暑いですね。暑い。
6月になったばかりというのにこの暑さ。
今年のサマーソニックも去年と同じかそれ以上の惨状になるのではないかと今から非常に心配しております。
こんなに暑いとブログの更新もままならず…という訳ではないのですが、またまた前回から間が空いてしまいました。
仕事から帰って来た後、少しは書き進める時間はありそうなものだけれど、すぐにビールを飲んでしまうのがいけないんですかね。
ビールを飲みながらテレヴィジョンを視聴したり、本を読んだりしているうちにいつの間にか気絶、気付いた時には朝になっているという日々です。
ビールとブログの両立ができるよう試行錯誤していきたい。
という訳で、もう先月の話になってしまうのですが、観て来たライヴについて書いてもよろしいでしょうか。
よろしくないという方がいらっしゃいましたら、実際に何かのライヴや酒席でご一緒した際にやんわりとお伝えいただけると幸いです。
ちなみに当方筋金入りの人見知りでございます。
5月26日(月)
Imperial State Electric@渋谷CLUB QUATTRO
北欧の暴走ロックンロールバンドとして人気を博したThe Hellacopters(R.I.P.)のニッケ・アンダーソン率いるImperial State Electric(以下、ISE)。
初来日となった2012年9月以来の待望の再来日。
前回の来日公演があまりにも素晴らしく、その前月に観たVintage Troubleの単独公演と合わせて「2012年夏の奇跡」と勝手に命名し、事あるごとにその思い出に浸っております。あの夏は熱かったナー。
会場は前回と同じ渋谷CLUB QUATTRO。
前回は初来日の顔見せ公演という意味もあったのか3900円という破格のチケット代だったのだが、動員的には大惨敗。
東京はフロアの後方に丸テーブルを配置し、無理やり空きスペースを潰すという切ない状況に。
が、東京はまだマシで、名古屋はお客さんが100人いなかったとか。
初来日からそんな苦境の中、ISEの日本での所属レコード会社Trooper Entertainmentの宮本代表がライヴに先駆けてステージに立ち、東京のオーディエンス達に対して素晴らしい前説を披露してくれました。
記憶を辿って再現してみたいと思います。大筋では合っていると思います。
宮本氏:
僕が前の会社にいた時、解散するヘラコプターズを日本に呼びたかったけど、色々あって呼ぶことができなかったんです。
だから、自分の会社でImperial State Electricを絶対に呼びたいと思ってました。
で、今回来てもらう事になったんですけど、名古屋とかは本当に動員が厳しくて…。
だから、メンバーには正直に言ったんです。
「本当に申し訳ないけど、今日のライヴはお客さん全然いないかもしれない」って。
そうしたらニッケは「俺たちを観たいと思ってくれる人がいるんだったら、俺たちは客が何人でもやるよ」って言ってくれて。そういう奴らなんです。
今日もすごいライヴを観せてくれると思います。
インペリアル!ステイト!エレクトリック!
だいたいこんな感じだったと思うのだけれど、ニッケが登場する前から目頭が熱くなるとは思わなかったよね。
この前説とISEの熱演。忘れられない記憶として僕の脳みそに爪痕を残しております。
だから、今回も勝手に宮本さんの前説から始まるのではないかと予想しておりました。
動員的にアレだった初来日のリベンジで大入りになればいいナーと思っていたのだが、5月に入ってからチケット買ったのに整理番号170番くらい。
え…まだ200枚も売れてないの…?と背筋が寒くなりました。
少しでも動員の足しになればと思い、その日から公演当日までTwitterでISEをゴリ推しするという草の根運動を開始。
が、その甲斐無く開場直前のQUATTROは閑古鳥。
整理番号170番なのに楽々と2列目を確保できるという有様でした。
整理番号50番くらいのフォロワーさんと簡単に合流できたのは嬉しかったけれど、この動員はちょっと危険なのでは…。
でも、前回と違ってフロアにテーブル置かれてないしな…。
みなさんお仕事終わってから駆けつけるのであろうと信じて開演を待つ。
開演の19時直前、最終確認で後ろを振り返ると、GWに観たCarcassの大入りには程遠いが、超ガラガラと言わなくてもいい程度にはお客さんが散在していたので一安心。
さすがに2回連続で閑古鳥だとこの素晴らしいバンドに申し訳なさすぎる。
彼らはアルバムよりもライヴの方が7000倍くらい魅力的なので、ライヴレコーディングして『Live In Japan』でも出してくれた方が友達とかにオススメしやすいんだけどなあ…。
などと思っていると、ほぼ定刻通りにメンバー登場。
いきなりメンバーが出て来るところを見ると、今回は宮本さんの前説は無いのか。
ISE来日公演のお約束になったらいいナーと思っていたので少し残念。
全員黒ずくめの衣装で身を固めたISEのメンバー達。
ニッケは例によって軍人風の帽子をかぶっていて、これが死ぬほどクール。
ニッケLOVEな娘さん達はもう辛抱たまらんのではないでしょうか。
ステージに登場したメンバー達、まずはそれぞれの楽器を手に取り念入りにチューニング開始。
「1曲目:チューニング」とセットリストに書いてるのではないかと思うほど、それはそれは入念なチューニングでございました。
でも、このチューニングする姿も絵になるっていいよね。
客席に背を向けているのにも関わらず背中ですべてを語る男、それがニッケ・アンダーソン。
チューニングを終えたバンドは、最新作『Reptile Brain』の1曲目に収録されているEmptiness Into The Voidで勢いよくセットをスタート。
前回の来日ではCheap TrickのHello Thereという変化球な幕開けで驚いたが、今回はアルバムのツアーらしく直球ど真ん中で勝負だ。
黒のレスポールを左利きに構え、ギターをかき鳴らしながら歌うニッケは生まれながらのロックスター。
Emptiness Into The Voidから間髪入れず緊張感のあるイントロを持つUh Huhへ。
なんちゅー曲名やねん!というツッコミはさておき、名作2ndアルバム『Pop War』の冒頭を飾る名曲にオーディエンスはハンドクラップで大喝采。
「2分未満の名曲を挙げよ」というお題があったら迷わず推挙したい名曲であります。
渋谷CLUB QUATTROに集まったオーディエンスは、数は少ないけれど筋金入りのISEファンばかり。
どんな曲にも盛大に反応し、フロアの温度を沸点に向けて上昇させていく猛者ぞろい。
I'll Let You Downの前(だったと思うのだけど…)にギターのトビアスが物悲しいアルペジオと共に歌いだしたKISSのBlack Diamondにも完璧なコーラスを提供するくらいのロック好きが集まっているのだから、これはもう盛り上がらない訳がない。
ロックの神様による最高の創造のひとつであるニッケ・アンダーソン。
売り上げはロックレジェンド達の足元にも及ばないが、アクションのひとつひとつがかっこいい。
少年少女、紳士淑女、童貞処女、ボーイミーツガール、正社員派遣社員、ステータスはどうだっていいけど、ロック好きなら間違いなく気に入るバンドである事を保証しておく。
間違いなく彼はロックの神様のお気に入りだと思う。
アリーナで豆粒のような姿を観るのではなく、汗臭い場末のクラブで至近距離から観たいロックスター、それがニッケ・アンダーソンだ。
彼がKISSなどを聴いて育った事が大きく影響しているのだろうけど、とにかくかっこよさにこだわったステージに脳髄がゆさぶられる。
彼らの中で「かっこいい事はやる」「かっこ悪い事はやらない」という判断基準が絶対的に存在しているのだろう。
だって、ステージの上にはかっこいい事しか存在しないんだよ?
全員黒ずくめの衣装もかっこいいから。
ニッケがカールコードを使っているのもかっこいいから。
ガーンとコードを鳴らして、その間にポーズを決めるのもかっこいいから。
ピート・タウンゼントよろしく腕をぐるーんと回してピッキングするのもかっこいいから。
しつこいほどにキメのパートが出て来るのもかっこいいから。
メンバー全員歌が歌えるのはビートルズやKISSみたいでかっこいいから。
とにかくもうかっこいい事ずくめ。
ISEのライヴを観て胸が高鳴らない人がいたら、そいつはロックンロールを好きになる素養が1ミリも無いよ!と極論を唱えてしまいたくなるくらい圧倒的。
「音楽の好みは人それぞれでしょうよ」という意見はもっともですが、ISEとVintage Troubleに関しては、そのような正論が一切効力を失うのです。
嘘だと思うなら一度ライヴを観てご覧なさい。
それでもダメなら仕方がない。一生ご縁が無かったという事で…。
熱狂に次ぐ熱狂のライヴ。
「今まで書かれた中で最高の曲」という紹介で始まったDead Boysの超名曲Sonic Reducerには発狂しました。
パンクロックの超定番にして超名曲。
ガンズファンのみなさまにおかれましては、2009年の大阪公演(伝説の0時越え)でトミー・スティンソンが歌った楽曲として認識されているのではないでしょうか。
この曲でヴォーカルを取ったのはベーシストのドルフ。
ニュージーランド出身の暴走ロックンロールバンドThe Datsunsのフロントマンであります。
The DatsunsはMF From Hellという超名曲馬鹿ソングを持つ素晴らしいバンド。
未聴の方は是非一度チェックしてみてくださいませ。
The Datsuns - MF From Hell - YouTube
そして最高のクライマックスは最後の最後にやってきました。
最後の曲のエンディングが近づいた時、
唐突にフロントの3人がステージに膝を着いたのです!
文字にすると「へー。そうなんだ」という感じでしょうが、これが本当に腰から崩れ落ちるくらいかっこいい。
今までの熱演のすべてがここに集結したんだ!と叫びたくなるくらい。
これぞカタルシス。
まさに魂の浄化がここで行われた訳であります。
Ozzfestで観たToolは崇高とも言える演奏の後、紙吹雪の発射というベタベタに手垢に塗れた演出をする事で、裏の裏をかかれた時に感じるような快感をオーディエンスに与えた訳だが、ISEの場合はもう直球ど真ん中、最後はまっすぐが来ると予想していたバッターがボールの下を空振りしてしまうような予想を超えた直球を投げ込んで来たんですよ。
あの瞬間、このバンドには一生付いて行こうと誓いましたよ、僕は。
この膝着きの話が文章じゃ伝わらないのは十分承知。
本当かどうか確かめるために次の来日は是非会場に足を運んでください。
絶対に絶対に損はしないと思いますよ。
好きなバンドがひとつ増える結果になると思います。
で、終わった後には美味しいビールを飲もうじゃありませんか。
1杯くらいならおごりますよ。
この日は珍しくバンドの出待ちなどをしてしまったわたくし。
新潟からはるばるISEを観にやって来たフォロワーのさきえさん(美女)の高速バスの出発時間があるのでハラハラしましたが、タイムアップになる前にバンドが外に出て来てくれました。
メンバーに殺到するファンのみなさまを押しのけるほどのバイタリティを持ち合わせていないので、順番が来るまでじっと我慢してニッケとドルフのサインをゲット。
ニッケはこちらから「また来てね!」と言った訳でもないのに、「またすぐに会おうぜ!」と大声で叫んでくれました。
これだけ素晴らしいバンドなので「フェスで大勢の人に観てもらう&単独公演のセット」だったら嬉しいナーと思っております。
そしていつかヘラコプターズの楽曲も解禁となりますように。
天使の羽根アルバムから演奏されたら泣きながら泣きます。
そんなこんなで雑なライヴレポートは終了。
みなさまにおかれましては体調など崩しませぬよう夏をお迎えください。