SUMMER SONIC 2022 - 最終日 -

君と夏の終わり 将来の夢

オーキナキヴォー忘れない

 

オーキナキヴォーってなんですかね。こわいです。

というわけでアレです。そう、僕です。

 

前回はサマソニック初日の模様をお送りいたしました。

2日分まとめて書く予定だったのですが、どういうわけか異常に長くなってしまったため、初日と最終日に分割しております。

 

 

今回は3年ぶりの開催となったサマソニック最終日の模様をお届けしてまいりますよ。

ライヴレポというよりはおっさんの備忘録です。ご容赦くださいませ。

前回のように無駄に長くならないようサクサクまいりましょう。

 

 

・The Struts(サイン会)

 

ホテルをチェックアウトした途端に降り出した雨もものともせず、意気揚々とサマソニ会場にたどり着いたおっさんがわたくしです。(前日の合計歩数4万歩超)

疲れていないと言えば噓になるけれど、3年ぶりのサマソニというポジティヴなエナジーがおっさんの屍を衝動的に突き動かしております。

 

2日目のオープニングはライヴではございません。

オフィシャルサイン会への参加から2日目をスタートしていきたいわけでございます。対象アーティストは、初来日のサマソニを観て心底惚れ込んだThe Struts! そう、ストラッツですよ、ストラッツ。

これはサマソニ公式のサイン会専用LINEアカウントで募集しておったもので、先着10名という高すぎるハードルに躊躇しておったものですが、ダメ元でアクセスしてみたら参加券がゲットできてしまって驚愕。

「もしかしたら公式に見せかけた詐欺アカウントなのでは?」と思い、「クレジットカード情報の入力などを求められても絶対に断るぞ!」と心に誓い続けながらサイン会当日を迎えました。

みんなもそういう気持ちだったと思うし、そういう高い防犯意識が大切だと思う。

 

サイン会に参加するためにはグッズもしくはCDの購入が必要なため、わたくしはHMVさんのブースでCDを1枚購入いたしました。

ちなみになにを買ったのかと申しますと、『聖闘士星矢』のカバー曲のためだけに買い直すのもナーと思っていた2ndアルバム『Young & Dangerous』の新装版でございます。

これでストラッツのCDは1stが3枚、2ndが2枚という構成となりましたが別に後悔はしていない。

 

あ、CDを買ったのがサイン会当日のことのように書いておりますが、実は初日にアーティストグッズの物販に並んだついでに購入しております。

サイン会が始まるのが11時半、さらにその15分前には何があっても集合せよ、遅れた場合は知りませんよ、遅い人ほっときますよ、という厳しいお達しを受けておりました関係で当日はバタバタしたくなかったのです。

 

普通なら、普通の人なら「サイン会当日に買わなくちゃいけないんだろうな」と考えてしまうところですが、わたくしはもうメンタルが名探偵なものですから「まてよ…当日にしか買えないと俺たちに思い込ませることが犯人の狙いだったんだ。謎はすべて解けた。犯人(ストラッツのCD)はこの中にいる!」などと叫んだわけですよ、心の中で。

そしてあとはみなさんも知っての通り、HMVさんのブースでサイン会に必要なストラッツのCDをサイン会前日にまんまと手に入れることに成功したわけです。

 

こういうことを言うと自慢になってしまって嫌なのですが、『古畑任三郎』ってドラマがあったじゃないですか。そう、田村正和さんがキムタクを力任せにビンタしたりするやつ。

あれもね、わたくしくらいになるとストーリーの序盤でもう犯人がわかってしまうわけですよ、かなりの高確率で。名探偵の資質? まあ、そういうものがDNAの中を駆け巡っているわけです。よろしくお願いします。

 

ていうかライヴどころかサイン会すら始まっていないのに結構な文字数を費やしてしまいましたね。こわい。

古畑任三郎の話とか必要だった? いらないよね、絶対。

「前回のように無駄に長くならないようサクサクまいりましょう」なんてどの口が言ったんだ、馬鹿。

 

無人のサイン会ブース

 

幕張メッセ内に設けられたサイン会特設ブースに到着すると、まだ待機列は形成されていないものの明らかに“それらしい人たち”がそれとなく周りを取り囲み、各々が猛禽類の目でもって状況の変化を見守っておりました。

サマソニは結構な回数来ているわたくしですが、実はサイン会に参加するのは初めて。なにか粗相があってはサイン会猛者のみなさまに叱られてしまうので、慌ててスマホを取り出して「サイン会 失礼ゼロ どうすれば?」などと検索している始末。

 

予定通り開始15分前からスタッフの誘導によって整列が開始となります。

写真撮影やメンバーへのプレゼントは禁止といった注意事項を説明され、サイン会の参加券やCD購入時のレシートなどの提示、さらには検温をクリアした人から待機列へ。

何気なく後ろを見ると、想像をはるかに超える人数が並んでおります。クリエイティヴマン有料会員枠の抽選10名&公式LINEの先着10名だけだと思っていたのだけれど、どうやら別のルートでもサイン会の公募があった模様。世の中知らないことがたくさんありますね。

 

しかし、ここで大問題が発生。

CDを購入したのはいいけれど、どこにサインを貰うのかまったく決めておりませんでした。普通に考えればジャケットなのだけれど、それだとどれが誰のサインかわからなくなってしまいがちだし…。

インナーには各メンバーがピンで写っている写真が載っているけど、インクが乾く前に他のページを開いてしまうとぐちゃぐちゃになってしまうし…。

 

と絶望に打ちひしがれ、思わずメッセ内で倒れ伏してしまいそうになったまさにその瞬間、奇跡的に天啓が降りてまいりました。

なんと、CDの裏ジャケにはメンバー全員が一堂に会した写真が使われているではありませんか。

ここにサインを書いてもらうのがベストと判断したわたくし。そのためには裏ジャケをCDケースから取り出さなくてはなりません。

サイン会がスタートする前に裏ジャケを取り出すべく、猛然とCDケースの解体をスタート。不穏な破壊音を響かせながら内側のトレイを外し、無事に裏ジャケを救出することに成功いたしました。

 

この行動を客観的に観察した場合、サイン会が目前に迫った緊張によって発狂したおっさんがいきなりCDケースをバキバキと破壊し始めたようにしか見えなかったのではないか。

サマソニが終わって一週間以上が経過した今、そんなことに気付いて嫌な汗をかいております。

怖い思いをさせてしまった方がいらっしゃったらこの場を借りてお詫び申し上げます。

 

ほぼ定刻、スタッフさんの動きが慌ただしくなったと思うと、サイン会ブース奥のカーテンの向こうからストラッツの4人が登場。

少しばかりぽっちゃりした印象のルークが若き日のオジー・オズボーンのように見えたのはわたくしだけでしょうか。

 

若かりし頃のオジー・オズボーン(狂人)

改めて待機列を確認すると、人数はさらに膨れ上がって長蛇の列。

一人ひとり丁寧に対応していたらとんでもない時間がかかってしまうので、おそらく流れ作業に近いような感じになるはず。

そう思ったら一気に緊張がほぐれ、周りを冷静に観察する余裕が生まれてまいりました。するとすぐそばに顔見知りのホロワーさんを発見。数年ぶりの再会。

まさかこんな場所でお会いできるとは思っていなかったので、これは嬉しいサプライズ。「これじゃあ“サイン会”じゃなくて“再会”だねー。“ン”がどっか行っちゃった」と言ったとか言わなかったとか。(言ってません)

 

わりと早い順番だったこともあり、サイン会開始からものの数分でわたくしの順番に。

最初は拙い英語で「日本に戻って来てくれてありがとう!」などと言っていたわたくしですが、後半は「アリガトー! サンキュー!」を連発するだけのポンコツマシンへと変貌。

気が付いた時にはサイン済の裏ジャケを持ってサイン会ブースの外に立ち尽くしておりました。本日の任務終了でございます。あとはライヴを楽しむだけなんだ村。

 

死に物狂いで取り出した裏ジャケ

 

・The Struts

 

軽いお昼休憩を挟んで向かったのはマリンスタジアム

そう、先ほどサイン会でひと足先に姿を拝んだストラッツの出番でございます。

わたくしにとっては初日のオフスプと並び、今年のサマソニの目玉。オフスプとかぶらない限りは絶対に観るゾーと心に強く誓いました。そしてその誓いを守りました。有言実行の男と呼んでいただきたい。よろしくお願いします。

 

2022年中に予定されていた単独来日公演が中止になってしまったという経緯もあり、多くのファンにとっては念願のストラッツとなったのではないでしょうか。

彼らが日本のステージに立つのは2019年のサマソニ以来、実に3年ぶりのこと。2016年のサマソニで初来日を果たしたストラッツは、2017年、2019年と出演を重ね、今回で早くも4回目のサマソニ登場。常連への道を着実に歩んでおりますね。

 

毎回素晴らしいステージを披露してくれているだけにフェス内の序列がなかなか上がっていかない状況には歯がゆいものを感じますが、与えられたステージが大きかろうが小さかろうが、どういう環境であっても全力を尽くすのが彼らの良いところ。

真っ昼間の時間帯であっても全身全霊を注ぎ込んだロックンロールショーを見せてくれるはずです。

(でも、次の出演時にはインドアステージの良いポジションを任せてあげてもいいんじゃありませんか、クリマンさん…)

 

ひとつ前のアーティストの演奏が終わり、満足げに退場していくファンの間を縫ってスルスルと前方へ移動。

行けるところまで前に行こうと進んだ結果、ふと気が付けば2列目まで来ておりました。サマソニでこんなに前まで来たのはいつ以来だろうか。こんな視界でマリンステージを観るのは本当に久しぶり。

そして前方エリアは若者が多い。おそらくストラッツ目当てでなく、その後に出演するアーティストに向けて待機しているファンだと思われるのだけれど、こんなに客層の若いマリンステージは新鮮。若い人が多いのは素晴らしいことよ。

 

サッシャサマソニのすべてを掌握する偉人)のありがたいお話が終わるとアリーナからは熱いストラッツコールが。わたくしの周りにストラッツファンらしき人は見当たりませんが、この広いアリーナの一角に熱心なファン集団が陣取っていたようです。

ステージに登場したバンドが“Primadonna Like Me”からセットをスタートさせると客席は蜂の巣をつついたような大騒ぎ。始まる前は「The Strut? I don't know」などと言っていた女の子も大騒ぎ。

 

そのまま雪崩れ込んだ2曲目の“Body Talks”で完全に勝負あり。登場から5分ほどで見事に“つかみはオッケー”状態に持ち込んだストラッツ、そこからは何をやってもウケるボーナスステージに突入です。

手を叩かせ、踊らせ、歌わせる。オーディエンスに休む暇を与えないそのステージ運びは、“英国の至宝”Thunderのライヴに通じるものがあると思うんだ村の住人です、あたしは。つまり、どちらも最高に楽しいということ。

Thunderのライヴをまだ体験したことのない方がいたら、次回の来日は是非観に行っていただきたい。わたくしの言葉の意味がわかるはずです。

 

それにしても、ステージのどこにいてもオーディエンスの視線を集めてしまうルークは天性のロックスター。

フレディ・マーキュリーマイケル・ジャクソンを彷彿とさせるステージアクションも板に付いていて、安易な模倣ではなく“スーパースターのDNAの継承”といった受け止め方をするのが正解なのではないかと思ったほど。

初来日の時点ですでに卓越したパフォーマーだったけれど、彼がショーマンとしてどれだけの高みに到達するのか見届けなければいけないと強く誓ったし、みんなも誓ったと思う。

 

ルークがコーラスパートをみっちりとレクチャーした後に始まったのは、サマソニ開幕前夜にリリースされた新曲“Fallin' With Me”。「fa-fa-fa-fa-fa-fa」というファニーでキャッチーなフレーズも印象的で、他の曲と遜色ないレベルで盛り上がっておりました。

来日中に最新インタビューによれば、新曲をサマソニ前夜にリリースしたのは「久しぶりに日本に戻って来るからスペシャル感を出したかった」とのこと。

いやー。日本人冥利に尽きますよ、ホント。それをステージ上で高らかに宣言すればめちゃくちゃ盛り上がったはずなのに、帰国後に公開されるインタビューの中でぼそっと明らかにするあたり、英国紳士って感じじゃないですか。素敵やね。

 

オーディエンスを全員座らせてから飛び上がらせるお約束を経て、最後は必殺曲“Could Have Been Me”でフィニッシュ。

コーラスパートは惜しくも大合唱とはならなかったけれど、他のアーティスト目当てのファンの心にストラッツの名を刻むことに成功したのではないでしょうか。

次の来日公演はチケット争奪戦になるかもしれませんね…というか、なってくれないと困るよ! 洋楽業界希望の星として注目を浴びて数年、ここらでさらなら飛躍を期待したいところであります。

 

 

・YUNGBLUD

 

ストラッツの後に控えるのは、同じくイギリスの若手アーティスト・YUNGBLUD。このスペルで「ヤングブラッド」と読みます。若者の前で「ユングブルード」などと発音してしまうと狩られてしまうのでご注意ください。

 

得意げに発音上の注意点などを説明しているわたくしですが、YUNGBLUDの音楽に精通しているわけでもなく、サマソニの予習をしていて「お!ええやん!」と気になった程度でございます。にかわファンですらないレベル。石を投げたりしないでください。よろしくお願いします。

 

この8月に25歳になったばかりの彼は、2020年の2ndアルバム『Weird!』が全英チャート1位を獲得。ストラッツよりも後の出番になるのも納得の実績の持ち主なのです。

9月2日には3rdアルバムとなるセルフタイトル作『Yungblud』をリリース予定。全英チャートはもちろん、全米でのチャートアクションにも注目したいところ。

 

若者の巣窟となりつつあるマリンステージのアリーナから脱出し、昨日も利用したSpotify有料会員特等席でYUNGBLUDを観ることにしたわたくし。強烈な日差しを遮る屋根が無いのは難点ですが、それ以外は非の打ち所がない快適な席であります。天国。

 

えー。結論から言ってしまうと、YUNGBLUDすごかった。すごすぎた。

今回のサマソニで一番衝撃を受けたステージだったと言っても過言ではございません。

 

とにかくテンションの高さが尋常じゃないのよ。

サステナブル(持続可能な)サンシャイン池崎、永遠に続く江頭2:50の登場シーン。

そんな形容をしたくなるほど登場した瞬間からメーターがレッドゾーンを振り切りっぱなし。それが最後まで続くっていうんだから大変な騒ぎですよ、あなた。

 

これまでサマソニで観たアーティストの中で一番テンションが高かったのは2002年のアンドリューW.K.だったのだけれど、今年のYUNGBLUDは間違いなくそれを超えた。

あのアンドリューW.K.を超えてしまうテンションというのは普通の人間なら生命に関わるレベルなのだが、おそらくYUNGBLUDは「※ 特別な訓練を受けています」というテロップが表示されるタイプの人間なんだと思う。きっとそうだ。

 

こんな説明ばかり続けていると「あー。はいはい。テンションだけで押し通すタイプのやつね」と思われそうだけれど、YUNGBLUDの良いところは“勢いだけでなんとなく盛り上がってしまう雰囲気もの”ではないという点だ。

その音楽のクオリティは絶品。何か目新しいことをやっているわけではないものの、あちこちにちりばめられた絶妙なフックの数々に耳を奪われてしまうこと必至。

 

Wikipediaには彼の音楽ジャンルとして“オルタナティヴ・ロック”“ヒップホップ”“ポップ・パンク”が挙げられているけれど、実際にはもっと広いジャンルのいいとこ取りというか、幅広いジャンルの音楽ファンを繋ぐことのできる間口の広さがある。雑食音楽ファンのCDラックみたいな感じと言えばなんとなく想像がつくでしょうか…。

音源だけ聴けば、まさかこの青年が小型ハリケーンのような勢いでステージ上を暴れ狂っているとは誰も思わないだろうナー。

 

オーディエンスにモッシュを呼びかけまくるなど今年のサマソニ的には問題となりそうな行為もあったけれど、あのアリーナエリアの盛り上がりぶりは、サマソニ史に残る伝説として語り継がれていきそうなすさまじさがあった。

 

今年のサマソニの話題をさらったマネスキンのように、こういう得体の知れない強烈なエネルギーの塊に触れた若いファンが「なにこれ! よくわからないけど洋楽ってすごい!」と衝撃を受けてくれることが、低迷している洋楽人気復活の鍵になるんじゃないかと思いましたよ、あたしゃ。

YUNGBLUDは間違いなく今後の洋楽ロックシーンの中核を担う存在になると思うし、そこにストラッツも加わってくれたらナーと願わずにはいられません。

 

トリ前を務めたメーガン・ジー・スタリオンのステージもすごい盛り上がりだったと聞くし、今回のサマソニをきっかけとして、これまで日本に見向きもしなかった海外の人気若手アーティストたちが“これから開拓すべき市場”として日本を視界の片隅にでも入れてくれるようになったらいいなと思う。

今年のマリンステージは若いアーティスト中心のラインナップで、クリマンの「若い力でフェスを作り直すんだ!」という気概が感じられたので、ここから洋楽の新たな夜明けが始まったらいいですよね、奥さん。

 

ひとり暴動のようなYUNGBLUD

 

Kula Shaker

 

本当ならソニックステージで女王蜂を観ようと思っていたわたくしですが、ここに来て体力ゲージがエンプティになってしまったのでしばし休憩。

2日目終了後は自宅までのドライヴという大仕事が控えているため、途中で燃え尽きてしまうわけにはいかないのです。

無事故で帰宅し、会場で着たティーシャーツを洗濯して干して畳んでクローゼットに収納するまでがサマソニックですよ、お忘れなく。

 

エアコンの効いた車中で小一時間ほど体力をチャージし、いざ幕張メッセへ。

まずはソニックステージに立ち寄り、KinKi Kids堂本剛くんのソロプロジェクト・ENDRECHERIのライヴをチラ見。

 

ENDRECHERIは2018年のサマソニで初めて観て、その濃密なファンクサウンドに衝撃を受けて速攻で(当時の)最新アルバムを購入した記憶がございます。

本来であればフルで観たかったところですが、Kula Shakerと出演時間が若干かぶってしまい、冒頭20分だけ観て後ろ髪を引かれながらマウンテンステージに移動いたしました。

いやー。それにしても本当にすごいよ、ENDRECHERI。バリッバリの本格ファンク。めちゃくちゃ気持ちいい。サウンドチェックのバンドジャムだけでも聴きごたえ十分でございました。

 

女性率90%のソニックステージを抜け出し、足を踏み入れたマウンテンステージは、ブリットポップ全盛期に青春を過ごしたであろう年齢層の男女たちでそこそこの賑わい。

おそらく今頃、マリンスタジアムでは若者たちがメーガン・ジー・スタリオンに熱狂し、その後に控えるONE OK ROCKやポスト・マローンの登場に胸を高鳴らせているのでしょう。

今回のサマソニで心底感心させられたのが、例年とは比べ物にならないくらいの細やかな心配りで設計されたであろうタイムテーブル。

東京2日目に限って言えば、元気な若者はマリンステージ、それ以外は幕張メッセ or ビーチステージという明確なメッセージが伝わってくるわけであります。

 

これのなにがいいかと言えば、同系統のアーティストが色々なステージに分散することによって生じる民族大移動や出演時間かぶり、水と油のようなアーティストが同じステージに出演することによって発生する地蔵問題やファン同士の紛争などを回避することができるのです。

“普段あまり聴かない音楽に触れる機会になる”というフェスの醍醐味が減少するきらいはありますが、個人的にはこういった各ステージのカラーを鮮明に打ち出したステージ割はめちゃくちゃ評価できるナーと思いましたし、実際にめちゃくちゃ評価しました。

 

えっと…なんの話でしたっけ。Kula Shakerですか。

そう、わたくしにとっては念願の初Kula Shakerなんですよ! 

2016年の単独来日のチケットは買っておったんですが、ライヴ当日に謎の発熱で泣く泣く断念したという悲しい経緯があります。(しかも翌日にはケロリと治った)

2022年夏、ついに人生初キャッチ・ザ・サンに臨むわけであります。

 

そういえばTwitterでも情報を募集したキャッチ・ザ・サンに関するこちらの噂。

引き続き情報を募集しておりますので、キャッチ・ザ・サンに詳しい方がいらっしゃったらご連絡ください。よろしくお願いします。

 

 

「これからBrahmanが始まるのかな?」と勘違いしそうな荘厳な宗教音楽を出囃子として、ついにKula Shakerの面々が登場。

遠目なので細かいところまでは見えませんが、フロントマンのクリスピアンは禿げたり肥ったりすることもなく当時の印象のまま。王子ですよ、王子。

あんたはUKロック界のカジヒデキやー!と絶叫しました。心の中で。みんなも絶叫していたと思う。

 

1曲目はなんと衝撃のデビューアルバム『K』の冒頭を飾る“Hey Dude”!

心の準備も出来ないうちに早くもキャッチ・ザ・サンの瞬間が訪れてしまいました。

ついに太陽を掴んでしまったわけであります。屋内ステージではありますが、手のひらに太陽の熱さを感じたのはわたくしだけではないでしょう。

 

その後も新旧をミックスしたセットリストでライヴは進行していくものの、やはり圧倒的に盛り上がるのは名盤1st『K』からの選曲。

“Tattva”とか「こ…言葉の意味はよくわからんが、とにかくすごい盛り上がりだあ!」ってなるもんね。わかるよ。

さらには第1期Deep Purpleのカバー“Hush”でリッチー・ブラックモアのファンまで狂喜乱舞させる大サービスっぷり。いつか第3期Deep Purpleのカバーもやって欲しい。

 

最後は日本の人気シンガーmilet(ミレイ)をゲストに迎えての“Govinda”。

えっ。milet関係なくない…?と思ったのだけれど、彼女のステージ(Kula Shakerのひとつ前)を観た人によると「一番好きなバンドがKula Shaker」とMCで語っていたそう。

彼女にとってはまさに夢の競演だったのでしょう。見事な歌唱で楽曲に荘厳な響きを加えておりました。

 

終演後、Kula Shakerのデビューをリアルタイムで経験したであろう世代のUKロッカーが「泣いちゃった…」と呟いているのが聞こえて、「そうだよね。泣いちゃうよね」と肩を叩こうとしたけれど、わたくしは人見知りなので無言でその横を通り過ぎました。現場からは以上です。

 

ASIAN KUNG-FU GENERATION

 

伝説の大技キャッチ・ザ・サンで満身創痍となったわたくし。

カンジェネことASIAN KUNG-FU GENERATIONは後方エリアで座って観させていただくことにいたしました。

知らん人が見たら“トリのPrimal Scream待ちをしている邦楽に興味が無いおっさん”かもしれませんが、わたくしカンジェネ結構好きだからね。アルバムも出るたびにちゃんと買ってます。

 

開演前にぼんやりと会場内を見回して気付いたのが、出演アーティスト名が表示されるこちらのディスプレイ。

 

何故か違和感のあるバンド名

バンド名ってASIAN KUNG-FU GENERATIONSでしたっけ? ずっと単数形で記憶していたのだけれど、もしかしたら長年とんでもない思い違いをしていたのでは…。

そんな疑問をTwitterに投稿したところ、何故か数分後にはディスプレイがオフになってしまい、「ええっ!サマソニの中の人、わたくしのツイート読んだりしてないよね?」と軽く震えました。

 

バンド名に関するそんな疑問が解決されない中、カンジェネの演奏がスタート。

フェスなのでヒット曲多めでくるのかナーなどと予想しましたが、“サイレン”や“ソラニン”といった知名度の高い曲を挟みつつも、しっかりと“今のカンジェネ”を印象付ける質実剛健なセットリストを聴かせた印象でした。

 

後藤さんのMCによれば、カンジェネがサマソニに出るのは17年ぶりとのこと。

はい、わたくしは2005年観ております。あの時はマリンスタジアムの出演で、「野球少年だったから野球場で演奏できるのは嬉しいッスね」という後藤さんのMCをよく覚えております。

あの後もわたくしが観ていないだけで何回も出ているもんだと思っていたので実に意外でございました。もしかしたらサマソニ史上最長ブランクなんじゃない? 知らんけど。

 

あ。例のバンド名問題ですが、いつの間にかこのように修正されておりました。仕事が速い。

 

Sがどこかに消えた

Primal Scream

 

さあ、楽しかったサマソニも、3年ぶりのサマソニも最後の1組を残すのみとなりました。

いやー。正直なところ、観るかどうかめちゃくちゃ迷いました。

あんまり興味のないアルバムの完全再現だし、演奏時間が想像以上に長いので体力的に不安だし…。(約2時間。単独ライヴ並み)

 

などと迷いに迷った末、結局観ることにいたしました。ボビー・ギレスピー率いるPrimal Screamを!

だって、恥ずかしながら観たことないんですもん、プライマル。

せっかくなのでこの機会に観ておきたいじゃないですか。結構好きだし。

まあ、わたくしが一番好きなプライマルは『XTRMNTR』『Evil Heat』期なので、あの音像が聴けるわけではないことはよーく理解しておりますが。

 

今回は91年の名盤『Screamadelica』の完全再現ライヴ。

わたくしは個人的にアルバムの完全再現ライヴというものがあまり好きではなく、これまで観たものの中で最初から最後まで心底楽しめたのはMetallicaの『Master Of Puppets』完全再現くらい。

先ほども言った通り、『Screamadelica』にそれほど思い入れがないので、いわゆる“思い出補正”も発動しないため、始まる前は結構不安でございました。

 

んで、結論から言えば、想像以上に楽しめましたよ。完全再現パートも含めて。

「ボビー!お前はストーンズになりたいんだな! そうなんだな!?」と叫びたくなるようなムードの曲は無条件で楽しめたし、後半にLed Zeppelinの“Whole Lotta Love”風のリフをぶっ込んで延々とこねくり回す“Higher Than The Sun”はめちゃくちゃ気持ちよかった。

わたくしのような素人がこれだけ気持ちいいんだから、アルバムに思い入れがあるガチファンなんて失禁してもおかしくないレベルでしょう。

すぐ近くに前後にステップしながら顔を左に向けるという単調な動きを延々と繰り返しているおじさんがいて、「あ。これはもう完全にキマってるわ」と少々空恐ろしくなったほど。

 

『Screamadelica』に関しては完全に無知なわたくしですが、ストーンズ的グルーヴを解体してクラブミュージックのフィルターを通して再構築した、みたいな評価なんでしょうか、このアルバムは。

死んだ魚の目で客を煽ったりマラカスを振ったりするボビーの姿を見ながら、こんな覇気のない人がこんなにグルーヴのあるアルバムを作ったなんてすげえな、と死んだ魚の目をして考えていたおっさんがわたくしです。

 

再現パートが終わった後はみなさんお待ちかねの有名曲がズラリ。

“Swastika Eyes”はかっこよすぎて死ぬかと思った。『XTRMNTR』期の音像で聴いていたらたぶん死んでた。

“Country Girl”のエンディングで観客に手拍子を要求し、そのまま雪崩れ込んだのは大ロックンロール曲“Rocks”!

これよ!なんだかんだ言ってもこれなのよ、わたくしが約2時間待ってたのは!

問答無用で踊り狂って約2時間のプライマル祭り終了。体力が持つかどうか心配だったのに、アンコールパートの盛り上がりで逆にフルチャージになっておりました。元気ビンビン丸でございます。

 

個人的に気になったのはボビーの衣装。

上機嫌で帰っていくボビー

『Screamadelica』デザインの服なのだけれど、カラーリングが完全に『太陽戦隊サンバルカン』なのよ。みんなもそう思っていたと思う。

 

太陽戦隊サンバルカン

 

・総評

 

えー。今回もめちゃくちゃ長いブログとなってしまいました。

「前回のように無駄に長くならないようサクサクまいりましょう」なんてどの口が言ったんだ、馬鹿。

 

今回のサマソニには影の主役がいたのをご存知でしょうか。正確には“影のメインテーマ曲”とでも言いましょうか。

それがこちら

 

 

そう。Guns N' Rosesの“Sweet Child O' Mine”でございます。

これがね、朝から晩まで会場内でひっきりなしに流れておったわけですよ。前夜祭のSonic Maniaの時から流れまくっていたそうです。

2日間トータルで100回近くは聴いたのではないでしょうか。わたくしも結構なガンズファンですが、これだけの密度でスイチャを聴き続けたのは人生で初めてでございます。

 

あまりのスイチャ推しに海外バンドの関係者は激怒。

インスタに「どっかの馬鹿がPAスピーカーからスイチャをエンドレスで流している。鳥の大群がPAを糞まみれにして欲しい(意訳)」と怒りのコメントを投稿する事態に。

 

めちゃ怒ってる人

まあ、11月のガンズ来日公演にはクリマンの社運がかかっているんだから仕方ありません。

買おう! ガンズの来日公演のチケット!

 

ちなみにわたくしはこの出来事を『メロンコリー そして終わりのないスイチャ』と名付けました。(元ネタがわからないお友達はミスターチルのファンに訊いてみよう!)