Rumbo Tapes

巷ではデング熱の感染拡大に沸いておりますが、みなさまにおかれましてはいかがお過ごしでしょうか。

気が付けば学生たちの夏休みも終わり、快適だった通勤電車の乗車率も赤丸急上昇中でございます。実に不愉快。

 

一口に学生と言っても小学生から大学生まで幅広い訳でありますが、やはり一番楽しかったのは将来への不安など微塵も感じていなかった小学校時代。

とりわけ給食の時間が好きだった人も多いのではないでしょうか。

 

わたくしの小学校時代のクラスメイトに吉井君という男の子がおりまして、給食を実によく食べる児童でした。

食べるスピードもさる事ながら、2度3度とおかわりに行くその旺盛な食欲。

間違いなく給食費の元は取れているであろうと思わせるような食べっぷりを日々披露していました。

 

その豪快な食べっぷりを大いに気に入った当時の担任教師。

颯爽とおかわりに向かう吉井君を呼び止め、「今日からお前はクラスの給食大臣だ!」と唐突に大臣ポジション任命を宣言。

かくして吉井君は我がクラスの給食について、全権限を一手に握る事となったのです。

 

最初のうちはいただきますの挨拶を給食大臣が担当するなど取るに足らない役割を担っているだけでしたが、いつの間にか「おかわりに行く前には給食大臣の承認を得る」という規則を作るなど徐々に増長。

さらには休みの生徒の分のプリンを給食大臣が優先的に獲得する職権乱用まで見受けられる事となり、クラスの不満は日に日に高まっていきました。

 

そんなある日、給食大臣の横暴ぶりはついに頂点へ。

配膳前の給食が入った鍋の蓋を開け、そこにおのれの箸を突っ込み、鍋からダイレクトに給食を食べるという前人未到の暴挙に出た給食大臣。

さすがにその大胆すぎる行動には女子生徒から「先生!吉井君が!」という悲鳴が上がり、現職大臣がまさかの現行犯逮捕。

給食大臣、任期途中での緊急更迭となりました。

 

まあ、わたくしのこの話を通じて何が言いたいかと申しますと、知恵の浅い者に権力を与えてはいけない、という事であります。

あなたの周りにもいないでしょうか。

馬鹿なのに何故か権力を持っている人間。

そんな人間がいない世の中を目指して頑張っていきましょう。

 

どうでもいい昔話にスペースを使ってしまいましたが、今日も懲りずにGuns N' Rosesのブートレビューでございます。

今回は定番タイトルについて書いていきたいと思います。

そのタイトルとは…

 

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ド定番スタジオデモ集、『Rumbo Tapes』です。

我が家にあるのは『Rumbo Tapes』ですが、タイトル違いが多数出回っており、『In The Studio』や『Slashin' Pumpkins』などのタイトルで所有されている方も多いのではないでしょうか。

近年ではデジタルリマスターを施したという触れ込みの『Wanderin' In Sunset』なるタイトルも登場しております。

個人的にはこのブートで初めてガンズの完全未発表曲に触れ、道を踏み間違えブート収集を始めるきっかけとなった思い出深いタイトルです。

また、大学時代にガンズ好きの先輩に貸したところ、そのまま借りパクされるという苦い思い出もあり、いまだに返却をお待ちしているところであります。

Y尾さん、これをお読みでしたら速やかにご返却ください。

 

手に入れた当初は、Rumbo Studioで録音されたUse Your Illusion制作時のデモ音源集という認識で聴いておりましたが、調べてみると必ずしもそうとは限らず、色々な時期の音源が入っているようです。

音源の出処などはよくわかりませんが、ガンズのブートを収集する上では避けて通れない1枚ですので、1曲ずつレビューしていきたいと思います。

クレジットなどよくわからない部分もありますので、事実誤認がございましたらご指摘くださると非常にありがたいです。

まずは収録曲の紹介から。

 

1.  The Garden

2.  Don't Cry

3.  Yesterdays

4.  Sentimental Movie

5.  Bad Obsession

6.  Crash Diet

7.  Anything Goes

8.  Bring It Back Home

9.  Back Off Bitch

10.Ain't Goin' Down

11.Move To The City

12.Too Much Too Soon

13.Just Another Sunday

14.Welcome To The Jungle

 

以上、全14曲が収録されています。

ライヴの隠し録り音源と違い、デモ音源なので音質は概ね良好。

未発表曲はもちろん、既発曲についてもオフィシャル音源との違いを聴き比べる楽しみがあります。

では、早速1曲ずつ聴いていきましょう。

 

1. The Garden

 

Use Your Illusion収録曲のデモ音源。

チープなアコギの音がいかにもデモという印象。

注目すべきはオフィシャルではアリス・クーパーが担当していたパートを歌うアクセルでしょう。

あの禍々しいパートを歌うアクセルの歌唱も新鮮で悪くないのですが、オフィシャル版の「これぞショックロックの帝王!」と言いたくなるようなアリスのパフォーマンスを聴いてしまうと、この勝負はアリスの勝ちだと言わざるを得ません。

 

2. Don't Cry

 

Use Your Illusion収録曲のデモ音源。

この『Rumbo Tapes』収録曲の中で唯一オフィシャルリリースされている音源です。

Don't CryのシングルB面で「Don't Cry(demo)」として入手可能。

 

このバージョン最大の特徴はアクセルのヴォーカル。

意識的に高音を抑えた優しい歌い方をしています。

オフィシャルとのあまりの違いに、初めて聴いた時は「これって…イジー?」などと思ってしまいました。(ちゃんと聴けば完全にアクセルなのですが…)

そして、ギターソロにところに「Don't you cry cause I'll be comin' back home to you..」といった語りが入っています。

これはアクセルの声に聞こえないのですが、誰の語りなのでしょうか…。

後半はオフィシャルに近い高音ヴォーカルを聴かせるアクセル。

前半の歌い方との対比が楽しめます。

 

3. Yesterdays

 

Use Your Illusion収録曲のデモ音源。

他のブートで聴けるアクセルとウエスト・アーキーンの弾き語りではなく、ちゃんとデモとして録音されたもの。

チープなドラムトラックはリズムマシーン使用でしょうか。

出だしから「When I was young...」と歌っていたりして、歌詞や歌いまわしがオフィシャルと異なっていて面白いです。

 

 

4.  Sentimental Movie

 

完全未発表曲。

「ダフとスラッシュのデュエット曲」などと紹介しているサイトがありますが、その真偽については定かではありません。

今回のレビューをするにあたり、インターネットで関連資料を検索したところ、スラッシュ自身がファンから質問に対して、「俺はSentimental Movieって曲については、なにひとつやってないんだよね。アクセルとウエスト・アーキーン、それにもしかしたらイジーも加わって、ヘルハウスでつるんでる時に録音したんじゃないかな。俺がそれにソロか何かを加えたかどうかは…ちょっとわからないな」と答えている記事を発見したので、おそらくスラッシュは歌っていないと思われます。

 

スラッシュが歌っているかどうかはともかく、ダフらしいけだるい曲調に女々しい歌詞、そして素晴らしいギターワークが聴ける一曲なので、これが好きだという方も多いのではないでしょうか。

実はこの曲には88年1月のライヴバージョンが存在していて、かなり以前からあった曲だという事が判明しています。

ちなみにその時にダフと一緒にヴォーカルを取ったのは、バンドの腰巾着古くからの友人であるDel Jamesだったそうです。

興味のある方はライヴバージョンも探してみてください。

 

5.  Bad Obsession

 

Use Your Illusion収録曲のデモ音源。

ここで歌っているのはアクセルではなく、イジーの朴訥としたヴォーカルが聴けるので、イジーファンは要チェック。

全体的にかなりチープな雰囲気のデモです。

インタビューなどでスラッシュやダフが口を揃えて「イジーのデモはかなりラフで、俺たちがそれをいじくり回して曲にするんだ」というような事を話していますが、これもそんなイジーデモのひとつなのかもしれません。

 

6.  Crash Diet

 

完全未発表曲。

ガンズの未発表曲の中でも非常に人気が高く、ファンサイトなどでも隠れた名曲として語られる事が多いです。

「6人目のメンバー」として知られるウエスト・アーキーンのペンによる楽曲との事。

かなり完成度を誇り、何故アルバムに収録されなかったのか理解に苦しむほど。

メタリックな曲調がアルバムにそぐわないと判断されたのでしょうか。

 

中間のウエスト・アーキーンが弾いていると思しき無茶弾きのようなソロはいただけませんが、もしもオフィシャルリリースされていたら、あのパートをスラッシュがどのように料理したのか、それが非常に気になります。

ちなみにアメリカのハードロックバンドAsphalt Balletが1993年発表の『Pigs』というアルバムの中で同曲をカバーしており、アルバム自体は現在では中古でしか手に入らないようですが、興味のある方はYoutubeなどでチェックしてみてください。

 

7.  Anything Goes

 

Appetite For Destruction収録曲のデモ音源。

歌詞とメロディがAppetite For Destructionで聴けるものと全く違います。

Hollywood Rose時代にMy Way Your Wayという曲名で演奏していたバージョンに近いもので、とにかく言葉を矢継ぎ早に畳み掛けていく攻撃的なヴォーカルです。

個人的には、こちらの方がオフィシャルリリースよりも好き。

 

8.  Bring It Back Home

 

完全未発表曲。

かなりレイドバックした曲調で、初めて聴いた人は「え?これがガンズ?」と驚いてしまうのではないでしょうか。

ガンズの楽曲の中でどれに一番近いか考えてみましたが、強いて言うならばChinese Democracy収録のThere Was A Timeかもしれません。

何故か冒頭にJust Another Sunday(後述)の音源の一部がサンプリングされています。

また、メインリフがVelvet Revolverのヒット曲Slitherのそれと酷似しており、スラッシュはここでボツになったリフを大切に取っておいた事がわかります。

もしもBring It Back HomeがUse Your Illusionに入っていたらVelvet RevolverのSlitherは生まれなかった訳で、スラッシュ的には「ボツ曲をリサイクルして一儲けしたぜ!」とホクホクなのではないでしょうか。

 

9.  Back Off Bitch

 

Use Your Illusion収録曲のデモ音源。

オフィシャルリリースは1991年ですが、デビュー前から演奏していた楽曲だけあって、ほぼ完成されている印象です。

イントロにハンドクラップが入っているのがオフィシャルとの違いでしょうか。

また、アクセルのヴォーカルは随所にオーヴァーダブが施されており、オフィシャルでは聴けないフレーズもいくつかあります。

 

10.Ain't Goin' Down

 

アルバム未収録曲のインストバージョン。

『Rumbo Tapes』の裏ジャケにはHeartbreak Hotelと記載されていますが、それは誤りで、実際にはAin't Goin' Downです。

この曲はCDやレコードという形態では手に入らないのですが、ガンズのピンボールマシンで使用されており、完全な未発表曲という訳ではありません。

他のデモ音源とは異なり、こちらは正式にレコーディングされたものの、なんらかの理由でアルバムには収録されなったようです。

ここで聴けるのはインストバージョンですが、アクセルのヴォーカルが入った物も出回っていますので、興味のある方はそちらもどうぞ。

 

ストレートでノリの良いハードロック曲で、悪い言い方をすればとても単純な曲。

そのあたりがUse Your Illusionから漏れた理由でしょうか。

ちなみに1986年頃から存在している楽曲で、アクセルが「これは新曲だ」と紹介しているライヴ音源も出回っており、そちらは歌詞や歌い回しが若干違います。

 

 

11.Move To The City

 

Lies収録曲のデモ音源。

正確にはデモ音源というよりも、スタジオでのアコースティックセッションという感じでしょうか。

大人数でバカ騒ぎしながら演奏しています。

冒頭には「I'm a West Cost junkie, an East Coast monkey, got another dick under my arm!!!」という合唱があり、そこから曲が始まるバージョンです。

 

12.Too Much Too Soon

 

完全未発表曲。

60年代っぽい雰囲気を持った楽曲で、ビール片手に踊るのにピッタリなノリの良さがあります。

ベースラインがとて心地よく、ベースを聴いているだけでも楽しくなります。

ガンズの楽曲としては異色ですが、イジーのソロアルバムあたりになら違和感無く収まりそうな楽曲。

アクセルもすごくのびのびと歌っていて、アルバムから漏れはしたものの、実はメンバーのお気に入りだったのではないかと思います。

シンプルな曲のわりにエンディングは若干しつこい印象。

曲終わりに機関銃掃射のような音とセリフが入っています。

 

13.Just Another Sunday

 

完全未発表曲。

アクセルの好み丸出しの王道ポップス曲です。

誰か名のあるポップ歌手のヒット曲のカバーだよ、と言われても納得してしまいそうな出来となっています。

後半では女性ヴォーカルとのデュエットが聴けるのですが、このヴォーカルが誰のものかは不明。

おそらくゲストヴォーカルを迎える予定だったのだと思いますが、アクセルが誰を候補として考えていたのか非常に興味があります。

 

14.Welcome To The Jungle

 

 Appetite For Destruction収録曲のデモ音源。

言わずと知れたガンズの代表曲です。

 一説によると1985年頃のデモ音源だそうです。

テープの劣化からか音が不安定になる場面もあり、確かに他の音源よりも時代が古そうな感じがあります。

 

このジャングル、とにかくテンポが遅いです。

もしもこのテンポで正式リリースされていたとしたら、スリリングなバンドという印象は受けないでしょう。

アクセルは代名詞となっている「シャナナ」ではなく、ここでは「ナナナ」と歌っています。(一部のみ「シャナナ」あり)

ギターワークもまだこなれていない感じで、発展途上の段階の音源だと思われます。

 

 

以上、全14曲を駆け足でレビューしてみましたがいかがだったでしょうか。

ガンズのスタジオデモ集は結構な種類が出回っていますが、未発表曲をまとめて聴けるという点では、この『Rumbo Tapes』(同一音源別タイトル含む)が一番ではないでしょうか。

定番タイトルという事もあり、入手も比較的容易ですので、興味を持たれた方はしかるべき街へ足を運んでみてください。

では、またの機会にお会いしましょう。

Fenders Ballroom 1986

充実していた8月も終わり、気が付けば9月になっておりました。

今年はまだ野球観戦にもビアガーデンにも行っていないというのに、このまま俺の夏が終わってしまうのでしょうか。

可愛い売り子さんに可愛いバドガール

それを横目にビールをガブガブと飲んでアイアン酩酊するまでは夏に去って欲しくはないものですね。

夏よ、もうしばらく俺のそばにいておくれ。

 

まあ、そんな話はどうでもいいとして、今回はガンズのおブートレビューです。

今宵のネタはこちらでございます。

 

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ジャケット写真が無いので、ライヴ当日のバックステージ写真で失礼いたします。

1986年3月21日、カリフォルニア州ロングビーチにあるFenders Ballroomという会場でのライヴをオーディエンス撮影したブートDVDでございます。

ダフが敬愛するジョニー・サンダースの前座として出演したライヴで、どうやら不完全収録のようですが、デビュー前のGuns N' Rosesの荒々しい姿を確認できる貴重な1枚。

 

1986年といえば、RoxyやMusic Machine、それにTroubadourなどが定番アイテムですが、このDVDは知名度としてはそれらと比べると遥かに劣ります。

西新宿にあるブートDVDの老舗A店のサイトでも「レアアイテム!」という位置付けになっていました。

そもそも当映像が発掘され、ファンの間で出回り始めたのはそれほど昔の話ではありません。

それまではガンズ音源の収集家として有名なJohn.M氏のサイトでもこのライヴの事は紹介されていませんでした。

発掘されたのは今から約10年ほど前でしょうか。

当時ガンズの音源トレードをしていた某氏から、「最近発掘された1986年のライヴ映像です」というコメント付きでDVDを頂戴し、こんなライヴが存在した事を初めて知りました。

1986年の映像という事で個人的には非常に嬉しかったのですが、

 ・画質がそれほど良くない

 ・演奏時間も短く、セットリストもそれほど珍しくない

 ・演奏内容も凡庸

などの理由からかそれほど話題にはなりませんでした。

Youtubeなどに僕が所有している物よりも画質が良好なバージョンがアップされているので、興味がある方はご覧になってください。

西新宿で売買されているブツのクオリティは定かではありませんが、実際に購入するかどうかはYoutubeなどで確認してからでも遅くはありません。

正直な話、「マストバイ!」と高らかに叫べるようなDVDではありませんので…。

 

とりあえずセットリストなぞを紹介しておきましょうか。

今までのレビューでも当然やるべき事だったのですが、今更ながらそれに気付いて赤面しております。

 

1. Out Ta Get Me

2. Welcome To The Jungle

3. Nightrain

4. My Michelle

5. Rocket Queen

6. Don't Cry

7. Back Off Bitch

 

こんな感じになっております。

ラスト2曲が1986年っぽい部分でしょうか。 

研究家のサイトによると不完全収録との事で、この続きが存在するのかどうかが気になるところです。

 

映像は会場後方からのオーディエンスショット。

スタッフによる撮影なのか一段高くなっている場所から撮っているようで、観客の頭が画面のほとんどを占めるような場面は見受けられません。

メンバーの下半身およびドラムのスティーヴンの姿は前方の観客の頭で写っておりませんが、ズームも的確で手ブレによるストレスも皆無です。

画面は暗く粗い印象で、テープの劣化のせいか乱れる部分が幾度か見受けられます。

某A店の評価ではYでしたが、まあ1986年の映像だという事を加味すれば十分に合格ラインでしょう。

音質に関してはスラッシュの音が大きく収録されており、非常に生々しいサウンドが聴けます。

スラッシュファンの方はそれだけで嬉しいのではないでしょうか。

 

ちなみに映像では確認できないアクセルの下半身ですが、バックステージ写真などを見ると例のお尻丸出し衣装を着ているようで、もしかしたらジョニー・サンダースに「お前はホモのバイク乗りか?」と暴言を吐かれたのはこの日なのではないかと妄想をたくましくしてしまいます。

繰り返しになりますが、映像ではアクセルの生尻は確認できません。

それを目当てに購入するような行為は絶対におやめください。

薄目で見てもアクセルのお尻は見えません。

 

DVDはOut Ta Get Meで始まります。

右側の前髪を後ろに撫で付けたアクセルが歌い踊る姿は非常にかっこいいのですが、いかんせんテンポが遅いのが残念。

この曲は相手の喉笛を噛みちぎるくらいの勢いで演奏してもらいたいものです。

この日はOut Ta Get Meに限らずテンポが遅めの演奏となっており、個人的にはそこが非常に不満の残る部分となっております。 

途中でアクセルとスラッシュのマイクシェアがありますので、その筋のマニアの方にとってはその辺りが注目ポイントでしょうか。

 

アクセルの「Welcome to the fuckin' jungle!!!」という叫びで始まるWelcome To The Jungle

最後のパートでは何故か「シャナナナ」をやらないアクセルに違和感を覚えます。

そして唐突に出しゃばって来たスラッシュのスクリームでエンディング。

なんなんでしょうか、あの叫びは。

 

続くNightrainの演奏前、いそいそと寄り添ってきたスラッシュのほっぺたになんとアクセルがキスのプレゼント!(にように見える)

今となっては天地がひっくり返っても見られないであろう衝撃シーン。

興味のある方はYoutubeなどでご確認の上、各自の自己責任においてお買い求めください。

ちなみのこのライヴはアクセルとスラッシュの仲が非常に良く、ふたりでベタベタしているシーンが目立ちます。

この蜜月がずっと続いていれば…と思わずにはいられません。

 

Nightrainの後半ではアクセルが「I'm on the...I'm on the...I'm on the...」という謎のアドリブも披露。

初期のライヴはアレンジがしっかり固まっていないところが面白いです。

特にNightrainはMusic Machineでは別のイントロが付いていたり、色々と試行錯誤している部分が見受けられます。

 

Nightrain終わりのMCでは、アクセルの「俺、もう48時間ばかり寝てないんだよね」という寝てない自慢が炸裂。

「だから?」という空気が場内を支配します。

さすがにファンといえどもイラっとしてしまう瞬間をご堪能ください。

 

寝てない自慢からのMy Michelleで、ようやくアクセルが上半身裸に。

下半身は見えませんが、お尻丸出し&上半身裸だったのでしょうか。

なんたるいかがわしさ。

CCガールズのライバルとして登場したTバックスというセクシーグループを思い出したのは僕だけでしょうか。

 

ガンズ随一のダンスチューンとしてグルーヴィーにフロアを揺らすRocket Queenは…

アクセルが出だしからいきなりトチります。

Rocket Queenの歌い出しはアクセルにとってはまさに鬼門。

このライヴ以外でも盛大にトチっているシーンが多々見られます。

さらにスラッシュの音だけで馬鹿デカく、残念ながら演奏がスべっているように聴こえてしまい、Rocket Queenの持ち味であるグルーヴが感じられません。

やはりこの曲はベースとドラムがキモなんだナーと思い知らされます。

 

Don't Cryではイントロが上手くいかずやり直し。

集中力を失っている証でしょうか。

91年以降、スタジアムバンドへ成長したガンズでは見られないような凡ミス。

良くも悪くも初々しさを感じます、

 

最後はレア曲Back Off Bitch。

後にUse Your Illusionに収録される楽曲ですが、91年以降は数えるほどしか演奏されておらず、これが普通にセットに入っているのは86年のライヴならでは。

個人的にとても好きな曲なので、これが聴けるのは素直に嬉しい。

この曲のギターソロは名演だと思っております。

しかし、間奏でアクセルが「うぉーおおおーおー」と歌うパートにダフ(イジー?)が調子っぱずれにコーラスをかぶせてくるところでは思わず脱力。

これに心を揺らさないガンズファンがいたら、すでに悟りを開いていると判断しても差し支えないと思われます。

 

鬼気迫る演奏を聴きたい!という方にはオススメできませんが、先輩ミュージシャンの前座として悪戦苦闘するガンズの姿も見てみたいというマニアの方は持っておいても損は無いでしょう。

定番タイトルを一通り制覇した後にでもコレクションに加えてみてはいかがでしょうか。

収録時間が短い関係からか、ボーナス映像が付いて販売されているケースが多いようです。

僕が譲ってもらった時は、同じく86年のアコースティックライヴをオマケに付けてもらいました。

このライヴもなかなか貴重なのでいずれご紹介できればと思っております。

 

では、今宵もマニアックかつどうでもいい話にお付き合い頂いてありがとうございます。

素敵なブートライフをお過ごしくださいませ。

サマソニック最終日

サマソニック終了から約1週間。

いまだに疲れが抜けないのは気のせいでしょうか。

浴衣姿の美人にマッサージをされたい今日この頃であります。

 

あれほど楽しかったサマソニックですが、さすがに1週間も経つと記憶が薄れてまいります。

忘れないうちに一気に書き上げてしまいましょう。

それではいきますよ!

サマソニック最終日にズームインっ!(空元気)

 

 

昨年末にサマソニック開催が発表された直後に予約した幕張メッセ近辺のホテル。

その一室で死んだように眠るわたくしを叩き起すiPhoneのアラーム。

昨日の疲れが澱のように堆積してはおりますが、いよいよサマソニック最終日の開幕であります。

メッセ側に面した部屋のカーテンを開けると外は快晴。

元々の予定では日曜日が雨天と聞いておりましたが、この様子ではどうやら大丈夫そうです。

 

前日のArctic Monkey終わりにコンビニで買った朝食を死んだ魚の目で食べていると、くり子さんから「今日は早めにおいでよ!」とメールが着信。

チェックアウトの時間よりも幾分早めにホテルを出発し、メッセ駐車場で合流する事に。

昨年はホテルのチェックアウトの際、Zebraheadのステージに飛び入りする予定だった岡本夏生さんと遭遇したのですが、今年はそのようなサプライズは皆無。

ごく普通に宿泊代を支払ってホテルを後にしました。

 

メッセ駐車場でくり子さん夫妻と合流し、最終日の充実と無事を祈念して乾杯。

と祈念したのはいいのですが、前日とはうって変わってメタル色の薄いラインナップに戸惑い気味の我々。

タイムテーブルとにらめっこしても愛読誌『Burrn!』に載っているようなバンドの名前は見つかりません。

記念すべき最終日の幕開けをどうするべきか。

決められないまま時間だけがいたずらに過ぎていきます。

そんな焦りと苛立ちの中、我々はついにひとつの結論を得ました。

 

観るのは別にバンドじゃなくたっていい。

 

それはまさに天啓でした。

漆黒の闇を切り裂く一筋の光。

万有引力の法則に気付いた時のニュートンも同じような感覚を覚えていた事でしょう。

一気に気持ちが軽やかになった我々。

どこまでも晴れ渡る空の下、欽ちゃん走りで幕張メッセへ移動するのでした。

 

〇 ゴー☆ジャス

 

サマソニック2014年の最終日、その幕開けはお笑いSHOW TIME。

イジリー岡田さん司会でおなじみのサマソニック憩いの場であります。

大勢の芸人さんが登場する中、我々のお目当ては宇宙海賊ことゴー☆ジャス

キッスのメンバーを彷彿とさせるメイクと地球儀を使ったネタで有名な芸人さんです。

彼の「マダガスカル!」というネタをどうしても観たいがためにやってまいりました。

 

数組の芸人さんがネタを披露した後、ついに満を持してゴー☆ジャス登場。

果たして念願の「マダガスカル」を観る事は出来るのでしょうか。

最初のネタは雪山で遭難したという設定のもの。

寒さで死にそうな相方を必死で励ますゴー☆ジャス

 

「まだ助かる!まだ助かる!」 

 

その強引なフリに騒然となる我々一同。

「キター!キター!」という言葉が自然と口をついて出ます。

そしてついに訪れた歓喜の瞬間。

 

「はい!ここ!マダガスカル!」

 

ありがとうございます。

始まって20秒で目標達成です。

ちなみにサマソニックでのマダガスカル体験は、2002年サマソニックのおける伝説のGuns N' RosesのセットでMadagascarを聴いた時以来、実に12年ぶりでございます。

次のマダガスカル体験はいつになるのでしょうか。

 

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ネタを披露するゴー☆ジャス氏(写真はチリを指しています)

 

出来ればイジリー岡田さんの高速ベロも観たかったのですが、朝イチという事もあり「まだ舌の準備が出来ていない」と披露してくれませんでした。

残念ですが、無理に披露して舌を断裂などという惨事を招いてもアレですので、また来年にでも観せていただく事としましょう。

 

念願のマダガスカルに大満足した我々。

くり子姉さんの盟友ハヤサカ氏(なでしこ)と合流し、メッセ内でお昼ご飯を。

各自思い思いのソニ飯を食べながら作戦会議。

やはりこういう作戦会議もサマソニックの醍醐味のひとつ。

自然とビールも進みます。

 

メッセ内にいる美人売り子さんと記念撮影などしてご満悦の俺&くり子さんの旦那。

この記念撮影システムによって売り上げは相当伸びている事でしょう。

来年は浴衣姿の売り子さんもいたらいいと思った。

 

 

木村カエラ

 

幕張メッセというセーフティーゾーンを飛び出して炎天下のマリンへ。

たしかに暑いが去年ほどの酷暑ではない。

去年がいかに暑かったか察して頂けるようなエピソードを幾つかご紹介しましょう。

 

・俺氏、バンドをひとつも観ないうちに死亡。ホテルへ戻って身体を休め、トリのMetallicaだけをなんとか観る。

Man With A Missionの演奏中、スニーカーを履いているにも関わらず足の裏が焼けるように熱く、Fly Againを聴いた時点でマリンから退散する。

・BFMVティーシャーツに身を包んだくり子さんの旦那、あまりの暑さでBFMVが熱演を繰り広げる中、マリンのスタンド席で気絶。何を目当てに来た人なのかわからなくなる。

 

今年は暑いながらも正気は保てているので大丈夫そう。

こまめな水分補給とアルコールの過剰摂取に気を付ければ最後まで乗り切れるでしょう。

 

という訳で木村カエラですよ。

サマソニックで彼女を観るのは2007年以来かな。

あの時はギター弾きながら歌ってたけど、ひたすらに可愛かった印象しかない。

客席からの声援に応えて、「ありがとー。じゃあ、ちょっと頑張っちゃおうかな」とか言っていた姿に萌え死にしました。

 

あれから7年。

あの時とは違ってギターは手にしておらず、赤いワンピースのような衣装を着て、ステージ上をひらひらと歌い踊る彼女。

観客の扱いも手馴れたもの。

「簡単な振り付けだからみんなもやってね」という『OLE! OH!』は可愛かったナー。

時間が短かったのが残念だったけど、青空がよく似合う楽しいステージでした。

来月の横浜アリーナを観に行く予定なので、改めてカエラ聴いてみましょうかね。

バラードよりも『BEAT』みたいな曲が好き。

 

去年のミスターチルのようなJ-Pop大物枠で出演のドリカムトゥーはパスする事に。

オリジナルメンバーでの出演なら観に行ったかもしれん。

観た人が口を揃えて言っていたのは、「MCがちょっと…ネ」という事。

誰も演奏の事に触れていなかったのが気がかり。

 

次に観る予定のGuns N' RosesトリビュートバンドGunmen Showersまで時間があるのでメッセへ戻ってビールタイム。

ぼっちだがそれはそれでいい。

Gunmen Showersの出演時間が16:15なので16時頃にメッセを出れば十分に間に合う計算。

 

と思ったら、16時頃にくり子さんから「もうガンシャやってる」という衝撃的なメールが。

えー!16:15からじゃないのっ!?

知らないうちにタイムテーブルが変わってたの!?

もうマリンへ向かって泣きながら全力疾走しましたよ。

その途中、くり子さんから再度メールが。

 

「サウンドチェックだった」

 

なんだよそれっ!

反射的に「この役立たずがっ!」というメールをくり子さんに送ってしまいました。

反省。

どうやらサウンドチェック代わりにNightrainを演奏したようです。

なにはともあれガンシャさんのライヴに間に合ってよかった。

 

 

〇 Gunmen Showers

 

マリンスタジアム外のSIDE-SHOWに登場するのは、「Advice For Masterbation」を旗印に活動するGunmen Showers。

我らがGuns N' Rosesのトリビュートバンドであります。

以前にワンマンを観に行かせてもらった時は、定番曲はもちろんの事、Get In The RingやGarden Of Edenなどのレア曲まで披露してくれる超本格派。

ガンズが好きなら絶対に楽しめるライヴを見せてくれるバンドです。

 

オフィシャルバーでビールなぞを買っていると、ステージから「Gun! Men! Showers!」という絶叫が聞こえ、猛ダッシュでステージ前へ。

真昼間のSIDE-SHOWにも関わらず結構な人数が集まっておりました。

オープニングナンバーはガンズの存在を世に知らしめた名曲Welcome To The Jungle

NaxlさんはAxl特有の高音の唸り声が本当に似ていて毎回感動する。

演奏もさすがの安定感で、一緒に歌っていて本当に心地が良い。

 

Welcome To The Jungleに続くのは定番のIt's So Easy。

「FUCK OFF!!」と無数の中指が突き上げられるが、実にピースフルな空間。

「やっぱり俺はガンズが好きだ!」と再確認できる幸せな時間でした。

 

上半身裸にサスペンダー姿のNaxlさんが歌いだしたのは…

Sail Away Sweet Sister!!!

この数時間後に大トリとして登場するQueenの楽曲ですよ。

言葉は悪いけど、SIDE-SHOWっていうのはサマソニック全体から見たら、もう場末みたいに小さなステージじゃないですか。

でも、そんな小さなステージから発信される、大トリを務める世界的大物バンドへの心のこもったトリビュートになんだかすごく感動してしまった。

そしてSail Away Sweet SisterからGrand FunkのBad Timeへ。

92年東京ドームのAxlのガラガラ声まで忠実にカバー。素晴らしい!

 

そこから世界屈指の有名なイントロリフを持つSweet Child O' Mineへ。

ギターのGaslashさんのソロが素晴らしかった。

そしてリズムギターIzzlyさんの腕回しが炸裂!

Sweet Child O' MineのPVにおけるイジーの腕回しが大好きな我々にとっては至福の時間。

くり子さんと一緒になってぐるんぐるん回しておりました。

お笑いステージのイジリー岡田さん、そしてGunmen ShowersのIzzlyさん。

ふたりのイジリーがサマソニックに華を添えてくれました。

 

最後はもちろんParadise City。

いつの間にかPVと同じ白いジャケットに着替えているNaxlさん。

こういうところに本家への愛を感じるよね。

いつか本家ばりに紙吹雪の噴射もよろしくお願いいたします。

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4曲だけとはいえ、素晴らしい熱演に大喝采。

「あ。ガンズだ」と足を止めた人も多かったんでしょう。

最終的にはかなりの人数がSIDE-SHOW前に集まっておりました。

メンバーのみなさんはおそらく普通に仕事を持ってらっしゃる方で、いわゆる週末ミュージシャンというスタンスなんだろうけど、トリビュートの対象への果てしない愛、そして自らのたゆまぬ努力によってサマソニック出演を果たしたんだよね。

ライヴ終了後、汗だくのまま記念撮影に延々と応じる姿にも感動。

だって、次のリッチー・サンボラが終わってマリンから出て来たら、まだ記念撮影やってるんだもの。どんだけいい人なんですかっ!

Gunmen Showersのみなさん、本当にご出演おめでとうございます!

 

 

ビールを飲みながらガンシャさんの余韻に浸っていると…

トラックに乗った水着美女が放水しながら登場!

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ずぶ濡れになりながらも必死にシャッターを切りまくった結果が上の画像であります。

永久保存したい素晴らしいショット。

今回のサマソニック、サマソニガールという存在意義のよくわからない募集をしていて訝しいと思っていたのですが、まさかこういう役割を与えられていたとは。

これなら大賛成であります。

来年はサマソニガールを倍増…いや、3倍増にしていただき、場内のいたるところに配置していただきたい。

それによってチケットの値段が跳ね上がるのはやむを得ないと思っております。

 

そんなサマソニガールのおっぱいに興奮しているわたくしの元に、「リッチー・サンボラがIt's My Lifeやってる!」との情報が入り、慌ててマリンスタジアム内へ。

まさかここまでベタな曲をやってくるとは予想外。

 

 

〇 Richie Sambora & Orianthi

 

今回のラインナップで浮いている感が否めないリッチー・サンボラ。

スタンドに適当な席を見つけて座る頃には、残念ながらIt's My Lifeは終わっておりました。

スタンド上段から見る感じでは、アリーナ前方はかなり埋まっている印象。

リッチーとオリアンティが並ぶと非常に見映えがいい。

スーパーギタリストふたりが並んでプレイするなんて、ギター小僧にはたまらないものがあるんだろうナー。

わたくしはギター小僧ではないのでオリアンティの胸元ばかりに大注目。

 

正直なところリッチーのソロはあまり詳しくないのですが、やはり彼は歌が上手い。

ギタリストにしては上手い、というレベルではなく惚れ惚れするくらいの歌いっぷり。

こんな人がバンドにいたらジョンはさぞかしやりずらかっただろうナーと同情してしまった。

ブルーズっぽい曲(Stranger In This Townかな?)は素晴らしい出来だったな。

 

堂々たる演奏を繰り広げるリッチー&オリアンティですが、場内が一際盛り上がるのはやはりBon Joviのヒット曲。

I'll Be There For Youで「おおっ!」と思ったのも束の間、Bon Joviの代名詞的大ヒット曲Livin' On A Prayerまで飛び出したのには悶絶。

まさかサマソニックでLivin' On A Prayerを合唱する日が来るとは思わなかった。

去年のシンディ・ローパーの時も思ったけど、こういう全人類共通の問答無用の大ヒット曲を持ってる人は強いよね。

 

そして待ちに待ったWanted Dead Or Alive

リッチーの出演が発表された時から、この曲の掛け合いパートをやるのが今回のサマソニックの目標のひとつでした。

ウォンテー

 ウォーンテー

  デッドオラーイ

生きていて良かったと思った。

来年のサマソニックでもこの手の夢を叶えたい。

 

Avril Lavigne

 

リッチーの後を受けて登場したのは、日本でも絶大な人気を誇るアヴリル・ラヴィーン

トリ前のTBAが彼女だったのは少し意外だったけれど、オーディエンスの年齢層を若返らせるのには間違いなく一役買っているはず。

 

で、肝心のパフォーマンスですが…

すいません。ほとんど気絶していたのであまり覚えておりません。

What The Hellとかやっていたような…。

まあ、長丁場のフェスではこういう魔の時間帯が必ずありますよね。

それがたまたまアヴリルの出番にやって来てしまっただけという事で…。

よく眠れたという事は、それだけ心地の良い演奏だったのではないかな、と。

 

いつの間にか陽が落ちたマリンスタジアム

アリーナへひっきりなしに人が流入し、スタンド席も次々と埋まっていきます。

サマソニック2014年の大トリを迎える雰囲気が段々と出来上がっていく場内。

いよいよ伝説のバンドがステージに立つ訳であります。

 

 

Queen + Adam Lambert

 

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新ヴォーカルにアダム・ランバートを迎えて活動を再会したQueen

待望の来日はサマーソニックの大トリというバンドとしての格に相応しい大舞台。

場内には異常な期待感が充満していました。

 

イントロSEとしてProcessionが厳かに鳴り響き、オープニングナンバーNow I'm Hereがスタート。

フレディの後任というハードルの高すぎる仕事を堂々とこなすアダムの姿に一安心。

ブライアンとロジャーは前回ポール・ロジャースと来日した時よりもかなり老けた印象だが、その演奏に衰えは感じられず。

特にブライアンのギターは一聴しただけで彼の演奏だとわかるくらい特徴的。

あの温かみのある太いトーンとフレージングはまさに絶品。

彼が参加したというGuns N' RosesのAtlas Shrugged、早く聴きたいナーと思ってしまった。

 

Love Of My Lifeではスクリーンにフレディが登場し、悲鳴混じりの大歓声に包まれる場内。

スクリーンの中のフレディは、まったく違和感なくバンドの演奏に合わせて歌を披露。

実際はバンドがフレディに合わせてるんだろうけど、あまりの違和感の無さに「フレディが生き返った!」と絶叫してしまった。

まさにこの世とあの世が繋がった瞬間。なんなんだこれは。

 

本編最後はBohemian Rhapsody

イギリスでは史上最高のシングル曲に選ばれるほど愛されている超名曲。

しかしながら、ポール・ロジャースとの再結成の時は、フレディの歌入り音源を流すというウルトラCを披露し、オーディエンス全員が膝から崩れ落ちるという惨事を招いたのも記憶に新しいところ。

アダム・ランバートを迎えたQueenはこの超名曲にどう向き合って行くのか。

 

そのような経緯もあり、固唾を呑んで見守った訳なんだが、アダムが普通に歌い出したので一安心。

堂々とした歌いっぷりで最初のパートを終えたアダム、誰かを紹介するような仕草を見せると…

 

フレディ・マーキュリー!!

 

再びスクリーンに登場し、アダムの後を引き継ぐように歌い出すフレディ。

この演出には本当に鳥肌立った。

もう誰が生きていて誰が死んでいるのかわからなくなるような異空間が出現。

どうせならAnother One Bites The Dustの時にジョン・ディーコンの御霊も呼び出して欲しかった。(死んでない)

 

志半ばにしてこの世を去ったメンバーの偉大さをファンと分かち合って、その功績を祝福出来るというのは感動的だよね。

もちろん亡くなってしまった事は悲しいのだけれど、世界各地で同じようにフレディがスクリーンの中に蘇って、その偉大な歌声を聴かせてくれているという事実は素直に嬉しい。

使い古された言い回しだけど、肉体は滅びてもその音楽は生き続ける、という事だよね。

 

アンコールはWe Will Rock YouWe Are The Championsという超お約束ナンバーで大団円。

ロックフェスティバルの最後にこれほど相応しい終わり方があるのでしょうか。

そして打ち上がる花火。

「ああ。終わったんだなあ」という感想以外持ち得ないでしょう。

 

マリンスタジアムを出た後、メッセにクラフトワークを観に行ったのですが、直前に観たQueenの余韻が強すぎて、そのストイックな演奏が身体に入って来ませんでした。

もう身体が「今年のサマソニックは終わったんだヨー」と主張しているようで、数曲観ただけで退散する事に。

クラフトワークが悪いんじゃなくて、これはもうタイミングが悪かったとしか言いようが無い。

 

開催前は「ラインナップが弱い」と言われていたサマソニック。

が、参加してみたら例年以上に楽しめました。

好きなバンドがガチガチに詰まっているよりは、ある程度余裕のある感じの方がいいのかもしれません。

もう朝から晩までマリンで暴れていても大丈夫という年齢でもないので…。

来年のサマソニックはどのようなラインナップになるのでしょうか。

では、また来年。

サマソニック初日

某演歌歌手の暴行疑惑、正直どうでもいいですよね。

それよりも我々の夏が終わってしまった事の方が大問題。

そう。夏の祭典Summer Sonic閉幕でございます。

秋には『秋の黒シャツ祭り』ことLoud Parkや日本初開催のKnotfestなどが控えておりますが、俺の夏が去って行ってしまった事に寂しさを覚えますね。

今回はそんなひと夏の思い出、サマソニック2014について書き記していきたいと思います。

行かれた方も行かれなかった方もしばしお付き合いください。

まずは初日の様子からズームイン!(空元気)

 

8月16日、午前2時45分。

枕元のiPhoneがけたたましく鳴り響き、サマソニック2014の開幕を告げます。

近所のご家庭は一見寝静まっているように見えますが、我が家と同じようにサマソニックの開幕を告げるアラームが鳴り響いている事でしょう。

今年も無事に起きれた事をロックの神様に感謝。

蛇足になりますが、アラームとは全然関係の無いタイミングで目が覚め、「ぬわー!寝過ごしたっ!俺のサマソニック閉幕っ!」と真っ青になってiPhoneの時刻表示を確認したらまさかの0時30分で、「馬鹿野郎。まだ始まってもいねえよ」と吐き捨てて再度就寝したというエピソードも併せてご紹介させて頂きます。

どれだけわたくしがサマソニックを楽しみにしていたかわかって頂けるでしょうか。

 

身支度や飲み物の準備が完了し、いよいよ自宅を出撃。

心配された帰省ラッシュ渋滞などにも巻き込まれず、5時前には幕張メッセ駐車場に到着。

今年の「着いたよー」ツイートは午前4時52分でございました。

友達にも「着いたよー」とメールを送りますが、見事なまでに返信は無し。

寝坊にもほどがありますよ。

ちなみに朝のメッセ駐車場はこんな様子。

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朝ビールや会場周辺の散策などをしているうちに午前8時前。

いよいよリストバンド交換の時刻であります。

去年ほどの酷暑ではないけれど、やはり炎天下で並ぶのはキツい。

汗が猛烈な勢いで汗腺から噴出していきます。

メタル系ティーシャーツを着ている人が多いのは初日のラインナップの影響でしょうか。

去年のLoud Parkティーシャーツに輝くKing Diamond様のお名前を目にすると物悲しい気持ちになるのは僕だけでしょうか。

 

そんなおセンチな気持ちになっているおっさんの柔肌を焦がすような炎天下に耐え抜き、いよいよリストバンド交換開始。

係員さんの「チケットのミシン目にあらかじめ折り目を入れてくださーい!スムーズな交換にご協力くださーい!」というアナウンスに応え、チケットのミシン目を入念に折り曲げて準備万端。

もう触れただけで取れてしまうのではないかと心配になるくらいに折り曲げてやりましたよ。

交換列も順調に進み、いよいよわたくしの順番に。

「さあ。スムーズに切り離してくれたまえ。超高級ステーキのようになんの抵抗もなく切り離れるはずだ。遠慮はいらない。さあ!」

とチケットを差し出したところ、係員のお兄さんは差し出されたそれをもぎる事もなく、まさかのチケット全回収。

予想外の展開に泣きながらリストバンドを装着されるという醜態を晒してしまいました。

間違った情報、ダメ、ゼッタイ。

 

いきなり出鼻をくじかれましたが、気を取り直してグッズ購入。

今年はあまり心惹かれる物が無く、単独ライヴに行く予定のVintage Troubleティーシャーツとポスターのみお買い上げ。

いったん車に戻って友人のくり子さん夫妻の到着を待つ事にしました。

ちなみにくり子さんは「MegadethやGhostの物販はメッセだよ」というメールを送ってあげたにも関わらず、マリンの物販に並んだ挙げ句、「MegadethもGhostも売ってなかった!」と憤慨するというウルトラCを披露。

どうしたらいいんでしょうか。

 

なんとかくり子さん夫妻と合流し、2日間の充実と無事を祈念して乾杯。

例年であればビール飲みながらダラダラするところですが、今年は朝イチから積極的に行動しますよ。

10時前には幕張メッセの最深部Rainbowステージへ。

朝イチにも関わらず早くもかなりの人出。

やはり今年の目玉であるところのあのグループ目当ての人たちでしょうか。

いずれにせよ朝から活気があるのは良い事だ。

 

〇 White Ash

 

2014年のサマソニックは彼らのライヴでスタート。

いくつか音源は持っているのだけれどライヴは初見。

会場に詰めかけたオーディエンスのほとんどは次に登場するグループのファンかと思っていたのだけれど、意外なほどに良い反応をもらっておりました。

「僕ら、軽音楽サークルでArctic Monkeysのカバーバンドとして結成したんですけど、ついに同じイベントに出させてもらう事ができました!」というMCには場内大喝采。

こういうのって一気に好感度上がるよね。

「東京モード学園のCMソングです!」と言って始めた曲は良かったナー。

ちょっとタワレコあたりで探してみましょうかね。

またライヴを観に行きたくなったバンドがひとつ増えました。

こういうのがフェスの良いところ。

 

TOKIO

 

今回のサマソニック最大のサプライズ

まさかのジャニーズ枠。

出演が発表された瞬間、「やったー!絶対観る!」と狂喜した人も多いのではないでしょうか。

他ならぬわたくしもその一人であります。

 

期待に胸膨らませて集まったオーディエンスがRainbowステージを埋め尽くし、フロア前方は始まる前から数メートル単位で左右に揺さぶられる始末。

TOKIO目当てで集まったライヴ慣れしていないであろう女の子達の悲鳴があちこちから聞こえてきます。

こんなカオスはAir Jam2011でHi-Standardが復活した時以来ですよ。

もうこの時点で伝説のアクトになる予感がビシバシとしております。

 

そんなフロアの危険な空気を感じ取ったRainbowステージMCのお姉さん。

「前方の人が苦しそうなので、自分なりのチワワ2匹分だけ下がってあげてください!」という謎すぎる呼びかけを披露。

会場が経験した事の無いようなざわつき方をしておりました。

可愛い女の子だから許されましたが、これがサッシャだったら完全に事故になってますよ。

ああいう「キティちゃんの体重」みたいな曖昧な指示はやめよう。

 

衝撃的なMCの余韻が残る中、ついにフロアの照明が落ち、民族大移動よろしく前方へ詰めかけるオーディエンス。

昼過ぎにして早くもヘッドライナー級の盛り上がりを見せるRainbowステージ。

そんな中、ついにジャニーズが誇るロックバンドTOKIO降臨であります。

まさか俺がジャニーズ事務所所属のタレントさんを目撃する日が来るとは思わなかった。

気が付いたら「リィィィィダァァァァ!」と城島リーダーに向かって絶叫していたん。

 

1曲目は名曲『宙船』。

「お前のオール」という歌詞は下ネタなのか否か。

そんなどうでもいい事が気になっております。

野太い合唱が響く中、フロアの混乱は雪だるま式に大きくなり、冒頭1分にして前方エリアから脱出して行く老若男女が続出。

ここまでの状況は予想外であります。

 

2曲目は個人的に待望していた『Ambitious Japan!』。

城島リーダーの「I get a true love!!!」というコーラスが聴けただけで感無量であります。

それにしても思った以上に演奏がしっかりしている。

5弦ベースを操る山口くんは歌も上手いし、ミュージシャン然とした雰囲気でかっこよかったナー。

 

リーダーの例のコーラスを聴けた時点で目標達成だったのですが、 想像以上のかっこよさに最後まで観る事に。

もうね、ジャニーズとかアイドルという肩書きはどうでもよくて、ロックバンドとしてすごくよかった。

20年のキャリアは伊達じゃないですよ。

メンバー紹介の時、国分くんが「いろいろやりすぎて自分が何をやってる人かわからなくなるけど、音楽やってる時が一番幸せです!」って叫んでたけど、ステージを見ていたらその言葉に嘘偽りが無い事はよーくわかった。

ドームを満員にするようなアイドルでもなく、バンドとしても「本当に演奏できるの?」と懐疑的な目で見られ、ジャニーズなのに村や島を開拓させられたりして、本人達の中では色々と葛藤があったと思うけど、それを完全に乗り越えてロックバンドとして堂々と演奏している姿がとてつもなくかっこよかった。

日本で一番愛されているバンドって実はTOKIOなんじゃないかとふと思ったん。

 

最後は「デビュー曲のサマソニバージョンだ!」という紹介からのLOVE YOU ONLYで場内狂乱。

長瀬くんに煽られて場内大合唱。やはり大ヒット曲は強い。

ついにクラウドサーファーまで登場。

TOKIOクラウドサーフなんて最高じゃないですか。

びっくりして泣いちゃう女の子もいたけど、今日ばかりはTOKIOがアウェイ側なのでご容赦ください。

いつかあの子が自ら進んでクラウドサーフがあるようなライヴに足を運んでくれたら胸熱であります。

 

最後は城島リーダーの「これから走って帰ります」というMCで朧げにスベりながら終了。

彼らの裏で演奏していた敬愛するVintage Troubleを断念してまで来た甲斐があった。

今度は彼らのホームにこちらから足を踏み入れるべきかなとも思ったん。

チケット争奪戦が凄そうだけど、今度はフルセットで観れますように。

 

 

TOKIOで完全に体力を消耗してしまい、しばしの休憩タイム。

着ていたNapalm DeathティーシャーツとCarcassタオルは完全に死亡。

TOKIOになんちゅー組み合わせやねん!」とか言わないの。

昼ご飯を食べ、水分を補給して体力の回復に務める。

朝から晩までマリンの前方エリアを確保するような体力はもはや俺には無いのだ。

ちなみに「わたくし」「俺」「僕」など一人称が安定しないのは芸風であります。

 

華原朋美

 

本当に気まぐれ的な塩梅で華原朋美ちゃんを観るためにGardenステージへ。

このステージは本当に別世界という雰囲気。

芝生の上に張られたテントの群れがサマソニックじゃないみたい。

ステージ前は屋根付きのスペースになっているけれど、そこには入らず、芝生に座ってのんびり観るスタイルの人が多い感じ。

とりあえず屋根があるところまで移動して開演を待つ事に。

お客さんの年齢層は高め。

 

開演まで残り数分となった頃、屋根付きのエリアへ続々と人が押し寄せて来て驚愕。

何事かと思ったら、どうやら雨が降ってきた模様。

ほんの数分でぎっしりと埋め尽くされるGardenステージ。

結論から言えば、この雨が超ファインプレーとなりました。

 

雨のおかげで人がパンパンに詰まった客席。

そこにタイミング良く登場して来る華原ちゃん。

「華原ちゃんを観るために大観衆が集結した」という図式が完成した訳であります。

これは演者のテンションも上がるでしょう。

観る側としてもある程度の人口密度があった方が盛り上がり易いというもの。

あの雨のタイミングはまさに神業であったと言わざるを得ません。

 

初めて生で観る華原ちゃん。

一時期の危うく不健康なイメージはどこへやら、天使のような可愛さでした。

しかも出し惜しみという言葉なぞこの世に存在しないのではないかと思ってしまうほどの鉄板セットリスト。

元彼の嫁の持ち歌まで堂々と披露する始末。

ちなみにオープニングは大ヒット曲『Keep Yourself Alive』で、これは翌日のヘッドライナーであるQueenの有名曲と同名異曲。

華原ちゃんのQueenに対するリスペクトに胸が熱くなり、思わず涙ぐんでしまった。

みんなもそうだと思う。

 

ライヴが始まる前は、Gardenステージという事もあり、ヒット曲をアコースティックアレンジか何かにして、かったるく自己満足的に披露するのかと思いきや、ベタベタのカラオケ音源に合わせて熱唱する華原ちゃん。

そこには微塵の迷いも感じられませんでした。

まさに「ミュージックステーション 華原朋美特集」とでも言いたくなるようなステージに狂喜乱舞する年齢層高めなオーディエンス達。

TOKIOの時にも思いましたが、やはりミリオンセラー級の大ヒット曲っていうのは本当に強い。

ファンとかファンじゃないとかそういう垣根を楽勝で越えるんですよ。

「あ、これがポップなんだな」と思った。まさに人口に膾炙している。

 

誰もが知っている楽曲と誰もが知っている華原朋美という歌い手のストーリー。

MCはそのストーリーの方へ自虐的に光を当てるようなものが多かった。

「みんなは20代を大切にしてね。わたしの20代は…ほら、ほとんど病んでたから」には場内大爆笑。

これはどん底の時期を乗り越えた今だから笑える事だよね。

彼女の音楽のファンという訳ではないけど、すごくお客さんにちゃんと向き合おうとしていて、なんだか応援したくなってしまった。

歌も衰えてないし、容姿も復活したし、MCも面白いし、これは再ブレイクありうるんじゃないだろうか。

普段の俺だったら、「あんなカラオケは認めないよ!」と吐き捨てるところですが、なんだかほっこりするような良いアクトでした。

 

Gardenステージからの帰り際、『タモリボキャブラ天国』でお馴染みのX-Gunのお二人を目撃。

こんなところまで90年代だナーと感心した。

 

 

〇Ghost

 

さあ、いよいよメタルの時間でございます。

待望の初来日を果たした北欧のオカルトメタルバンドGhost。

個人的に今回のサマソニックでかなり期待しているバンドです。

こんな雰囲気のバンドです、と言えば、メタラーのみなさまなら察して頂けるかと思いますが。

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丑三つ時にはまだほど遠い午後5時、いよいよGhostがMountainステージに登場。

神殿の内部のようなバックドロップが吊るされたステージに楽器隊(真ん中の人以外)が登場し、荘厳な雰囲気の音楽を奏で始める。

50分ほどの持ち時間しかないのに、とにかく荘厳な音楽を奏で続けるGhost。

なによりも雰囲気作りが大切なバンドだという事がよく伝わって来た。

 

そしてついにヴォーカルの髑髏(真ん中の人)が登場。

メタル meets ムード歌謡と言う表現が相応しいような楽曲に乗せて巧みな歌唱を披露。

この人、見た目からは想像できないくらい歌が上手い。

そして大御所演歌歌手のようなステージアクション。

こんなに馬鹿馬鹿しい独自の世界観を持つステージは久々に観た。

完全にGhostに取り憑かれてしまいましたよ僕は。

 

そのおどろおどろしい世界観を守るためにMCなどは無いのかと思いきや、意外なほどによくしゃべる。

「コンニチハ」に始まり、「これがこの国での初めて公演だ。ありがとう」といった定番の挨拶までしっかりとこなす髑髏ににやけてしまう。

更には「お水が欲しいけど…続けましょうか」とフェスならではの進行を気にするいい人ぶりには萌え死にですよ。

北欧のデーモン閣下というポジションなんでしょうか。

 

Twitter確認したら観た人は軒並み絶賛だったし、近いうちに再来日をセッティングしてくれれば、結構な動員があるんじゃないかと思うん。

今回の来日を足がかりにして、日本でも人気おばけになりますように。

 

 

Megadeth

 

まだまだメタルの時間は続きます。

お次はBig4の一角にして、震災以降まったく日本に見向きもしなくなったデイヴ・ムステイン率いるMegadeth

実に5年ぶりの来日であります。

そして恥ずかしながら個人的には初Megadeth

まさに待望の初Megadethなのです。

裏でやっていたロバート・プラント爺を蹴った事を後々後悔するハメになるのでしょうが、一時の感情に流されてMountainステージに留まる事を決意。

これで残すBig4はAnthraxだけに…。

 

スクリーンに10年前に作成されたと言われても納得してしまうようなダサいCGアニメーションが映し出され、それがMegadethのロゴに変わると場内大歓声。

みんな、やっぱりMegadethを待ち詫びていたんだね。

割れんばかりの大歓声の中、白シャツに黒チョッキという衣装で登場したムス様。

そして、勢いのあるダウンピッキングの嵐で始まったのは…

 

Hangar18!!!

 

いきなりの名曲炸裂にテンションが振り切れる場内。

スクリーンには「18」という桑田真澄氏を彷彿とさせる数字が繰り返し登場。

久しぶりの来日という事もあり、日本では披露していない近作からの曲を織り交ぜてくるかと思いきや、フェス向きのグレイテストヒッツなセトリでした。

『Criptic Writings』好きとしてはShe-Wolfもさることながら、Trustを演奏してくれたのは嬉しかったナー。

そのうち『Criptic Writings』完全再現で来日してくれないでしょうか。

 

去年Metallicaがトリを務めたフェスで、Metallicaよりも小さいステージのトリ前という事で、ムス様のご機嫌がどうなるか心配しておりましたが、観客の熱狂的な反応を受けて終始上機嫌。

変なクネクネするアクションを連発しておられましたが、あれはなんだったんでしょうか。

あまりの機嫌の良さで、自分を大写しにさせたカメラにキスをする大サービスまで。

終演後には、自分の唾液をまぶしたギターピックを投げたり、キスをしたリストバンドを投げたりと過剰なファンサービスも。

俺だったら体液(汗を除く)が付着してないヤツが欲しいけどな。

 

バンドのパフォーマンスは概ね良好でしたが、ムス様のヴォーカルは声量のわりに聴き取りにくいような気がした。

あれは音響というよりも発声の問題なのかもしれないと思ったり。

なによりも驚いたのは、あれほど容姿端麗だったムス様にも寄る年波が迫り狂っていた事。

あご髭は白く、豊かだった髪量にも若干の翳りが…。

本格的におじいちゃんになってしまう前に何度も来日して欲しいナーと願わずにはいられません。

次のアルバムからは日本飛ばししないでちゃんと来てね。

 

 

Arctic Monkeys

 

Megadeth終わりでマリンへ駆けつけ、途中から本日のヘッドライナーArctic Monkeysへ。

俺が到着した時点で聴きたかった1stの曲もすでに終わっていた。

最新作の濃密な楽曲はかっこよかったナー。

ヴォーカルのリーゼントもイカしていた。

 

俺の隣にいた男が終始自己陶酔したような気色の悪い踊りを踊っていてうざかったのだけれど、あれは間違いなく自称DJだと思った。

なにかしらの不幸が降り注ぎますように。

 

すいません。

あまりArctic Monkeysに詳しくないので気の利いた事も言えませんが、ドラムの人がコーラス頑張っていたね。

あと、誰も気付かなかったかもしれないけど、~~~っていうステージセットの中にAMの文字が隠されていたん。

あれに気付いたの俺だけじゃないかと思っている。

 

分厚い雲が垂れこめていたので心配したけど、最後は無事に花火が上がってサマソニック初日終了。

Dancing ShoesとかI Bet You~聴きたかったけど仕方ないね。

ホテルに戻って気絶するようにして就寝。

いよいよ翌日は再結成Queenだっ!

俺はたしかにXジャンプをした

みなさま、うだるような暑さの中、いかがお過ごしでしょうか。

もうすぐサマソニックという事で胸を高鳴らせているロックファンの方も多いのではないでしょうか。

かくいうわたくしもその一人であります。

という訳で、今回のブログは過去のmixi日記よりサマソニック2011参戦記を転載いたします。

震災後だからか妙におセンチなところもあって恥ずかしいのだけれど、尊敬するTwitterのフォロワーさんが褒めてくださった日記なので、勇気を出して公開してみる。

あふっ。

 

【以下、mixi日記より加筆修正の上転載】

 

そう。今年も年間最重要イベントの季節がやってまいりました。

正確に言えば、「年間最重要イベントが終了しました」だけども。

毎年恒例Summer Sonicですよ、サマソニック。

今年は2日通し券を購入したのだけれど、諸事情により参加が難しくなり、チケットを手放したり予約した宿をキャンセルしたり…。

本当に直前の直前まで見送りの体勢でした。

が、愛すべき友人たちのラブコールにより急転直下の参戦決定。

Red Hot Chili Peppersがヘッドライナーを努める2日目だけ行ってきました。



ここからは極私的サマソニック日記。

興味の無い方はモバゲーに熱中してください。

もしくはエロサイトに飛んでください。

もしくは故郷のご両親に手紙でも書いてください。

もしくは近所のBook Offに鈴木あみのCDが何枚売ってるか数えてください。

もしくは私のお墓の前で泣かないでください。 



まあ、そんな戯言はどうでもいい。

いきますよ、サマソニック日記。

Never to return!!!



8月14日深夜3時前、神奈川県某所。

アラーム設定は午前3時にも関わらず、鳴る前に目を覚ましてしまった俺。

この遠足前の小学生を軽く凌駕するであろう浮かれっぷり。

我ながら微笑ましくなった。

このポジティブ具合を仕事に活かせよと自ら叱咤激励したくなった。 



二度寝してつまらない事になってもアレなので、風呂に入ったりTシャツやらタオルやらを準備して自宅を出撃。

午前3時半、当然の事ながら辺りは闇。

蝉の鳴き声だけが響く中、愛車に乗り込んで颯爽と幕張方面へ向かいました。 



帰省ラッシュ的な渋滞や訳のわからないハプニングに遭遇する事もなく、レッチリのCDかけて熱唱しているうちに幕張メッセ駐車場に到着。

所要時間約1時間。

自宅から1時間で行けるロックフェス。

これからもサマソニックは末永く続けて頂きたい。 



駐車場に着いてその車の多さに驚愕。

いくら2日目とはいえ、午前4時半とは思えない台数が停まっている。

まあミッドナイトソニックとかあったんだろうけど、完全に想像以上。

今年は本当にチケット売れたんだなー。

サマソニック史上初の東京大阪完全Sold Out寸前!」とか言ってたし。

結局のところ完全にソールドしたんだろうか。


思ったより台数が多かったとはいえ、そこはまだ午前4時半。

わりと幕張メッセ寄りの場所にスペースを見つけて駐車。

この時間なのに駐車場係の人が普通に仕事してました。

さすがサマソニック期間。非日常だね。


何はともあれ今年も無事に会場に到着した事をロックの神様に感謝。

そして数時間後から始まるであろう阿鼻叫喚の宴に備えるべく

自宅から持ってきた朝食を命の水ビールで流し込む。

あまりの開放感に「自由だー!」と絶叫。

そしてビールお代わり。

このビールと共に俺のサマソニックが開幕しました。

テンション上がってしまい友達に「着いたよー」とメールするも音沙汰無し。

そりゃそうですよね、まだ朝の5時だもの。

この件に関しては俺が全面的に悪い。


まだリストバンド交換開始まで時間もあったので、マリンスタジアムの周りをうろうろしたりした後で仮眠開始。

7時過ぎに目覚めた時にはビール2本飲んだせいで当直明けのだるさ。

このまま俺のサマソニックが閉幕しそうになりました。

が、コーヒー飲んだりして無理やり回復。

トイレ入って準備してリストバンド交換しに行こう。


幕張メッセ駐車場の男子用にトイレに入って驚愕。

前日からの参戦組だと思しき白ブリーフ1枚の男が水道を全開にして行水中。  

Garlic Boysの名曲『白ブリーフ悪いか?絶対悪くない!!』が瞬時に脳内再生された事をここにご報告申し上げます。 


生まれながらのブリーフ党
おろしたてを身につけろ
Fresh Fresh


ちなみに誤解の無いよう言っておきますが、わたくしはトランクス派です。

まあそんな戯言はどうでもいい。


メッセでリストバンドを交換したり、友達にグッズ購入をお願いしたり、 そんな諸々の作業をしているうちに午前10時。

(註…この時に購入したレッチリの「いっしょだよ」ティーシャーツは近年稀に見るダサTであり、のちにダサT祭りで脚光を浴びる事になります。)

サマソニック2011、オープニングアクトがステージに登場する時間。

俺が2011年の開幕に選んだのは…


○ Fear,and Loathing In Las Vegas / Mountain Stage


日本期待の若手バンド、Fear,and Loathing In Las Vegasですよ。

簡単に言えば「ユーロビートメタルコア」みたいなバンド。

「ダンスロック+メタル」みたいのは何年か前に流行ったけど、このバンドはデス声とか使っててメタル耳にも馴染みやすいです。

ちなみにMountain Stageは幕張メッセ内で最大のステージ。

すっげー巨大です。


アルバムが最高だったので期待してたのだけど、ライヴでは初見。

20歳そこそこの若いバンドだし、アルバムでは色々とエフェクト使ってるし、まだ朝イチで先は長いし、あまり過度な期待はしてませんでした。

イマイチだったら見限って他のステージに移動すればいいのだから。

ちなみに会場前にメッセ前を歩いていたら、このバンドのサウンドチェック中で、ヴォーカルがシャウトやスクリームを熱心に練習しているのが聴こえました。

他のバンドもデス声とかのチェックしてるのだろうか。


そうこうしているうちに会場内のスクリーンにバンド名が表示。

一気にテンションが高まるフロア。

ふと振り向けば、いつの間にか結構な人数に膨れ上がってました。

朝イチでこれだけ集客できたら大成功だ。

やっぱり注目株なんだな。


いよいよ始まりそうな予感に場内民族大移動。

一気に前方フロアに人が集まり始めました。

と思った瞬間、場内暗転。

SEと共にバンドがついにステージに登場。

本当に本当にサマソニック2011が開幕した瞬間であります。


んで結論から言えば、演奏良い感じでやってました。

俺も若者たちに混じって暴れさせてもらいました。

必殺曲「Burn The Disco Floor with Your 2-step」では年甲斐もなくダイヴ。

まさか午前10時半に宙を舞うとは夢にも思ってなかった。

無事にセキュリティに受け止めてもらい駆け足でフロアに戻ろうとしたら、「走って戻らないっ!」と明らかに年下のセキュリティに一喝される俺。

まさかこんな歳にもなってダイヴして叱られるとは。

情けなくて情けなくて「このライヴ終わったらビール飲もう」と強く誓ったん。


若者たち(俺含む)の熱狂の中、Fear,and Loathing In Las Vegas終了。

いやーオープニングに相応しい良いパフォーマンスだった。

意気揚々とメッセ駐車場に戻り、グッズをお願いした友達連中と合流。

長蛇の列に並んでくれた労をねぎらってビールを奢ったりしてたら

まだ午前中なのにビールを5本飲んだ汗だくのおっさんという一点の曇りも無い社会の屑が完成。

ホラー映画だったら開始5分くらいで間違いなく餌食になってます。

ビール片手にゲラゲラ笑っていると俺の携帯が鳴動。


電話の主は我が友人くり子さん。

ついに幕張駅に夫婦で降臨したとの事。

幕張メッセで合流して昼飯&乾杯しようという運びに。

友人達と別れて幕張メッセへ移動開始。


あ。余談ですが、朝からメッセ駐車場近くの通路に、「チケット1枚ゆずってください」のボードを掲げた男性がひとり。

何回通りかかっても同じ姿勢で立ってるので密かに心配してました。

昼飯時にもまだ立ってたので「見つからないですか?」と声をかけてみた。

俺よりも少し年上と思しきその男性、大して落ち込んでる様子もなく


「20人くらいに声かけてもらったんですが、希望価格が5000円なんでねー」


なぬっ! ご ご ご 5000円っ!

そんな都合のいい話があるわけないよー。

Sold Outだし定価14000円くらいだしー。

レッチリが観れればいい」って言ってたけど手に入ったのかな。

正直な話、心配して損したと思った。


まあ、そんな貧乏くさい話はさておき。

メッセのロビーに設置されたサマソニックオブジェ前で無事に合流。

このオブジェは待ち合わせ場所として非常にわかりやすくて素晴らしい。



メッセのホールに入ると、Mountain Stageに黒山の人だかり。

こんなにギッシリ人が入ったマウンテンは初めて見た。

そうか、ちょうどテレフォンズが演奏してる時間帯なんだな。

テレフォンズ客の間を縫ってフードエリアに移動しようとしたが…


ダメだっ!

ちょうど「Urban Disco」が始まるところだっ!

くり子さん夫妻に「ゴメン!行って来る!」と言い残してダッシュ。

再びMountain Stageに身を投じました。

俺が悪いんじゃない。

テレフォンズがいけないんだ。


The Telephones / Mountain Stage


今年4月以来のテレフォンズ。

理屈抜きで盛り上がれる素晴らしいバンドだ。

途中から観たのにあんだけ騒げるって凄いと思った。

「Monkey Disco」を後半に取っておいてくれて本当によかった。

死ぬほど踊り狂った。

でも、頭血だらけの子が退場してったの見たけど大丈夫か?

ピアスがちぎれたのかしら。

大事に至らなければいいのだけど。

ピアスの方は気を付けてくださいませ。



昼飯を目前に逃亡するという不義理を犯しつつもテレフォンズ終了。

即座にくり子さんに電話しました。

電話で話す限りは怒ってなかったので一安心。

それともビールが怒りを鎮めてくれたのだろうか。

そんな事を心配しつつも無事にくり子さん夫婦と合流。

命の水ビールで乾杯させて頂きました。


途中でくり子さんの親友ハヤサカ氏(なでしこ)も合流。

昨日からサマソニック参加中の彼女。

Kornがいかに神アクトだったかを語られ昨日に思いを馳せました。

ちくしょー。観たかったなー。

あのマイクスタンド観たかったなー。


ビールお代わりしつつダラダラしてると完全に午後。

くり子さん夫妻はメッセ内のどっかのステージへ。

俺とハヤサカ氏(妖精)はマリンスタジアムへ。

それぞれ旅立っていきました。


Zebrahead / Marine Stage


本日初マリンスタジアム

この時間になるとだいぶビールが回っておりまして、

酩酊の関係で、ライヴの内容については記述不可能であります。

でもゼブラらしい下品で楽しい感じのライヴだったわ。

前方で暴れたりしなかったけど楽しめた。

ビールが回ってて気付かなかったけどダンディ坂野が来てたの?

俺も一緒にゲッツ!やりたかったよー。

誰か俺と一緒にゲッツ!やってください。

そんな誰かを密かに募集しております。


ゼブラが終わりそうな雰囲気だったので再びスタジアムの外へ。

終わった後だと出入り口がごちゃごちゃするから嫌だったんでしょうね。

酩酊してあまり覚えてないけど。


メッセでなんか観てたくり子さん夫妻と再合流成功。

またビール飲んだりキュウリの一本漬け食ったり。

「飲みすぎだろっ!」と思うけれど楽しいからよしとします。

ビール祭り開催のため次のPanic At The Discoはパスすることに。

予習のためにCD買ったんだけどな。


ビール飲んでるといつの間にか飲みメンバーに黒人が増えてた。

アルコールが見せる幻覚とか思ったが、何度確認しても黒人がいる。

どうやらくり子さんの友達の友達か何からしい。

「おい!ブラザー増えてるだろっ!」と叫びましたよ俺は。

結局、どういう素性の人間なのかわからなかったが喧嘩は強そうだった。

くり子さんと飲んでると外人が乱入してくる事がたまにある。


そんな俺の携帯が再び鳴動。

今度の電話の主は職場関連の先輩。

某病院の某課長であります。

「どこにいるー?」と訊かれ、合流して乾杯する事に。

方向音痴な俺の「マルボロのテントの近くです」「宇宙船の前です」

「DJがKula Shaker流してるのが聞こえます」といった曖昧なナビにも関わらず、サマソニック2011で某課長と感動の再会。

課長とサマソニックで会うのは2006年か2007年以来かもしれん。


何故かテンガロンハットを被って登場した課長。

相変わらずクールで素敵なダンディでした。

実にけしからんのが我が友人くり子さん(元ソフトボール部

我が課長に「ねえねえ。課長なんでしょ。奢ってよ」とたかり出す始末。

俺の職場関係の人にビールをたかるのはやめれっ!


朝から飲み続けているにも関わらず、一向にビールおかわりのペースが落ちない我々。

気が付けばLoud Parkのブースでビールをあおっていました。

そういや、メッセのオフィシャルバーは店員が可愛くなかったな。

この点ではくり子さんの旦那と完全に意見が一致。

男の熱い友情が芽生えた。


ちなみに某課長はHouse Of Painを観るために幕張メッセへ。

同じくHouse Of Pain目的でハヤサカ氏(小さな巨人)もメッセ組。

なんでも「Jump Around」という曲がお目当てなんだとか。

メッセに行かないくせにくり子さんが「ジャンパラーンド!」と騒ぐ騒ぐ。

誰かこの酔っ払いを静かにさせれっ!


永遠に続くかと思われたビール祭り。

だが、不覚にもマリンではマキシマムザホルモンが始まってしまった。

俺のお目当てのバンドのひとつですよ。

まさか頭から観れないとは…。

入場規制かかったら最悪なのでマリンスタジアムへ急ぐ。


Maximum The Hormon / Marine Stage


スタジアム内に入ったが、すっごい人でなかなかグラウンドに入れない。

グラウンドへ続く通路をのろのろと歩く羽目に。

すげー遠くで演奏してるからこっちのテンションも上がらない。

ビールを飲み過ぎたくり子さんの旦那はトイレに行くために早々に列を離脱。

くり子さんとふたりでのろのろとグラウンドへ進んでました。

が、無常にも列に並んだ状態でホルモン名物「恋のおまじない」スタート。

初体験のくり子さんにレクチャーしつつ恋のおまじない完了。

グラウンドでやりたかったよー。


最後のメガラバ→握れ!の流れも列に並んで聴くことに。

握れ!はヤケクソで騒いだけどモッシュしたかったなー。

9月のAir Jam行けたら思いっきり騒いでやりたい。

包丁ハサミ聴きたい。


ホルモン終わりでようやく前方エリアへ到着。

くり子さんの旦那も無事に再合流できました。

お目当ては日本が誇るあのバンドです。


X JAPAN / Marine Stage


まさかサマソニックにエックスが出る日が来るとは…。

観たいけど観たくない禁断のバンド。

彼らのファンがサマソニックの空気を乱すのが怖かった。

でも俺が見た限りではそんな事なくて一安心。

逆に俺たちがYoshikiとHideのコスプレイヤーを見て大興奮してた。

そっくりだったなー。


始まる前、くり子さんの旦那が「ダリア聴きたい」と言ってたから

俺まで猛烈にダリア聴きたくなって困った。

けど、よく考えたら7分くらいあるんだよなあの曲。

俺が2日間観に行った去年の日産スタジアムでもやらなかった

俺にダリアを聴かせれっ!


まだ日差しが残る千葉マリンスタジアム

ついに日本が誇る異形のバンドX JAPANサマソニック降臨。

始まった瞬間から大騒ぎになるマリンステージ。

俺たちはRブロックだったので目の前にはSUGIZO様。

気が付いたらくり子さんの旦那と「スギィゾォー!」と絶叫してた。

この絶叫はガンズ来日時の「ロビィィーン!」以来。

さすがSUGIZO様。元ビビアン・スーの恋人。


ていうか俺はいつエックスジャンプが来てもいいように、1曲目から両手をクロスして待ってたんですよっ。

それなのにエックスジャンプの出番が一番最後とはっ!

あまりの焦らし具合に泣いた。


あ。すでにネット等でご覧になった方も多いと思いますが、マイクを握ったYoshikiが震災で亡くなった方、そして先日亡くなった元XのベーシストTaiji氏を悼んで黙祷を捧げてくださいと呼びかけました。

そしてあの「ヴォグドゥゥゥー!!(黙祷)」という絶叫。

いろんな意味でマリンスタジアムが沈黙に包まれました。

詳しくはまとめサイトあると思うんでそちらを見てください。

ただ、あそこで黙祷を捧げる事が出来るのは日本のバンドだけだと思うので、それはそれで非常に意味のある1分間だったと思っております。



俺たちの世代ってやっぱりエックスがドンピシャなんだな。

俺の前後3歳くらいは完全に世代だと思われる。

ライヴ中にふと横を見たら、くり子さんの旦那も完全に合唱してるしな。

「Endless Rain」なんて一字一句違わずに歌いきりますよ、そりゃ。


次に観るのがいつかわからないが、次こそはダリアやってください。

だーれーもがもつー こーこーろーのー きずあとーにー


日本代表X JAPANが名曲「Tears」の音源と共に退場した頃、千葉マリンスタジアムには夜の帳が。

いよいよサマソニック2011も最後のアクトを残すのみとなりました。

出演が発表になった瞬間、日本全国のロックファンが狂喜乱舞したバンド。


Red Hot Chili Peppers / Marine Stage


すっかり陽も落ちて頭上に夏の夜空。

アリーナもスタンドも超満員。

そりゃ観たいよな、レッチリだもんな。


時間はわからないけど、そんなに待った気がしないうちにライヴ開始。

1曲目から必殺のBy The Way。

これは騒がない方がどうかしてる。

ステージ前方はとんでもない騒ぎになってました。

くり子さん夫婦は早々に後方へ退避。

それも正解だと思われます。


前回の東京ドームより遥かに間近で観るレッチリ

フリーは漫画のキャラクターみたいだったなー。

新加入のジョシュはジョンにシルエットが似てるような気がした。


ギタリスト交代という大変動を経て来日したレッチリ

現代最高のギタリストの後任という事で大変だろうけど

ジョシュは是非とも定着して名曲を残してもらいたい。

今月出るアルバムがどうなってるか楽しみだわい。


やっぱりレッチリは日本人の琴線に触れるバンドだ。

音楽的にもバンドストーリー的にも。

特に今回は震災後の困難な時期だけに余計染みた。 

彼らじゃなかったら、2011年のサマソニックは成立しなかったかもしれない。


とにかく歌詞が染みる。

Californicationの歌詞なんて今の日本にピッタリじゃないか。


破壊は険しい道へ続くが

創造も育てている

そして地震は女のギターに

いいバイブレーションを与えるものだ

津波は世界を救うことができなかったよ

カリフォルニケーションから

(Californicationより)


そして名曲「Scar Tissue」。

俺はこの曲のPVが本当に好きで何度観ても泣ける。

ポンコツ車に乗って荒野を旅するレッチリメンバー。

みんなボロボロに傷ついている。

しかし、その顔には悲壮感は微塵も感じられない。

そしてネックの折れたギターでスライドソロを弾くジョン。


これは一度戦いに敗れたバンドが再び立ち上がる姿だ。

解散寸前だったOne Hot Minute期を経て再生したレッチリの物語。

一度逃げ出したバンドに再加入したジョンの物語。


甘い秋を俺たちはフォールと呼ぶ


俺はこのラインが大好きだ。

とても優しくて、そして少し残酷なライン。

この時期、この曲を聴けて本当によかった。


本編最後、俺が長年待ち望んでいた瞬間が到来。

前回の来日時、俺が観た日に演奏しなかった曲。


Under The Bridge


俺がレッチリを好きになったきっかけだった曲。

イントロが鳴った瞬間、もうもう感無量だった。

高校生の時からずっと聴きたかった一曲。

生きていれば失う物も多いけど、こんな風に念願が叶う時だってある。

こんな瞬間があるから、また明日も生きようって思えるのかもね。



レッチリは本当に優しい。

言葉じゃ上手く言えないけど本当に優しい。

歌詞カードの日本語訳はかなり酷いとは思うけど、それでも感動してしまう言葉の凄さがある。

歌詞の面で言えばCalifornication以降は理屈抜きに凄い。 

良い翻訳の詩集があったら絶対に購入したいレベルなのです。


ちなみにセットリストです↓(ひろいもの)


SUMMERSONIC 2011 Tokyo (Marine Stage) 8/14 '11

1. By The Way
2. Charlie
3. Can't Stop
4. Scar Tissue
5. Factory Of Faith
6. Dani California
7. I Like Dirt
8. Otherside
9. The Adventures Of Rain Dance Maggie
10. Throw Away Your Television
11. Ethiopia
12. Right on time
13. Californication
14. Higher Ground
15. Under the Bridge

= ENCORE =
Drum Solo
16. Sir Psycho Sexy
17. They're Red Hot
18. Give it away



今年のサマソニック、震災後だからかもしれないけど本当に心に染みた。

仕事が大変でも、家庭が大変でも、原発メルトダウンしても、友達とビール飲んでロック聴いて騒げる日っていうのはかけがえが無い。

この調子だと日本人にとって来年がやってくるかわからないけど、2012年も無事に開催してくれたらいいな。

また同じ場所で同じメンツと騒ぎたい。

今年の4月、テレフォンズのライヴで聞いた言葉でこの日記を締めくくりたい。

俺が生で聞いたMCの中で文句なしに最高だった。


音楽は目に見えないから自由なんだよ

だから、きっと東北にも届くよ



また2012年8月、マリンスタジアムでみんなと会えますように。

この思いが君に届くように

願いが叶いますように


なにこの日記。

すいませんね。

Felt Forum '88

おかげさまで当ブログも1000アクセスを達成いたしました。

亀のような歩みとはいえ、1000回もアクセスを頂けた事実に小躍りしております。

祝賀会を開きたい気分であります。

ちなみに前回アップした『Self Destruction Blues』についての記事ですが、当然触れておくべき事実をすっかり無視しておりましたので、その部分を加筆致しました。

ほんの数行の文章ですので、改めて読んで頂く頂く必要は無いかもしれませんが、とりあえずご報告まで。

 

ブートレビュー第2回目となる今回。

前回はブートCDを取り扱ったので、今回はDVD物をレビューしたいと思います。

という訳で、今回はこちら!

 

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えー。ジャケットには'92と記されておりますが、これは88年の間違いです。

盤面には'88と印刷されているのに、ジャケットで思いっきり間違ってしまうという非常に残念なパターンです。

まあ、これはこれでブートらしい味があっていいのですが。

 

これは1988年5月9日、ニューヨークのFelt Forumという会場で開催された公演のブートになります。

同公演はガンズがヘッドライナーとして全米を回ったツアーのうちの1公演で、日本のEZOなどがサポートして出演しました。

ヘッドライナーなので持ち時間はたっぷりありますし(104分収録)、前回レビューしたシアトル公演と同じく、Appetite For Destructionがチャートを席捲している頃なので、客席の盛り上がりは最初から凄まじいものがあります。

ちなみにFelt Forumというのはニューヨークにある超有名会場Madison Squere Garden(通称MSG)の中にある中規模の劇場だそうです。

 

このブートDVDは西新宿にある某A店で購入したものです。

某A店の判断基準では、画質はX評価となっております。

某A店ではプロショットの画質はA・B・Cの3段階で評価しており、オーディエンスショット(観客が隠し撮りしたもの)のそれはX・Y・Zとなっています。

つまり同作はオーディエンスショットとしては最高の部類に入る評価とされている訳であります。

 

その最高ランクのDVDを再生してみると…

最近のブートDVDと違ってチャプター分けがされていないのは許せるとしても、かなり劣化を感じさせる遠目からのオーディエンスショット。

これをX評価というのはかなり強いハートの持ち主でしょう。

…と思うのは最初だけで、他のオーディエンスに視界を遮られる場面もありませんし、音質はかなり良好。後述する斬新なカメラワーク以外はストレス無く観る事が出来ます。

では、早速肝心の内容に触れていきましょう。

 

オープニングナンバーはIt's So Easy。

のっけからアクセルの声はかなり出ていて調子が良さそう。

フロアの前方は観客がみっちり詰まっていて、ガンズに対する期待の高さを伺わせます。

ステージの一段高いところに座るスティーヴンの派手なドラミングが目を引き、やはり初期ガンズはいいナーと思ってしまいます。

終始スティーヴンの派手なドラミングを観れるというだけでも、スティーヴンファンは買うべきだと断言できます。

演奏が終わると、観客に向かって「遅くなって悪かったね」などと後年であれば口が裂けても言わないであろう気遣いを見せるアクセル。

どうやら開演前にインタビューをこなさなくてはいけなかった模様。

 

続いて演奏されるのはMove To The City。

メンバーは演奏しながらステージ上を好き勝手に動き回ります。

この秩序の無さが初期ガンズの魅力のひとつでしょうか。

この時点ではEP『Live Like A Suicide』でしか聴けない楽曲ですが、かなりオーディエンスに浸透している様子でIt's So Easyに引けを取らない盛り上がりを見せています。

 

アクセルの「君たちにまた会いたいから、踊りに行く時には気を付けろよ。俺と一緒に踊りたいか?俺の名前を知ってるか?俺の名前は…Mr.Brownstoneさ!」というMCに導かれてMr.Brownstoneがスタート。

この曲のイントロのリズムに合わせて、カメラがズームイン・ズームアウトを繰り返すという撮影者の小粋な演出が炸裂。

画面を直視していると酔って嘔吐します。ご注意ください。

曲のラストに同じ演出が再登場しますので、最後まで油断してはいけません。

 

心地よい横揺れの後は、思いっきり攻撃的なOut Ta Get Meへ。

イントロで足上げキックを連発するアクセルの若さに胸が熱くなります。

ギターソロを弾くスラッシュにまとわりつくようにして歌うアクセル。

そして曲のラストでは、イジーの腕ぐるーんが炸裂!

この腕ぐるーんを観るためだけでもイジーファンは買うべきだと断言できます。

 

アクセルがスティーヴンとダフを観客に紹介し、Rocket Queenがグルーヴィーにスタート。

リズム隊の活躍が鍵を握るガンズ屈指のダンスチューンであります。

曲の中盤でダフが堂々としたベースソロを披露。

このベースソロを観るためだけでもダフファンは買うべきだと断言できます。

曲が明るく展開するところで例のズームイン・ズームアウトのカメラワークが登場。

酔い止めは手元に置いておいてください。

ちなみに最後のパートのアクセルの歌唱は絶品です。

 

My Michelleのイントロアルペジオが2回ほど鳴りますが、アクセルの指示でバンドはPatienceを演奏し始めます。

ライティングが真正面からカメラに直撃し、画面全体が青っぽくなりかなり見辛くなります。

が、この状態は少しの我慢で改善するので安心してください。

スラッシュのギターソロはスタジオ盤とはかなり違う感じで面白いです。

Patienceは当時未発表だったので客席の盛り上がりはそれなりですが、終わった後は場内大歓声。

曲の良さは十分伝わったようです。

 

Patienceに続いて演奏されたのは、同じく『GN'R Lies』に収録予定のUsed To Love Her。

聴衆の多くにとっては馴染みの無い曲ですが、ノリの良い曲なので初めから盛り上がってます。

イジー&ダフはマイクスタンドの前から動かずアクセルと一緒に歌っていて、すごく楽しげな雰囲気が画面を通して伝わってくる演奏です。

 

馴染みの無い曲が2曲続いた後、My Michelleのスリリングなイントロが始まり場内の熱気が再び高まります。

やはりアペタイトの曲は人気がある。

非常に残念な事に、例のカメラワークがイントロで炸裂。

撮影者本人が非常に気に入っている技である事だけは伝わってきます。

さらに画面がゆっくりと左右に傾く新しいカメラワークまで登場。

「普通に撮ってよ!」と叫びたくなります。

 

そして観客が待ちに待った大ヒット曲Welcome To The Jungleで場内大爆発。

アクセルの動きは絶好調で、我々ファンが考える「アクセルらしい動き」というのがすべて詰まったパフォーマンスを披露しています。

ガンズのコピバンでアクセル役をやっている方は必聴です。

そしてスラッシュはノっているのか酔っているのか、この曲に限らず、スタジオ盤とは違うフレーズを随所で弾きまくっています。

ギターをやられている方には興味深いのではないでしょうか。

 

Welcome To The Jungleの後でテープチェンジがありますが、演奏にかぶっていないので視聴には問題ありません。

ジャングルに続くのがSweet Child O' Mineという超贅沢な流れ。

イントロのギタートーンが完璧にスラッシュしていて泣けます。これは凄いです。

ダフのメロディ弾きもきっちり弾けていて感激。

ここでもアクセルの歌は絶好調で、SCOM好きの方は必聴のバージョンです。

 

Only Women Bleedをイントロにして(アクセルの歌は無し)Knockin' On Heaven's Doorへ。

この曲のギターソロを弾き終わった後のスラッシュのやりきった感が素晴らしいです。

このやりきった感を観るためだけでもスラッシュファンは買うべきだと断言できます。

ここで何故か時刻表示が画面に一瞬だけ復活。午後10時55分だそうです。

 

アクセルのメンバー紹介でステージ前方に歩み出るスラッシュ。

「ニューヨークに戻って来れて嬉しいよ」とか挨拶した後、おもむろにギターソロを弾き始めます。

ひとしきり弾いたところでバンドが加わりBlues Jamへ。

いくつかのブートではThe Avengersという名前で知られているジャムですが、その由来はよくわかりません。まあ、単なるジャムです。

こういうBlues Jamをさらりとこなす辺りがアメリカのバンドらしいですよね。

が、この曲の演奏中にステージを横切る怪しい影が…。

なんと自転車に乗ったアクセルがステージを横断して行ったのです!

ここがこのブートDVD最大の見せ場。

このサイクリングシーンを観るためだけでもアクセルファンおよび自転車ファンは買うべきだと断言できます。

 

 「これは『GN'R Lies』に入る予定のオリジナルバージョンだ」というアクセルの曲紹介で始まったのはYou're Crazy。

観客に馴染みのあるアペタイトバージョンではなくアコースティックバージョン。

しかし、曲の途中でアクセルが「これでもくらいやがれ!」と絶叫すると、アペタイトバージョンへ変貌。

ごくたまーに披露するハイブリッドバージョンです。くそかっこいい。

これは勝手な推測なのですが、このアレンジはアクセルが敬愛するQueenWe Will Rock Youで同じ事をやっていたのがヒントになっているのではないかと思います。

後年、Brian Mayがガンズのライヴに飛び入りしてWe Will Rock Youを演奏した時、途中でFastバージョンになるアレンジだったので、この推測もあながち見当外れでは無いかと…。

 

スラッシュの「君たちに捧げるよ」というMCからNightrainへ。

ここまでの熱演で枯れ気味になった声を振り絞るようにして歌うアクセル。

最初のギターソロはイジーとスラッシュが背中合わせになって演奏。

これはぶっ倒れるくらいかっこいいです。

これを観るためだけでも背中合わせファンは買うべきだと断言できます。

アウトロのロングソロを弾くスラッシュの周りを嫌がらせのように踊り狂うアクセル。

最後はアクセルのアドリブシャウトで終わるという珍しいアレンジ。

ここで本編終了です。

 

アンコール1発目は88年では超レアなDon't Cry。

Don't Cryを叩く88年のスティーヴンを観れるだけでも幸せです。

演奏中は聴き入っていた観客も、曲が終わると未来のヒット曲に大喝采。

そして、バラードでしっとりした空気を打ち破るようにして始まったのは、Aerosmithのカバー曲Mama Kin。

デビュー前から演奏していた1曲だけあって流石の出来。

 

長い夜を締めくくる1曲として準備されたのはParadise City。

この時点ではガンズのライヴ不動の最終曲として認識されていた訳ではありませんが、観客が待ち望んでいた1曲だけあってフロアの揺れ具合が凄いです。

ちなみにここでも例のカメラワークが登場しますが、ここまで観て来た人であれば心が乱される事はないでしょう。

ここではスラッシュとアクセルのマイクシェアが観れますので、マイクシェア好きの人にとっては…ってもうしつこいですかね。

最後のキメに合わせて半回転したアクセル、客席に向けてお尻を出してライヴ終了。

この時点ではアルバム1枚だけの新人ですが、実に堂々とした100分超の熱演。

文句の付けようがないでしょう。

 

前述した通りカメラワークの問題などはありますし、ブートに慣れていない人には少し厳しい画質ですが、定番のプロショット映像を一通り手に入れた後にでもチェレンジしてもらいたい1枚です。

ガンズが好きであれば大いに楽しめると思います。

願わくば同公演のプロショット、もしくは画質の良いバージョンが発掘されますように…。

 

Self Destruction Blues

いよいよ8月になりました。

今月は年間最重要イベントであるサマソニックの開催月。

万が一にも夏風邪などひかぬよう細心の注意を払って生活しております。

みなさまにおかれましても風邪などひかれませんようご自愛くださいませ。

 

早速ですが、今回からガンズのブートのレビューなぞをしていこうと思っております。

記念すべき第1回目のタイトルはコレっ!

 

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Langleyレーベルからリリースされた『Self Destruction Blues』。

1988年6月1日、シアトル公演のオーディエンス録音物であります。

ちなみにLangleyレーベルは西新宿にあるDust an' Dreams(現Lighthouse)内のハードロック専門レーベルで、ガンズ関連作品でも優良音源を多数リリースしていました。

このシリーズのジャケットデザインを手がけたデザイナーさんをちらりとお見かけした事がありますが、非常に可愛らしいお嬢さんでした。

今でもブートのデザインなどを手がけているのでしょうか。気になります。

 

前述の通り、この公演は1988年6月1日に行われたもので、我らがGuns N' Rosesは英国のヘヴィメタルバンドIron Maidenのサポートアクトとして出演しました。

これはメイデンの『Seventh Son of a Seventh Son』アルバム(邦題『大家族』)に伴うツアーで、今はKey Arenaという名称になっている収容人数約2万人弱の大会場で行われた公演のようです。

前座とは言え『Appetite For Destruction』がチャートで急上昇している頃で、ガンズは最初から大歓声をもってオーディエンスに迎えられます。

この約2ヶ月後の1988年8月6日に同作は全米チャートの頂点に輝く訳ですが、このブートはその直前、バンドがまさに上昇気流に乗って破竹の快進撃で突き進んでいる様を見事に捉えています。

ちなみに裏ジャケに記載されている9月8日Concord公演というのは間違いで、セットリストやMCなどから6月1日のシアトル公演である事が確認されております。

昔のいい加減なブートならともかく、2000年代に入ってから日本の業者が作った物のしては珍しいミスだと思われます。

 

CDを再生して一番最初に気付くのは、演奏の荒さとテンポの速さでしょう。

メンバーの誰ひとりとしてスタジオと同じような演奏を心がけていないのがありありとわかります。

嵐のようなIt's So Easyが終わり、アクセルの観客に噛み付くような「踊りたいだろ?俺と踊りたいんだろ?俺の名前は…Mr,Brownstoneさ!」というMCで始まるMr,Brownstoneのかっこよさ。

チャート急上昇アルバムを引っさげて故郷に凱旋したシアトル出身ダフもイントロで「YO! YO!」と叫ぶなど、明らかにバンドがノっている様子がわかります。

 

そしてトラックリストではRapと記載されているのは、未発表曲のIt Tastes Good, Don't It?です。

ブート音源に馴染みの無い方でも、東京ドームのライヴビデオでRocket Queenの途中でアクセルが披露するラップといえばわかって頂けるのではないでしょうか。

ロングバージョンもあるのですが、ここで聴けるのはいわゆるショートバージョンとして知られている1分足らずのバージョン。

この勢いのあるラップからのRocket Queenの流れは脱糞するくらいかっこいいです。

 

ちなみにアクセルはこのIt Tastes Good, Don't It?の歌い過ぎで喉を壊し、この公演の少し後から休養を余儀なくされます。

そのせいで当初7月に予定されていた初来日公演は同年の12月へ延期される事となり、その間にアルバムがとんでもない事になったおかげで、ガンズは初来日にして日本武道館のステージに立つ事になる訳であります。

アクセルの不調の兆しはこのライヴでもすでに見受けられ、声が非常に荒れています。

ガラガラとまでは言わないまでも、いつも以上にざらついたエッジのある声質となっており、それが予期せぬ魅力をもたらしております。

 

アクセルも自分の声の異変に気付いているのか、Knockin' On Heaven's Doorの冒頭やSweet Child O' MineのWhere do we go?パートなどで意識的に喉を休めようとしているのですが、勢いにノっているバンドにつられてすぐに歌唱は激しい方向へ振れてしまいます。

その絶妙な静と動のコントラストがこの公演を特別なものとしていると言っては過言ではありません。

いつもの金切り声に頼らず意識的に中音域を使ったヴォーカルも新鮮だし、アクセル特有のシャウトも喉の不調のせいか壊れる寸前の危うさがあって妙に魅力的です。

 

特筆すべきは後半に演奏される大ヒット曲Welcome To The Jungleでしょう。

Sweet Child O' Mineはこの時点では「New video」と紹介されており、そこまで認知度はありませんが、Welcome To The Jungleはすでに大ヒットを記録しており、間違いなく観客に最も認知されている曲で、客席のテンションも一気に急上昇。

これまでの熱演でアクセルのテンションも上がりきっており、喉も裂けよとばかりに冒頭の「D'you Know where you are?」から大絶叫。

咆哮と呼ぶのが相応しいようなヴォーカルを聴かせてくれます。

数ある同曲のライヴバージョンの中でも最高の部類に入る名演でしょう。

 

持ち時間もわずかとなり、アクセルは最後の曲を観客の投票で決めます。

NightrainとParadise Cityのどちらを聴きたいか、観客の声援の大きさで決めようと言うのです。

歓声はどう贔屓目で見てもParadise Cityの方が大きかったように思うのですが、アクセルは迷う事無く「Nightrainの勝ちだ」と宣言し、最終曲Nightrainをコールします。

常識人であるところのスラッシュはParadise Cityのイントロを弾き始めますが、アクセルは「おい!待て待て待て!Nightrainの勝ちだっつーの!」と演奏を強制終了。

改めてNightrainの開始を宣言するのです。

Paradise Cityを聴けなかったオーディエンスのみなさんには申し訳ありませんが、「アクセル!単にNightrain歌いたかっただけちゃうん?」と言いたくなるような鬼気迫るNightrainの迫力の前には何も言えません。

冒頭から「Loade like a freight train WOO!!!」ですよ。テンション高過ぎでしょう。

 

スティーヴン脱退後、メンバーは「マットが入ってバンドが成長した。ガレージバンドからスタジアムバンドになれたんだ」と言っています。

たしかにそれもひとつの真実でしょう。

毎晩数万人単位の観客を満足させるためには、コンスタントに80点~90点を出せるバンドにならなくてはいけません。

しかし、オリジナルのガンズには計算できない凄さがありました。

30点の日もあれば150点の日もある。

マットを加入させる事によってガンズは安定を手に入れましたが、それと引き換えに魔法のような夜を手放してしまったような気がしてなりません。

ブートを収集するのも、そんな魔法のような演奏を探して求めているからなのかもしれませんね。

 

CDの最後にはボーナストラックとして伝説の88年Limelight公演から4曲を収録。

当時はLimelight公演を完全収録したブート『P.O.D.』はリリースされていなかったので、この4曲が聴けるだけでも驚愕でした。

Langleyレーベルのオーナーさんに聞いたところによると、当時イギリスで買ったカセットテープに入っていた音源のようなのですが、『P.O.D』が出回った今ではあまりありがたみを感じないかもしれません。

 

ガンズのブートには定番とされる音源が多数ありますが、もしも「定番以外ならどれが一番オススメ?」と訊かれたら、この『Self Destruction Blues』を挙げると思います。

そのくらい演奏の勢いが凄まじいです。

ライヴにスタジオ盤と同じクオリティを求める方には向かないかもしれませんが、ライヴの聖なる1回性に重きを置く方なら絶対にオススメです。

是非この荒々しい5人の若者の姿に触れてみてください。

絶対に損はしないと思います。