Guns N' Rosea来日公演ブログ第2回でございます。今回は中編ということになるのでしょうか。なるといいですね。
前回の記事内でもお伝えした通り、こちらはいわゆる“ライヴレポート”ではなく、わたくし自身のための備忘録という性格が色濃い記録でございます。
しっかりした素敵な内容のライヴレポートを読みたい方におかれましては、インターネット(ご存知ですか?)を上手に使って「ガンズ ライヴレポ しっかりした内容 おすすめ」などと検索していただければよろしいかと思います。
あ。ご挨拶が遅れました。僕です。本名です。
先ほど前回の記事についてちらりと触れましたが、いきなり中編にアクセスしてしまった方がいらっしゃるかもしれないので、念のために前編を貼っておきましょう。
いきなり中編から読むなんて、ドラマ『古畑任三郎』を2話から観るようなものですからね。1話から観ないと何もわからないよね、という話ですわ。はは。
前回は手に汗握る心理戦が繰り広げられた物販周りでの出来事をご紹介しましたので、今回からはいよいよ会場となったKアリーナ内部へと潜入していくところから始めてまいりましょう。
約2年半ぶり、そして一夜限りのガンズ来日公演で何が起こったのか。わたくしの目から見た2025年5月5日の物語へとみなさまを誘ってまいります。
誘われたくない方におかれましては、タレントのヒロミさんのWikipediaなどに移動していただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
GOLDチケットに付属する物販優先レーンという実に薄汚い金銭パワーによって想定よりも早く物販列を抜けることに成功したわたくし、会場周辺で遭遇したホロワーさんたちに挨拶をして回ります。
思えば2002年、2007年、2009年の来日公演では会場に知り合いなどほとんどいなかったのだけれど、Twitter(現:Twitter)をやるようになってからガンズファンのホロワーさんが少しずつ増えていき、2025年の今となってはあちこちに見知った顔を見つけることができるようになったのだから不思議なものです。
まあ、こちらが一方的に知り合いだと思っているだけで、先方は「誰やねん、こいつ」と訝りながら相手をしてくださっている可能性もあるので、その場合は「すみません。存じ上げないのですが」と正直におっしゃってください。よろしくお願いします。
わたくしが一方的に知り合いだと思っているだけかもしれない方々と歓談していると、時刻はいつの間にか14時半。
本来の開場時間は16時半からですが、GOLDチケット所有者を対象に「GOLDラウンジ」なるものが営業されることになっており、アルコールを含むドリンクが飲み放題という大サービスぶりで、まさに「これで8万円もしくは5万円の元を取ってください!」と言わんばかりの企画なわけであります。
ちなみにわたくしの計算によりますと、1杯700円のビールを飲んでチケット代8万円の元を取ろうとした場合、114杯ほど飲めば実質無料でガンズのライヴを観られることになります。約40リットルやね。
少し出遅れて入場待機列に加わると、わたくしの前にはGOLDチケットを所有した猛者たちがズラリ。少しでもチケット代の元を取ってやろうという覇気がひしひしと伝わってきて、気弱かつ虚弱のわたくしはこの時点ですでに怖くて泣いていました。わたくしのような意気地なしが本当にこのような歴戦の猛者ぞろいのラウンジに足を踏み入れても大丈夫なのでしょうか。
入口でチケットをもぎられ、「GUNS N' ROSES TOKYO GOLD 25.5.5」とプリントされたツートンカラーのリストバンドを左手に装着してもらって、いざ入場です。

ちなみにこのリストバンドは紙製のため、トイレで手を洗う時は非常に慎重にならざるを得ませんでした。手首まで洗えないのは感染対策の観点からすると大いに問題があるのだけれど、リストバンドを濡らして破損・毀損・全損させてしまった日には「すわ! GOLDラウンジに不審者が紛れ込んでいるぞ!」となり、刺又を手にした複数のスタッフに壁際まで追い込まれて制圧、硬い棒のような物で滅多打ちにされた上で警察に引き渡されることは避けられない見通しです。
そのような事実を踏まえ、今だから正直に言いますが、会場入りして以降のわたくしは両手首が汚いおっさんでした。大変申し訳ございませんでした。
すみません。わたくしの手首の話を延々としてしまいました。
GOLDラウンジの話題に軌道修正いたしましょう。
ラウンジはLEVEL5とLEVEL7の場内2箇所に開設され、LEVEL5の方は広いスペースに社員食堂のような長机やHUBにあるような背の高い丸テーブルが並べられており、印象としてはフードコートといった感じ。それに対し、LEVEL7は背の高い丸テーブルが適当な間隔で配置されている完全バー仕様。
わたくしは知り合いがLEVEL7に腰を落ち着けたということで、「このクソ階段がー!」などと大きめの声で叫んで自分を鼓舞しながら7階までの階段を踏破いたしました。座席がLEVEL7だった知人も席に着く頃には汗だくになっていたと供述しており、中年以上のお客さんのためにもチケットを販売する際には「両脚がパンパンになる可能性がある席です」などの注意書きをするべきだと思ったし、みんなもそう思ったと思うし。

LEVEL5のラウンジには専任DJが配置され、ガンズ周辺アーティストの楽曲などが流されていたようです。わたくしが一度だけちらりと様子をうかがいに行った際には、マイケル・モンローの“Dead, Jail or Rock 'N' Roll”がかかっておりました。マット・ソーラムやディジー・リード、テディ―“ジグザク”アンドレディアスのソロアルバムが延々と流れ続けるような空間ではなくて安心した次第です。
片やLEVEL7はどうだったかと言いますと、たしかにガンズの音楽が流れ続けてはいるのだけれど、世界一安易な選曲のベスト盤として知られる『Greatest Hits』がひたすらにリピートされているだけだったので、その面白みのなさにだんだんと精神がやられてしまい、危うくバーカウンターを飛び越えてコンセントを手あたり次第抜くところでした。もしもそのような行為に及んだ場合、刺又を手にした複数のスタッフに壁際まで追い込まれて制圧、硬い棒のような物で滅多打ちにされた上で警察に引き渡されることは避けられない見通しだったので、常人を凌駕する強い自制心でどうにか思いとどまってよかったです。はい。
友人たちと適当なテーブルに腰を落ち着け、まずはビールで乾杯。2月下旬以降、減量のためにほぼノンアル生活を送ってきたわたくしですが、このようなお祭りの日くらいは飲んだっていいでしょう。気心の知れた人たちと飲むビールの味は格別というものです。
ふと隣りのテーブルに目をやると、14時半に営業を開始したばかりのラウンジだとは思えないレベルでビールのカップを積み上げているおじさんがえらく上機嫌で黄金の液体を胃袋へと流し込んでおりました。「これからライヴを観ようってレベルじゃねーぞ」と叫びました、心のなかで。完全に8万円もしくは5万円のチケットの元を取ってやろうという気満々です。飲めば飲むほど実質無料のガンズへと近付いていくのだから仕方ありません。
まあ、知らない人であれば「たくさん飲む人がいるなあ」で終わるのですが、不幸にも知っているおじさんだったので、少しだけ寄り道してビール大好きおじさんについて触れておきましょう。
このおじさんは埼玉県で会社を経営しているという設定の石井さん(仮名)という方で、プロ野球シーズンには足繁く球場へと通い、お気に入りの可愛い売り子さんに年間ウン十万円課金している超人です。そのあまりの課金ぶりはただの野球観戦の域を超越し、「野球付きキャバクラ」なる造語が誕生したほど。
破竹の勢いでビールを飲みまくり、8万円のチケットをかなりお値打ち価格へと導いたこのおじさん。どのような帰路を辿ったのか定かではありませんが、東京都と埼玉県を隔てる関所を越えることに失敗し、GOLDラウンジで浮かせたビール代をタクシー代に溶かしたとの報告が入ってきております。絶対にオチをつけてくれるこのおじさんのことが好きですよ、わたくしは。
ビール大好きおじさんに負けじとわたくしもビールを飲みまくったかというと実はそうではなく、最初の1杯のあとは烏龍茶を2杯飲んだだけ。せっかく無料なんだからもっと飲めばいいのにというご意見があることは承知しておりますが、最愛のバンドのライヴをアルコールの影響を受けずに余すところなく楽しみたいのと、最後まで尿意に襲われることなく快適に観たいのとで水分補給は最小限にとどめた次第であります。
8万円も払ったライヴを中座してトイレに行くことを考えてみてください。アリーナ前方からトイレに辿り着くまでは結構な距離があるでしょう。体内の水分を地球環境へと戻し、自分の席へと復帰するまでに何分かかるでしょうか。ガンズのライヴは約180分だったので、GOLD席8万円を買った人間にとって1分あたりの費用は単純計算で444円です。もしもトイレのために5分も抜けようものなら2,220円を払ったのと同じことになるわけです。「誰がそんな高いションベンするんだよッ! バカヤロー!」と叫びました、わたくしの中の梅沢富美男が。
おしっこの話に夢中になってしまいました。大変申し訳ございません。GOLDラウンジの話に戻りましょう。もうすぐ終わりますので、今しばらくのご辛抱を賜ることができましたら幸いです。
えー。わたくしのホロワーさんにfくんという方がおりまして、まだ若いのにBURRN!の白黒ページに載っているような場末の これからの飛躍が期待できるバンドを好んで応援している気の毒な 熱心な音楽ファンです。今回はファンクラブ枠でGOLD席を購入したとのことで、普段の場末感はどこへやら、「俺は有名バンドのGOLDだぞ」とでも言いたげな実に得意気な顔つきでラウンジへと姿を現したではありませんか。
ファンクラブ会員にはお馴染みの話なのですが、ガンズのライヴではバンド側のスタッフに会員であることを示すアイテムを見せると特製ギターピックがもらえるというサービスがあります。どこぞでその話を聞き及んだと思われるfくん、「これを見せれば大丈夫ですかね?」と取り出したのは、横4.5cm・長さ6cm・高さ3cmの小箱でした。
会員の方ならもうお気づきでしょうか。よりによってこの男、今年度の会員向け特典として制作された謎アイテム、Guns N' Rosesオルゴールを持参しやがったのです。造りのしょぼさ、当時の新曲“The General”という謎選曲、どのパートが演奏されているのか判然としないメロディの切り抜き方という三拍子そろったダメさ加減で、某氏に「捨てづらい不用品」とまで言いわしめた逆・殿堂入りアイテムです。
まあ、目的はあくまでも「ファンクラブ会員であることを証明する」なので、アイテムの内容の良し悪しについてはここでは議論しないことにしましょう。問題はそのサイズです。約2万人を収容する巨大アリーナにおいて、手のひらにすっぽりと収まるような大きさのオルゴールを何かの目印にしようというのは一体どのような了見なのでしょうか。かのゴルゴ13でもライフルのスコープを覗き込みながら「すみません。どれですか」と質問するレベルのサイズですよ。かなり大きなホテルの宴会場で開かれた職場の忘年会で、前方2列くらいの人たちしか見えないようなテーブルマジックを余興として披露したTくんという後輩がいたのですが、ダメさの程度で言ったらそれと同じくらいダメです。そういうところやぞ、f。

すみません。結構な文字数を使ってfくんの悪口を垂れ流してしまいました。大変申し訳ございません。すぐに脱線してしまう癖を直さないとライヴの話までたどり着かずに終わってしまいますね。
8万円もしくは5万円という高額課金勢が集結したGOLDラウンジ。ありがたいことに初めての出会いもありました。信頼のおけるホロワーさんからご紹介していただいたのは、SNSは基本的に“見る専”だという方で、アルバム『Chinese Democracy』の大ファンだという男性。わたくしも大のチャイデモファンなので嬉しくなってしまい、ガンズのリユニオンは嬉しかったけれどアクセルはチャイデモ期のラインナップもキープしておくべきで、スラッシュ&ダフを含むラインナップでは黄金期のグレイテストヒッツ、チャイデモ期ラインナップでは新曲のリリースを続けて欲しかったなどの持論を垂れ流してしまいました。さぞご迷惑だったことでしょう。
物腰が柔らかく、音楽以外のジャンルについても知識が豊富な方でお話ししていて非常に楽しかったのだけれど、2008年の『Chinese Democracy』発売時のことに話が及んだ際に「7、8枚買いました」などと明らかに異常な行動をサラッと告白されたため、急に怖くなって嗚咽を漏らしてしまいました。わたくしのTwitterのTLにはガンズが好きすぎて様子がおかしくなっている方々が多数生息しているのですが、本当にガチな人はそのような浅瀬には浮上せず、陽の光が届かない深海にいるのだということを改めて思い知らされた次第です。ラウンジで話させていただいた方、とても楽しかったです。ありがとうございました。
いつものメンバーの平常運転ぶりや新たな出会いなどを満喫していると、VIPアップグレードチケットのバックステージツアー参加組がラウンジへと戻ってきました。VIPアップグレードチケットとはなんぞやと申しますと、バンドスタッフの質疑応答コーナーを含んだバックステージツアー、ステージ上での記念撮影、特製記念グッズなどのサービスを受けられるチケットのことで、そのお値段なんと143,200円。驚くべきことにこの料金にはチケット代が含まれておりませんので、ここにチケット代がさらにプラスされるわけです。セレブやね。
このVIPアップグレードチケットの詳細が発表された時、「この値段でミート&グリート付いてないの!?」という驚きの声が(主にガンズファン以外から)上がったのは記憶に新しいところですが、わたくしは金銭で会えるアクセル・ローズに会いたいと思わないので、むしろ「出るなよ。絶対にミーグリに出るなよ。絶対出るなよ」というダチョウ倶楽部の気持ちになったことをこの場を借りてご報告させていただきます。
ちなみについ先日最後の日本ツアーが発表されたCheap TrickのVIP GOLD パッケージなる商品は、2列目以内確約のチケット、バンドとのミート&グリート/記念撮影、直筆サイン入り写真、限定ギフトなど超太っ腹な内容で8万円ということでした。Cheap Trickみたいな立派な大先輩がこの値段でこれだけのサービスを提供してくださっているのに…という愚痴はブログに書いたりせず、飲み屋の席でビールの泡に溶かしたいと思いました。よろしくお願いします。
バックステージツアーに参加するホロワーさんが1名いらっしゃったので、とあるミッションを託しておりました。それは客席の様子を観察し、何列目が最前列にあたるのかを確認してもらうこと。「最前列は1列目に決まっとろうが。算数知らないんか、ボケ」とわたくしに石を投げたりする短気な人がいるかもわかりませんが、少しばかり落ち着いて、エビヤン水などを二口ほど飲んでリラックスしてわたくしの話を聞いてください。ライト?
えー。詳しいことは上記の記事で説明しているのですが、まあ簡単に言えば、場内レイアウトの関係上、6列目あたりが実質的な最前列になっているのではないかと推測していたわけです。誰が。わたくしが。
「そんなん席に座る時にわかるだろ。どこで観るつもりだったんだ、ボケ」とわたくしに石を投げたりする短気な人がいるかもわかりませんが、少しでも早く知りたいのが人情というものです。そのあたりをどうかご理解いただきたい気持ちが強いです。よろしくお願いします。
143,200円をかけて潜入捜査に協力してくださった工作員、コードネーム“ドラゴン”さんによれば最前列は5列目とのこと。この時点でわたくしの「もしかしたら最前列かもしれない」という希望は儚く散った、無惨に弾け飛んだ、W杯の抽選で死のグループに入ってしまった時の日本サッカー協会の人くらい絶望した。なぜならわたくしのチケットには8列目と印字されていたからです。わたくしの前には少なくとも3人のおっさんが立ちふさがり、わたくしの視界を妨害しようとZOOの名曲“Choo Choo TRAIN”のような動きを繰り出してくるはずなのである。
しかし、わたくしには秘策があった。奥の手があった。楽器のケースに隠れて出国した日産の社長ほど破天荒な方法ではないが、このようなこともあろうかと窮地を脱する術を準備していたのである。わたくしを見くびらないでいただきたい。見くびっていない方は1を、それ以外の方は0とシャープを押していただきたい。
わたくしの秘策とはなにか? それはズバリ、身長の嵩増しである。低身長の民である我が身に下駄を履かせることにより、少しでも良い視界を確保しようというのが今回の作戦の主旨であり、わたくしが唯一準備していた秘策なのです。いわゆるシークレットブーツという商品には若干の抵抗があるため、バイク乗りの方が信号待ちで停まった時に地面に足が着かずにバランスを崩してしまうことを防ぐための厚底の靴、わたくしが今回購入し、Kアリーナまで履いてきた物がまさしくそれなのであります。ライト?
結論から言えば、この時にこの靴を履いていて本当によかったと思っております。もしもまったくの無策で来場していた場合、ドラゴンさんからの「最前は5列目でした。ウッス!」という報告に酷く動揺し、反射的にドラゴンさんをビンタしていたに違いないのです。わたくしの社会的信用およびドラゴンさんの身の安全を救った厚底靴に今一度大きな拍手をお願いいたします。
座席の謎も解けたところで改めて周りを見渡すと、すでに一般の入場が開始となっているようで、ラウンジ前の廊下はなかなかの人口密度となっておりました。フリードリンクが提供される時間帯も終わり、引き続き飲みたい場合は通常料金を支払う必要があるとのことで、これ以上ここに長居する理由はなさそうです。
ラウンジ内で空席を探していたカップルにテーブルを譲り、まだまだ飲み足りなそうなおじさんや、話に華が咲いているグループを残してアリーナ席へと向かいます。もちろんトイレに寄って身体から水分を徹底的に絞り出すことも忘れません。正面入口があるLEVEL3を通り越し、最深部のLEVEL1へと足を踏み入れた瞬間、いよいよガンズのライヴを観るのだという緊張感に身体が震えました。今回で17回目のガンズなのだけれど、何度経験してもこの緊張感がゼロになることはないでしょう。
入口ドア前に立つ係員にチケットを見せてアリーナへと足を踏み入れるわたくし。開演までまだ30分以上の猶予があるからか、席に着いている人は半分以下といった印象。自分の席が中央ブロックの8列目ということはわかっているので、そこを目掛けてずんずんと進んで行くと、ついに見えてきました、わたくしの席のあるブロックが。ていうか、この前方エリア内にいる人たちが全員8万円払ったのかと思うと恐ろしくなってきますね。客単価高すぎ問題。
座席の背もたれに書かれた数字を目で追い、自分の席を探していきます。11列、10列、9列、8列…。チケットに印字された列にたどり着いたところで、わたくしは戦慄し、驚愕し、呆然とし、「嘘だろー」と呻きました。
8列目が最前やないか、ワレ。
券面の「8列目」なる文字列と目の前に広がる光景、つまりわたくしの前に誰もおらず、ステージと客席とを区別する柵が設置されているだけのそれを頭のなかで結びつけることは不可能で、よろよろと席に座り、完全に無駄金となった厚底靴をしばし見つめておりました。監獄から連れ出されたのでいよいよ死刑かなと思ったら看守に「釈放だよー」と言われるくらいの急転直下ですよ。こんなん心臓に悪すぎるやろ。
いやー。発券開始当初、ファンクラブ会員先行組があまりの座席の悪さに絶望していたものだけれど、そらそうよな。だって中央3ブロックは8列目から、サイドは6列目からしか存在しないのだもの。こういうことなら最初から券面に「8列目(大人の事情でこのように書かざるを得ないだけであって、本当は1列目なので驚かないでください。)」などと書かないとダメよ。発券した時、心配になるくらい落ち込んでいたホロワーさんもいたので、せめてその人にはちゃんと頭を下げて謝って欲しい。

まあ、そんなこんなで座席レイアウトの謎は解けたのだけれど、それでもなお残る謎がありました。2022年来日時の公式ファンクラブ先行販売は完全に早い者勝ちで、受付順に良い席が割り振られていった印象を持ったのに対し、今回は必ずしもそうではなかったように感じました。ガンズの来日公演のチケット取りに関して公式ファンクラブに大きな信頼を寄せているわたくしのような人間にとっては、これは非常に大きな違いです。
我々ファンの間では購入完了時に届くメールの配信時間をひとつの指標としておりまして、2022年の時は発売開始から1分もかからずに購入できた12:00組は文句なしの最前列だったと記憶しております。それに対し、今回は12:01組(わたくしの周りには12:00組はおらず)でも場所がばらけてしまいました。まあ、12:01といっても最大で59秒の差があるわけで、結局は前回と同じく早い者勝ちだった可能性は否めないのだけれど、もしかしたら前回来日時には存在しなかった何かしらのファクターが座席の決定に影響を与えているのではないかと推測しております。それが何かはわかりませんが。
あ。ひとつ驚いたのは、伊藤政則氏のラジオ番組先行で売られたチケットのなかにも最前列が含まれていたこと。番組では30枚のGOLD席が準備されていたそうで、少なくともそのうちの4枚が最前列、つまり8列目のチケットだったことを確認しております。中央ブロックではないとはいえ、そのうちの2枚は極めて中央に近い良席だったので、これはなかなか夢のある話じゃありませんか、あなた。おそらく主催者であるCreativemanの有料会員先行でも最前列は出たはずだと思うので、今回は公式ファンクラブ、ラジオ番組、プロモーター会員の3箇所に最前列の可能性があったのではないかと考えます。いつになるかはわかりませんが、次回来日時の参考になれば幸いであります。
あ。またしても話が脱線してしまいました。大変申し訳ございません。もしも脱線しそうな時は「前見て運転してー」って言って欲しい。優しめの声色で。そうしないといちいち脱線して謝ってばっかりやから、僕。よろしくです。
思いがけぬ良席と巡り会ってしまったわたくし、開演までの時間をアリーナ席の見知った面々との歓談タイムとすることにいたしました。前編にも登場したダフ・マッケイガンの大ファンじょのさん(半畳のスペースがあればブレイクダンスを踊ることができる達人)はスラッシュ側だった席を最愛のダフ側と交換してもらい、この時点ですでに菩薩のような表情。
じょのさんは来日公演の2日前にFender Flagship Tokyoで開催されたダフの招待制プレミアムイベントに多数の応募のなかから当選しただけでなく、会場でおこなわれたダフ・マッケイガンモデルのベース即売会で24万円のベースを即決、晴れてダフ本人とのミート&グリートを勝ち取った(経済的な意味で)超人です。
このイベントの顛末に関してはじょのさんご本人がブログに書き残すつもりだとおっしゃっているので省略しますが、5月5日に会場でお会いしたじょのさんは完全に“ダフハイ”状態で、わずか2日前に24万円もの大金をはたいて弾けない楽器を買った人とは思えないハッピーオーラを全身から発散しておりました。ダフに会えた件について訊ねたところ、「ダフに会えた上に手元には24万円のベースが残ったので実質無料である」などと意味の分からない主張を繰り返すばかりで話にならなかったことをこの場を借りてご報告させていただきます。
ラウンジの話に登場した石井さん(仮名)はわたくしの席の近くで、最前列ではありませんでしたが、2列目の通路側という視界良好の超良席。石井さん(仮名)は異常に強いインターネット回線を引いた戸建てを数年前に新築されたばかりで、超高速回線とプロゲーマーばりのハイスペックPCを駆使し、前回の来日公演でも最前列を含む最高のシートを悠々と手に入れたインターネット強者です。
9列目が実質2列目だったことに気を良くした石井さん(仮名)、「僕はいい席のチケットを取るためにウン千万の家を建てたんですよ。こんないい席が当たった上に住む家まであるんですから、これは完全に実質無料ですよ」などとじょのさんに輪をかけて意味のわからないことを言い出してしまい、こんな人たちに関わっていたらこっちまで頭がおかしくなりそうだったので、わたくしは自分の席に戻って場内で流れていたDead Boysの“Sonic Reducer”に合わせて身体を激しく揺さぶったりしました。
あの、申し訳ございません。またしても本筋から脱線して様子のおかしいガンズファンの方々の話に興じていたら1万文字を超えてしまいました。中編という名のたわごと垂れ流し大会はこのあたりで終了とさせていただき、次回の後編でいよいよライヴの内容について触れていきたいと思っております。よろしくお願いいたします