があれば、“Sweet Child O' Mine”演奏中のIzzilyさんにも是非ご注目ください。

完全にイジー・ストラドリンその人ですから。

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ジーの性格まで考慮したトリビュートをする男Izzilyさん

 

楽しい時間には必ず終わりがやって来ます。

ガナサーことGunners Circusも例外ではありません。

Madlerさんのおおらかなリズムに合わせ、会場全体が手を打ち鳴らします。

そう。ガンズのライヴにおける不動の最終曲“Paradise City”。

この曲のイントロが鳴り響くと、喜びと寂しさが同時に胸の中を駆け巡ってしまうのはガンズファン特有の条件反射でしょう。

 

Naxlさんのホイッスルを合図にステージに投げ込まれるのは、女性物の下着類。

つまりブラジャーです。

ガンラヴのライヴ名物ブラジャー投げ。

開演前に関係者の方が配って回っているので、是非ブラジャー投げに参加してみてください。

 

曲が一気にスピードアップする後半、ここが先途とばかりに暴れ狂うオーディエンスたち。

ここまで来るとMusic Machineのセットリストのことなんて微塵も頭にありません。

目の前で鳴らされている音を無心で楽しむだけ。

Naxlさんの「Good!! Fuckin'!!! Night!!!」の絶叫でライヴ終了。

なんと『Appetite For Destruction』から11曲という大盤振る舞い。

幸せ過ぎるでしょう。

競泳女子200メートル平泳ぎで金メダルを獲得した岩崎恭子選手ではありませんが、「今まで生きてきた中で一番幸せです」と言ったりしたい気分になりました、僕は。

 

アンコールを求める声に応え、バンドが再びステージに登場。

あれだけたっぷり聴かせてもらったのに、まだ続きがあるんですか!?

競泳女子200メートル平泳ぎで金メダルを獲得した岩崎恭子選手ではありませんが(以下略)

Naxlさんの「Hey Fuckers!! Suck on Guns N' fuckin' Roses!!!」が叫ぶと、Madlerさんがドラムを連打。

そこに絡みついてくる少しひっかかるようなギターリフ。

 ガンズの自主制作ミニアルバム『Live !?*@ Like A Suicide』の冒頭を飾る“Reckless Life”です。

アンコールでも初期ガンズで攻めまくる姿勢がありありと伝わってくる選曲に感涙したのは僕だけではないでしょう。

 

『Live !?*@ Like A Suicide』からの選曲はまだまだ続きます。

オーストラリア出身のならず者集団Rose Tattooの“Nice Boys”はライヴ初披露。

イントロが始まった瞬間、ベースのDuffyさんが「どうだ!」と言わんばかりに僕の方を見ていたのを今でもはっきりと覚えております。

「Nice boys don't play rock n' roll!!」のコーラスはテンション上がりますね。

今回限りではなく、これからも頻繁に演奏していただきたい名カバー。

 

「This is a song about your fuckin' mother!!」から始まったのは、もちろんAerosmithの“Mama Kin”。

これも『Live !?*@ Like A Suicide』収録曲です。

アンコールのテーマは完全に“1986年”ですよ、これは。

いい感じにスカスカなエアロの名曲に身を委ねながら、心は完全に1986年。

気持ち良すぎる。

 

Gunners Circusを締めくくったのは、1986年からやって来た新曲でした。

Naxlさんが「Listen up, you guys」呟くと、Madlersさんがカウントを開始。

そう、去年リリースされた『Appetite For Destruction』リマスター盤の目玉となった“新曲”(この呼称にはいまだに違和感があるけれど…)“Shadow Of Your Love”です。

この曲は「ガンラヴのテーマソング」と呼びたいほどハマっていて、初めて聴いた時はあまりの完成度に戦慄したのを覚えています。

一緒に聴いていた人たちも「え!?音源と同じじゃない!?」と狼狽えていたレベル。

ガンラヴ未経験の方には、「ねえ!シャドウだけでいいから!シャドウだけでいいから聴きに来て!ねえ!」と泣きながらお誘いしたいレベルで凄いんです。

技術的なことは分析できませんが、「シャドウはガンラヴに合ってるんだよね」というひと言で済ませたい感じ。

この日のシャドウも最高のシャドウでございました。

徹頭徹尾、初期ガンズで押し切ったガンラヴに大拍手。

 

 

まだ来年の予定は未定だというガンラヴですが、是非Twitterアカウントなどをフォローしてライヴ予定をチェックしてみてください。

今回は演奏されませんでしたが、『Use Your Illusion』からのレア曲もレパートリーにしているので、ガンズファンであればきっと楽しめるはず。

Gunners Circusでのセットリストを紹介しておきしょう。(赤字はMusic Machine公演で演奏された曲)

 

 1 Welcome To The Jungle

 2 Think About You

 3 Mr. Brownstone

 4 Rocket Queen

 5 You Can't Put Your Arms Around A MemoryNew Rose

 6 Out Ta Get Me

 7 It’s So Easy

 8 Knockin' On Heaven’s Door

 9 You’re Crazy

 10 My Michelle

 11 Nightrain

 12 Sweet Child O’ Mine

 13 Paradise City

 14 Reckless Life

 15 Nice Boys

 16 Mama Kin

 17 Shadow Of Your Love

 

 

台風による順延、そして2日間に分散しての開催。

Gunners Circusスタッフのみなさまの苦労が偲ばれます。

来年以降の開催は未定とのことですが、ガンズファンが集まれる場所を作っていただいたことに感謝したいと思います。

本当にありがとうございました。

ガンズ来日が決まった際には、「帰って来たガナサー」開催に期待しております。

 

最後に“温泉のお湯を飲んじゃうおじさん“ “微笑みの天使”ことMadlerさんの写真でお別れしましょう。

待ち受けにすると幸せな気持ちになれますよ。

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微笑みの天使Madlerさん