僕の好きなガンズ 【後編】

「ほぞを噛む」って慣用句があるじゃないですか。

まあ、日常生活でそんなに頻繁に使う言い回しではないかもしれませんが、意味や用法などはみなさんご存知なのではないでしょうか。

でもね、「ほぞ」ってなんですかね。

「ほぞを噛む」は使ったことがあっても、「ほぞ」単品で使うことはまずないですよね。

でね、調べましたよ、あたしゃ。「ほぞ」の意味を。

「ほぞ」とはガムのことでした。

「ほぞを噛む」なんて気取って言ってますが、ただガム噛んでるだけですよ。ははは。

 

あ。ご挨拶が遅れました。

どうも。僕です。

先日からGuns N' Roses日本公演のブログなぞを書いてインターネットに公開しております。

「インターネットをやってないから読めないよー」という方がいらっしゃったらプリントアウトした物をお渡ししますので、遠慮なくコメント欄でお申しつけください。

 

というわけで、中編にあたる前回は開演直前までの模様をお送りいたしました。

中編でまだ開演すらしていないのは我ながらヤバいなと思いますが、色々と書かなければいけない事柄が満載だったので仕方ありません。

わたくしが託された超重要任務の内容については前回記事をご参照くださいませ。

sasayaki-okami.hatenablog.com

 

 

しかし、「ご参照くださいませ」と言って全員がご参照してくださると思うほどわたくしも純粋ではござーません。

ええ。簡潔に事情を整理させていただきますよ。

わたくしに託された“超重要任務”とはなにか? その真相に迫ります。

 

 

【わたくしの重要任務】

天才絵師ねこさんが今回の来日公演のために制作したガンズ横断幕。

それをアクセル・ローズのパーソナル・アシスタント、ベータさんに手渡すことがわたくしに課せられた任務。

しかし、会場内における横断幕の設置がNGであることが判明し、“横断幕がある場所までベータさんに来てもらう”という当初の予定に狂いが生じてしまった。

りょうさん&ねこさん、完全に万事休す。

はたしてベータさんに横断幕を手渡すことができるのか…?

 

(わたくしが託された横断幕と同じデザインのイラスト)

まあ、前回の記事はこんなところで終わっているわけでございます。
まだ開演すらしていないのに前編・中編を費やしてしまったわたくしのストーリーテリングの下手さについてはご容赦ください。

重要任務はあるし、ステージは想像以上に近いしで開演前は本当に緊張の極致でございました。

指先とかマジで冷たくなってたし、唇も軽く紫になっていたかもしれない。

 

 

ベータさんとの目印である“最前エリアに掲げた横断幕”を失ってしまったりょうさん&ねこさんでしたが、運命の女神はまだ我々を見捨ててはいませんでした。

わたくしの隣席にいるじゃ子さん(チケット争奪戦に勝利するためにマウスを新調したキチ ガチ勢)、なんと今日は赤い着物で会場に足を運んでいるのです。

これを新しい目印にしない手はありません。

ベータさんに「レッドのキモノガールのところへカモン!」とルー語でテキストを打ったねこさん。

あとはベータさんが来てくれるのを待つだけです。

 

 

オープニングアクトLOUDNESSが終わり、いよいよガンズ待ちタイムに突入。

上手のステージ袖を見ると、なんとそこにはベータさんがいるではありませんか。

必死に手を振ったり横断幕をチラ見せしたりしてアピールする我々。

ベータさんもそれに気付いてにこやかに手を振り返してくれるものの、こちらまで来てくれるような素振りはありません。

刻一刻と迫る開演時間。やはり勝負は終演後でしょうか…。

 

プロモーター側からガンズの開演予定時刻と告知されていたのが18時。

その時間が近付くにつれ、場内では叫ぶ者、バンド名を連呼する者、手拍子をする者、指笛を吹く者、鍋にコラーゲンの塊を投入する者、最大限の緊張感をもって注視を続けていく者などが入り乱れて大変な騒ぎに。

開演予定時刻を約20分ほど過ぎたところで場内が暗転。

コロナ以前と遜色のない怒号や悲鳴が場内を埋め尽くします。今のご時世、これで大丈夫なのかナー…

 

などと心配する間もなく鳴り響く、何万回と聴いたあのベースライン。

そう。2016年のリユニオン以来、不動のオープニングナンバーとして君臨し続ける“It's So Easy”であります。

のっけから場内はハチの巣をつついたような大騒ぎ。

“Fuck off!!”パートで無数の中指が頭上へと突き上げられた瞬間、「あ。コロナ以前のロックコンサートが戻ってきた!」と感じたのはわたくしだけではないでしょう。

もちろん以前とまったく同じ形ではないとはいえ、長らく忘れていた“あの頃の空気”を感じられたことがすごくうれしかったナー。

 

今回の日本公演はアジア・オセアニアツアーの初日ということもあり、序盤は試運転くらいのテンションになるかもしれないと予想していたのですが、場内の熱気に鼓舞されたのか開始早々からアクセルがパワー全開モードに突入。

びっくりするくらい声が出ていて、その調子のよさがバンドの勢いに拍車をかけると同時に当のアクセル本人にも自信を与えているような印象を受けました。

海外のファンサイトなどではパワー不足の高音を“ミッキーヴォイス”と揶揄されることもあるアクセルですが、この日はパワフルな低音も上手く織りまぜながら素晴らしいパフォーマンスを披露。

主催者のホームページに掲載されていた“バンドのクルーが「今日のショーは最高だ!」と興奮していた”という話もうなづけるほどの充実した内容で、曲が終わるたびに隣りの席のホロワーさんと「今日はすごい! ヤヴァイ!」ってずっと言ってた。

この来日公演を観た人はマジで誇りに思ってもいいレベルですよ、絶対。

(驚くほど絶好調だったアクセル)

続く“Mr.Brownstone”の横揺れグルーヴで場内を気持ちよく揺さぶったあとは、2008年リリースの目下の最新アルバム『Chinese Democracy』のタイトルトラックへ。

リユニオン後のツアーで同曲が演奏された際には「スラッシュとダフがチャイデモ収録曲を!」と感動したものだけれど、今はもうすっかりセットリストの定番となっておりますね。

ちなみに初日に演奏された『Chinese Democracy』収録曲はこの“Chinese Democracy”のみ。“Better”が聴けなかったのは意外だったナー。(2日目は演奏された)

わたくしはチャイデモ大好きマンなので遠慮せずにどんどん演奏してほしい。

 

ダフの重たいベースラインがその始まりを告げるのは、スラッシュとダフがガンズ脱退後に結成したスーパーバンドVelvet Revolver最大のヒット曲“Slither”。

ガンズのファミリーツリーにその名を連ねるバンドのヒット曲ということでファンの認知度も高く、「ヘイ!」の掛け声もバッチリ決まっておりました。

この曲がセットリストに入ったときは驚いたものだけれど、それ以上に驚いたのが初披露時におけるアクセルの歌メロのうろ覚え加減。あれはもう伝説でしょう、完全に。

「えっ。もしかしてメロディを作りながら歌っとらん?」と真顔で訊きたくなってしまうほどのヘロヘロぶりだった初披露から早数年が経過したこともあり、今ではしっかりと“俺なりのスリザー”を歌いあげていたアクセル。

スラッシュ&ダフに対するアクセルの気遣い、2015年12月に急逝したVelvet Revolverのシンガー、スコット・ウェイランドへのトリビュートなど、“Slither”をセットリストに入れることにした理由は色々と考えられるのだけれど、個人的にはガンズの未発表曲“Bring It Back Home”で同じようなギターリフが使われていることも理由のひとつなんじゃないかナーと思っております。

噂によればアクセルは元メンバーが出したソロ作は全部チェックしているという話なので、“Slither”を聴いて「これはガンズのリフだろ!」と思ったとしても決して不思議じゃない。

 

Velvet Revolverの再始動はまったく考えていないであろうスラッシュ&ダフ)

スラッシュが弾くリンク・レイの“Rumble”を導入部に据えるアレンジで演奏されたのは、ガンズの名を一躍有名にした大ヒット曲“Welcome To The Jungle”。

アクセルの「ここがどこかご存知ですかー!?」の絶叫とスラッシュのアイコニックなギターリフはいつ聴いても鳥肌ものとしか言いようがない。

今回初めてガンズを観たファンにとっては「本物やー!」と叫びたくなる瞬間だったのでは。

スラッシュのギターリフを軸としたバンドジャムから雪崩れ込んだのは“Double Talkin' Jive”。後半のインストパートも実にスリリングで聴きごたえのあるもので、各プレイヤーの息の合い方に「6年以上続けてきたツアーは伊達じゃないな」と唸らされました。

続くポール・マッカートニーのカバー“Live And Let Die”では、この曲最大の見せ場とも言われるアクセルのロングトーンの絶叫が炸裂。間奏が一番盛り上がる曲というのも珍しいのでは。

翌週に30周年記念リマスター盤の発売を控える『Use Your Illusion』からの曲が続いたものの、そのことに言及するMCがないのはガンズらしいナーと苦笑してしまったけれど、まあ言われなくても買いましたよね、みなさん。

 

前回の来日公演では演奏されなかった“Reckless Life”と“Shadow Of Your Love”という超ファストチューンに挟まれる形で演奏されたのは(よく考えるとすごい並び)、『Use Your Illusion Ⅱ』収録の超名曲“Estranged”。

個人的にめちゃくちゃ思い入れのある曲だということもあるけれど、両日ともに“名演”と呼びたくなる素晴らしい演奏で涙腺が緩んだ。

サビらしいサビもなくパートからパートへと次々と展開していく楽曲で、ガンズとしてはかなり異質な楽曲だと思うのだけれど、次のアルバムではこういうチャレンジがまた聴けたらいいナーと思っております

“Reckless Life”と“Shadow Of Your Love”はどちらもライヴで聴くのは初めてでめちゃくちゃ嬉しかったー。

今年の6月に突如としてセトリに復活した“Reckless Life”は「日本に来るまでにセトリ落ちしているのでは…」と心配しておりましたが、無事に披露されてわたくしは感無量でございます。

 

怪しげなグルーヴでオーディエンスを揺さぶる“Rocket Queen”は『Appetite For Destruction』からの定番曲。

シングルカットこそされていないものの、ファン人気が非常に高い名曲です。

ギターソロは今年で在籍20年を迎えたリチャード・フォータスからスラッシュへとバトンが渡されるリレー形式で、トーキング・モジュレーターを使ったスラッシュのプレイは「東京ドームのビデオで見たやつやー!」となりますね。なりますよね。なりませんか。

希望を感じさせるような曲調へと一変する後半のパートでは、リズムに合わせてオーディエンスが拳を突き上げるのがお約束。

今回も勢いよく拳を突き上げようと腕を折りたたんだ瞬間、わたくしの目に飛び込んできたのは…

 

 

手拍子を要求するアクセルー!!

 

 

えー! 今までこんなことしたことあった、アクセル!?

「さあ、みなさんご一緒に!」という声が聞こえてきそうなくらい大きなアクションで手拍子を要求なさっております。

当のアクセルにそこまで言われたら(言われてない)ファンとしては断るわけにはいきません。

たたんだ腕を勢いよく伸ばし、アクセルの動きにシンクロさせながら両腕を頭上で打ち鳴らしました。気分は完全にエアロビクス。

でも、アレですよね。“Rocket Queen”の最後のパートは本当にいいですよね。

これまでにアクセルが書いた中で他人への思いやりが一番あふれている歌詞だと思うし、誰かが不当に虐げられたり辛い状況に置かれたりしていることを嫌う彼の気質がすごくよく表れていて大好き。

だってあなた、“All I ever wanted was for you to know that I care”ですよ。

アクセルにこんなことを言われたら幸せの絶頂のうちに死ねるであろうホロワーさんが何人いることか…。

 

まさかの手拍子タイムの余韻も冷めやらぬうちにスタートしたのは、イントロのドラムビートだけでそれとわかるハードロックナンバー“You Could Be Mine”。

1992年の東京ドームのライヴビデオでアクセルがドラムライザーから跳び上がり、竹とんぼのように回転する姿を見た衝撃でその後の人生が変わってしまったのがわたくしです。

あれはまさに“人生を捧げるべきバンドに出会った瞬間”だった。

最後のコーラスパートはアクセルが歌うメロディと同じような感じで「ユクビマーイン!」で歌う人が多数派なのかもしれませんが、わたくしはイジー風の「ユー クッビマーイン」が好きです。ええ、どうでもいい情報です。

ちなみに“You Could Be Mine”の演奏中に使用されているスクリーン映像に“Oh My God”の歌詞が登場するのはどういうわけなんだろうね。

もしも“You Could Be Mine”のAlt曲が“Oh My God”だったとしたら「おい!俺はユクビマイン聴きたかったよ!」って怒るお客さん多数だよね、きっと…。

 

アクセルの「Listening preasure」なる誉め言葉で聴衆に紹介されたのは、ガンズが誇る長身痩躯イケおじベーシストことダフ・マッケイガン

「コンバンハー! マザーファッカーズ!」という丁寧なんだか乱暴なんだか判断に苦しむ煽り文句で場内を沸かせます。

前回はジョニー・サンダースの“You Can't Put Your Arms Around A Memory”をイントロに配したソロタイムを披露した彼ですが、今回は正真正銘1曲のみ。

初日はThe Stoogesの名曲“I Wanna Be Your Dog”、2日目は1993年リリースのカバーアルバム『The Spaghetti Incident?』収録のMisfitsの“Attitude”を演奏。

“I Wanna Be Your Dog”はガンズとしては日本初披露だったけれど、ダフがソロで来日したときに聴いたことがあるという人も多いのでは。

“Attitude”がめちゃくちゃ短い曲だからなのか、オーディエンスとのコール&レスポンスタイムが設けられておりました。アクセルのお色直し時間を捻出するためなんでしょうかね。

 

ダフが頑張っている間にお色直しを終え、ターミネーター風のいかついスタイルでステージに戻ってきたアクセル。

ここからは昨年リリースされた新曲を披露する時間に突入でございます。

その先陣を切ったのは、ガンズとしては異質なサウンドを持った半インダストリアル・ロックチューン“Absurd”。

正直に告白してしまえば、この曲のライヴにおけるポテンシャルには少々…いや、かなり懐疑的だったわたくしですが、実際に聴いてみたらめちゃくちゃライヴ映えしていて震えました。

原曲“Silkworms”のビートを完全に作り変えて、かなり勢いのある楽曲へと進化していたのは知っていたけれど、ここまで盛り上がれるライヴナンバーだったとは…。

“Sucking acid through your heart”のところで胸をゴリラみたいに叩くアクセルも可愛くてよかった。

 

続いて披露された“Hard Skool”は、従来のガンズのイメージに近いストレートなハードロックナンバー。

こちらも昨年リリースされた目下の最新曲で、先ほどの“Absurd”と同様に『Chinese Democracy』制作時のアウトテイクにスラッシュとダフが手を加えて完成させたものです。

『Appetite For Destruction』期のアウトテイクだと言われても違和感のない楽曲だということもあり、新曲対決は“Hard Skool”の勝ちかナー、などと予想しておったわけですが、(わたくしの中では)“Absurd”に軍配が上がってビックリ。

“Hard Skool”がよくなかったというよりも“Absurd”が予想外のポテンシャルを発揮したと言った方が正確かもしれませんね。

アクセルの歌詞がわやわやになってしまう場面もあり、もしかしたら“Hard Skool”が彼の身体に馴染むまでにはもう少し時間が必要なのかナーとも思いました。

 

映画『暴力脱獄』の有名なセリフが場内に流れ出すと、次の楽曲を察知した観客から大きな歓声が。

スクリーンには戦火に焼かれながらも気高くはためき続けるウクライナ国旗。

戦争の欺瞞を鋭く糾弾する“Civil War”がより一層切実に響く時代に生きている…生きてしまっていることを再確認させられた瞬間でした。

静かなパートとラウドなパートが交互に登場する、いわゆる“Nirvanaパターン”を持つ同曲(もちろん発表はNirvanaブレイク前)は、その静と動の対比が本当に見事で、今回の来日公演でもっとも心動かされた時間だと言えるでしょう。

アウトロとして演奏されたのはジミ・ヘンドリックスの“Machine Gun”。

弦楽器隊とドラムのシンクロするリズムに合わせて顔をぶるぶると揺らすアクセルの真剣な表情がなんとも形容しがたい空気を醸し出しておりました。(決して笑ってはいけない的な意味で)

 

ウクライナ国旗をフィーチャーした“Civil War”)

 

“Civil War”の濃密な余韻が場内に漂う中で始まったメンバー紹介で事件発生。

バンドの紅一点キーボーディスト、メリッサ・リースを恭しく紹介したアクセルがどういうわけか調子に乗ってその名前を必要以上に連呼し始めたではありませんか。

まさかの事態にどうしたらいいのかわからなくなってしまったメリッサちゃん。最後には恥ずかしさのあまり、両手で顔を覆ってしまう事態に。

37年にも及ぶガンズのライヴ史上もっとも可愛い瞬間を目撃してしまったのかもしれません、我々は。

 

翌日の公演でも留まるところを知らないアクセルのイタズラ心。

そのターゲットとなったのは、まさかのスラッシュでした。

メンバー紹介が進み、残すはスラッシュとなったところで「これで全員だな。そうだろ?」とすっとぼけるアクセル。

「リチャード呼んで…ダフ呼んで…これで全員じゃね?」だの「あ! わかったぞ! いや、ちがうかー」だの学園祭レベルの小芝居を続ける彼の姿に「こんなアクセル見たことない!」と興奮したファンも多かったのでは。

わたくしの席からはスラッシュの表情を窺い知ることはできなかったのだけれど、おそらく半笑いだったのではないかなと思う。

 

そんなメンバー紹介タイムに限らず、今回の来日公演はアクセルがとにかく楽しそうにしていたのが印象的だったナー。

客席に手を振ったりするおじさんになったのは数年前からの話なので特に驚くべきことではないのだけれど、嬉しそうにバンドメンバーに絡んでいく場面も多々あって、ステージを本当に楽しんでいるように見受けられました。

特にステージ後方の3人、メリッサ、フランク、ディジーにステップを踏みながら順繰りに絡んでいく光景は、往年の名番組『なるほど!ザ・ワールド』で各回答者の席を回っていく故・愛川欽也の姿を彷彿とさせるほど。

そんなちょっとしたやり取りからバンド内の雰囲気のよさが伝わってきて、「ああ。これがずっと続きますように」と祈らずにはいられませんでしたよ、あたしゃ。

 

そして、何よりも驚いたのはアクセルが日本語をしゃべったことでしょう。

「コンバンワ」とか「ドモ アリガトォー」とか気の利いた海外アーティストなら誰でもステージで使いそうなレベルの挨拶だけれど、それを口走ったのが誰あろう、あのアクセル・ローズですよ。

「日本語で語りかけてくれそうなロックアーティストランキング」があったら下から数えた方が早そうな人じゃないですか。もうね、死ぬほどビックリしましたよ。

 

ここから先はわたくしの推測になってしまうのだけれど、今回の来日公演に際して、「感染対策の関係で客の声出しは基本的に禁止されている。盛り上がりに欠けるかもしれないけど、そのあたりは大目に見て欲しい」というようなことが主催者側からバンド側に伝えられていたのではないかなと思う。

客席からのリアクションが希薄だとどうしてもコミュニケーションが一方通行となってしまい、事情はわかっちゃいるけどどうにも気まずいよね、という微妙な空気に陥ってしまう危険性は否めない。

アクセルはそういった事情を理解した上で、「ほら! 俺なんて日本に来るのをめちゃ楽しみにしてて、君たちの挨拶まで覚えてきちゃったよ! 俺はめちゃ楽しいよ!」とガラでもない日本語を使って僕らに歩み寄ってくれたんじゃないかな、と。

どう考えても日本のためだけに準備したと思しき『AKIRAティーシャーツを着てみたり、客席からの声に「何か御用ですか? なんなりとお申しつけください」などとおどけてみたり、とにかくオーディエンスと繋がろうという姿勢がすごかった。

考えすぎなのかもしれないけれど、もしもわたくしの憶測が当たっているとしたら、アクセルにここまで気を遣わせた国は他にないのでは…。

 

(まさかの『AKIRAティーシャーツで登場したアクセル)

脱線が過ぎましたね。セットリストの続きに話題を戻しましょう。

観るたびに円熟味を増していくスラッシュが色気のあるトーンでひとしきり弾きまくった(本当に弾きまくった!)ギターソロタイムのあとは、みなさんお待ちかねの“Sweet Child O' Mine”へ。スイチャですよ、スイチャ。

最初の一音が鳴った瞬間に客席がドッと沸くあたり、さすが世界一有名なギターリフのひとつに数えられるだけのことはあります。

今年7月公開のマーベル・スタジオ製作映画『ソー:ラブ&サンダー』の劇中歌に使用されたことで再び脚光を浴び、8月のSUMMER SONICでは会場内でひたすらに流れ続けてスイチャノイローゼ患者を続出させた俺たちのスイチャ。

そのスイチャ祭りの総仕上げだと言わんばかりに本家ガンズが11月の埼玉で正真正銘のリアルスイチャを炸裂させているわけです。もうお腹いっぱいですよ、あたしゃ。

こんなにもスイチャを聴いた年がいまだかつてあっただろうか。それは誰にもわからない。

 

俺たちのスイチャの余韻が圧倒的なまでに場内を支配する中、スタッフの手によってステージに運び込まれたグランドピアノ。

これが出て来るということはもうアレしかありません。

そう、“Sweet Child O' Mine”と双璧を成す大ヒット曲“November Rain”であります。

ついにノヴェンバーに“November Rain”を聴いた人生になるのかと思うと感無量です。雨が降っていたら完璧だけれど、濡れるのは嫌なのでそこは強く遠慮しておきたい。

イントロを弾いているアクセルが客席で揺れるスマホのライトを見て嬉しそうな顔をしていたのが最高だったナー。初日なんて首をぐるんぐるん動かしてスタンド席を見回してた。

これは他の国でもやっている行為だと思うのだけれど、海外ファンから「日本人はセルフォンのライトを振るだろ。あれはアメージングだ!」と褒められることもあったりするので、もしかしたら日本では特にやる人が多いのかもしれんね。知らんけど。

スラッシュの世界最高のギターソロを目の前でガン見できたのは至福のひとときでございました。美しすぎるでしょう、あんなん。

 

ライヴの後半に突入し、ひたすらに超人気曲をたたみかける必殺モードを発動させたガンズ。

すでにカバー曲であることすら忘れてしまうほど“ガンズの曲”として定着した“Knockin' On Heaven's Door”で我々の息の根を止めにかかります。

いやー。絶好調アクセルの歌唱が本当に素晴らしくて倒れそうになりましたよ。特に最後の“Whooo”ってところの美しさがヤヴァイ。あれを聴いただけでも35,000円の価値があったのでは?と思ったマイライフでした。

2日目のノッキン演奏中には、スタッフが次の“Nightrain”で使用するラッパ(超うるさい)を鳴らしてしまう大事件が発生。

動作確認としてボタンをちょんちょんって触ってたけど、押したら音が出る仕組みなんだからそりゃ鳴っちゃうでしょうよ。

巨漢のセキュリティが「おい! なにやってんだ、おめーは!」って大笑いしてたけど、これが90年代のガンズだったらその場で解雇くらいの大騒ぎになっていたのでは…。

 

あ。みなさま、序盤でご説明したわたくしの重要任務を覚えてらっしゃるでしょうか。

そう。横断幕をベータさんにお渡しするという大役でございます。

あのね、ノッキンの途中で来たんですよ。

 

 

誰が。

ベータさんが。

 

 

巨漢のセキュリティを引き連れて、ベータさんが横断幕を受け取りに来たんですよ!!

めちゃくちゃ優しい笑顔で。

横断幕(とアクセルにサインを貰うためのイラスト)をお渡ししたあと、「お願いしますよ!」という意味を込めて親指をグッと立てたら、ベータさんが「まかせておきなさい!」って感じで同じポーズをしてくれましてね…。

もうそれだけでベータさんのファンになってしまいましたよ、あたしゃ。

このごくごく短いやりとりで、アクセルがベータさんを長年そばに置いている理由がなんとなくわかったような気がしました。本当に毛布みたいな暖かみがある人ですよ、ベータさんは。

もうね、速攻でねこさんにメールしました。慌てすぎて「ベータ来た!」って敬称略で。

終演後、ボロ泣きで登場したねこさん。あんなに美しい涙を見たのは、いつだかのオリンピックでの浅田ちゃんの涙以来です。間違いない。

(翌日、ねこさんの身にはすごいことが起こったのだけれど、わたくしはそれを自分の目で見ていないので、このブログで語れるのはここまで)

 

順番が前後してしまって恐縮ですが、2日目には“November Rain”と“Knockin' On Heaven's Door”の間にグレン・キャンベルのヒット曲“Wichita Lineman”のカバーが挟み込まれていました。

2017年8月にグレン・キャンベルが死去して以来、セットリストの準定番となった楽曲で、日本で演奏されるのはこれが初めてのこと。

ガンズの楽曲と比較するとかなりレイドバックした曲調ということもあり、会場内の雰囲気は大御所歌手のディナーショーへと瞬時に変貌いたしました。

注目すべきは“Wichita Lineman”のために制作されたスクリーン動画で、地上から遥か上空、雲を突き抜ける高さにそびえ立った電信柱の上で作業員が朽ち果てているという完全に狂っている内容に爆笑してしまったのはわたくしだけではないでしょう。

“遠くにいる愛する人を思いながら作業をする保線作業員”の心情を歌った楽曲だと思うだけれど、白骨化しちゃったらダメじゃん。労災ですよ、完全に。

 

(作業中に絶命してしまったラインマン)

耳がおかしくなりそうなほどにやかましいラッパ(汽笛のイメージ?)の音を合図にスタートしたのは、本編ラストを飾る“Nightrain”。

いわゆるヒットシングルではないものの、ガンズのライヴに欠かすことのできない珠玉のハードロックチューンです。

ここまで18曲を熱唱したアクセルの声はいまだ衰えを見せず、ドスの効いたダーティーな歌いっぷりが最高だったナー。

あれは2日目のことだったか、お立ち台の上でギターソロを締めくくったスラッシュをグイッと押しやり、「はいはい、次は俺の番ね!」とばかりにポジションを奪取したアクセルに思わず笑ってしまった。

90年代の彼らだったら間違いなく険悪な空気になっていたはずの行為だけれど、こんなことが許される間柄になったのだなあ、とその喜びをひとり噛みしめておりました。

 

本編が終わり、並びで観ていたホロワーさんたちと「すごいすごい。今日はヤヴァイヤヴァイ。なんなんだ、コレは」と感想にならない感想を交換していると、再び場内暗転。

アンコール一発目は“Coma”。スラッシュのペンによる10分を超える大作です。

リユニオン前は数えるほどしか演奏記録がなかったレア曲ですが、2016年以降は高い頻度で演奏される定番曲に。

バンドにとってかなりのチャレンジとなる難曲を復活させた理由について問われたアクセルの答えは

 

スラッシュが喜ぶと思ったから

 

なんだよ、それ! スラッシュ思いかよ!

アクセルがこんなことを言ってしまう世界線で生きていることに喜びを感じるマイライフです。

ていうか、間奏でアクセルが「コォマァ…イエァ!」とか言うやつなんなんだ。あんなのやってなかったよね、前は…。

そのうちアクセルが「コマコマコーマ」などと言い出すのではないかと心配になったのはわたくしだけでしょうか。

 

“Coma”終了後、ステージ上に準備された3脚の椅子。

これから急にトークショーでも始まるのかと思いきや、その椅子に座ったのはアコギを抱えたスラッシュ、ダフ、リチャードの3名。

ギター部の部室のような雰囲気で始まったのは、なんとビートルズの“Blackbird”でした。アコギの定番中の定番とも言える名曲に大歓声が上がったのは言うまでもないでしょう。

“Blackbird”をイントロ代わりに初日は“Patience”、2日目は“Don't Cry”へと続く流れでした。

どちらも素晴らしい演奏だったのだけれど、アコギのままシームレスに突入する“Patience”と違って“Don't Cry”は楽器の持ち替えが発生するため、若干スムーズさに欠けていたのも事実。

“Patience”からの“Don't Cry”ならスムーズだし、観客の立場としても両方聴けてお得だったのにナー。

(仲良しギタートリオ)

どんなに楽しいことでも必ず終わりがやってきます。

ガンズのライヴにおいてもそれは同様で、何万回も聴いたあのコードが鳴れば「あ。これが最後だな」と覚悟を決めるしかありません。

そう。ガンズ不動のラスト曲“Paradise City”の始まりでございます。

終わってしまう悲しみと愛する名曲を聴ける喜びがせめぎ合う不思議な時間。

わたくしは“Spin me 'round”と歌ってアクセルがゆっくりと回転するアクションが死ぬほど好きなのだけれど、必ずやってくれるとは限らないんですよ。

でもねえ! あんたねえ! 今回はねえ! 2日間ともやってくれたんですよ!

“Spin me 'round”で回るアクセルが好きなファンが世界中にたくさんいるはずだから、可能な限り回ってあげてほしい。よろしくお願いします。

 

そして、“Paradise City”名物といえばアリーナエリアを埋め尽くす勢いで噴射される紙吹雪。

そのカラーリングは基本的に公演地の国旗がモチーフとなっていて、ここ日本においては日の丸と同じく紅白の紙吹雪が盛大に宙を舞うのが定番です。

ごく稀に前の公演地で使用された紙吹雪の残りがわずかに混じっていることもあり、それは「〇〇(国名)のカス」として珍重される貴重アイテム。

紙吹雪自体にバンド名が印刷されているようなことは一切ないのですが、そんな物でもライヴの思い出として持ち帰りたいのがファンの性というもの。

フロアに大量に散らばる紙吹雪を持ち帰りたいときに便利なアイテムがジップロック

わたくしもね、初めてガンズのライヴに足を運ぶ方のために「紙吹雪を持ち帰るにはジップロックが便利ですよー」とかTwitterで発信したりしてね、もう準備万端なわけですよ。

なんなら忘れてきた人の分として予備を持参したりしてね。

 

 

いやー。なかったよね、紙吹雪。

 

 

普通なら“Paradise City”の後半、楽曲がスピードアップするところでプシューと噴出されるのだけれど、うんともすんとも言わなかったよね。

あれ? 不発ですか? 機材トラブルですか?

などと訝しんでしまったけれど、ステージ周りのどこを見ても紙吹雪を噴出するための機材自体がないんですよ。

まあ、こういったご時世なので観客が床に落ちた物を拾ったりするのは不衛生だよね。感染防止の観点から見たら100点。

そしてなによりもこの円安のご時世、経費削減が重要だよね。経営の観点から見たら100点。

コロナや経済の問題が霧散した暁には今回の分まで紙吹雪をまき散らしてください。よろしくお願いします。

 

 

まあ、ノー紙吹雪という少し残念な要素もあったけれど、それを差し引いても今回の来日公演は過去一レベルで楽しかったー。

演奏内容は掛け値なしに素晴らしかったし、ライヴの前後で多くのガンズファンのみなさんとお話できたことも含めて最高の3日間(前乗り含む)を過ごすことができました。

この経験をトータルで考えたらチケット代は楽々とお釣りがくるレベルですよ。最高の経験だった。

セットリストはガンズの平均から言えば少し短めだったことは確かなのだけれど、逆にこのくらいソリッドな方がベストなのでは?と思わされてしまう完成度の高さを感じたのはわたくしだけでしょうか。

柔軟性に欠けると批判されがちなセットリストも個人的にはそんなに嫌ではなくて(もちろんレア曲は聴きたいけど)、大規模なワールドツアーを続けるにあたってはある程度の型を決めておく必要があるのは当然のことだし、一生に一度しかガンズのライヴに足を運ぶ機会がないかもしれないファンのために公演を確実にこなしていくことが現在の彼らにとっての最優先事項なのではないかなと思う。

以前のアクセルは「100%のショーができないならやらない」という方法でプロフェッショナルを貫こうとしていたけれど、今の彼は「どんなことがあっても100%に近付ける努力をする」という角度からプロフェッショナルを貫こうとしているように見えます、わたくしの目には。

そういう部分を“ロック魂の欠如”などと感じてしまう純粋な方々は、何が起こるかわからない剥き出しの火薬みたいなバンドを探して愛でたらいいんじゃないですかね。

少なくとも今のガンズはそういう時期をもうとっくに通り過ぎているように思えるし、わたくしは今現在の彼らを愛しております。

えー。何が言いたいかと言えば、「このまま末永く活動してまた来日してね」ということです。よろしくお願いいたします。

 

 

このままブログを締めくくるのもアレなので、最後に今回の来日公演で体験したエピソードをひとつだけ披露させてください。初日の話でございます。

 

わたくしはブロックの一番端っこの席、つまり通路側だったのだけれど、通路を挟んで向こう側の席のおっさんがめちゃくちゃ通路にはみ出してくる人で、もうわたくしの真横で観ているような状態だったのです。

まあ、真横に立たれる分にはわたくしが視界を遮られるわけではないし、ちょっと邪魔だなあくらいに思っておりました。

でもね、ライブ中に自分の席に戻ってずっとスマホをいじってたりするんですわ、このおっさんが。

そんなことが続いたもんだから、わたくしもだんだんと腹が立ってきましてね。だって、メンバーがそれに気付いたら絶対によい気持ちにはならないやん。

 

そうなってくると坊主憎けりゃ袈裟まで憎いのメンタルで、通路にはみ出してくることにもめちゃくちゃムカついてきたわけです、わたくしが。マイセルフが。

こんなカスみたいなおっさんに真横に立たれるのはまっぴらごめんだと思い、本編終了後にブロック内に配置された係員さんのところにお願いしに行ったのだけれど、その際のやりとりが謎すぎたのでここでご紹介いたします。

 

 

わたくし「すみません。あそこのお客さんが自分の席を離れて私の真横まで来てしまって邪魔なので、注意をしていただくことは可能ですか?」

係員さん「(場所を確認して)えー。あそこは消防隊が出入りする通路でして、何かあった場合に通路を空けていただければ問題ありません」

わたくし「(ちょっと何言ってるかわからないけど)じゃあ、自分の席を離れてあそこまで来ること自体は問題がないということですか?」

係員さん「はい。消防隊が出入りする際に通れれば…」

わたくし「(ちょっと何言ってるかわからないけど)通路にはみ出して観ている人を注意したりするのが係の方のお仕事なのかと思ってお尋ねしたんですが、そういうことならお願いすること自体がお門違いということですよね。すみませんでした」

 

 

釈然としない気持ちを抱えたまま席に戻ると、先ほどの係員さんがわたくしの元へ。

さっき話を切り上げてから約5秒後の出来事です。

 

 

係員さん「申し訳ございません。勝手な判断で適当なことを言ってしまいました。是非注意させてください!」

 

 

この5秒で君に何があった!? 二重人格かよ! こわいよ!

 

 

このやりとりが関係しているかどうかは不明ですが、翌日の係員さんはめちゃくちゃ厳しい人で少しでも通路にはみ出そうものなら「貴様ー! この非国民がー!」と叫びそうな勢いですっ飛んできてました。

何事もほどほどがいいと思うよー。

 

 

というわけで、2022年のGuns N' Roses来日公演のブログは今回でおしまいでございます。

後編だけ異常に長くなってしまいましたが、どうかご容赦ください。

忘れているエピソードを思い出したらTwitterで垂れ流させていただきます。

よろしく哀愁です。

僕の好きなガンズ 【中編】

どうも。僕です。

両肩に猫を乗せて近所を散歩したり、トミー・ジョン手術を受けて不死鳥のごとく復活したり、子犬を救うために超人オリンピックを失格になったりしたいお年頃です。

 

えー。前回からGuns N' Roses来日公演についてのブログを書き始めたわけですが、脱線に脱線を重ねた挙げ句、肝心のライヴにまで話が到達しないまま中編へと突入する結果となりました。

ぐだぐだの極地とも言える前編を読んでみたいというキチガ 活字好きな方のためにリンクを貼っておきましょう。

 

sasayaki-okami.hatenablog.com

 

 

えー。前回の記事では物販列が終わったところまでご紹介いたしました。

今回の物販列、特に初日の並びっぷりは尋常ではなく、わたくしがスマパンビリー・コーガンだったら『メロンコリー そして終わりのない物販列』という傑作2枚組アルバムを世に放っても不思議ではないレベルでした。

ホロワーさんからの情報によると物販列で転売屋とお客さんが一触即発になる場面もあったらしく、決してスムーズとは言い難い初日だったようです。

その反省を生かしたのでしょうか。2日目は開始時間が1時間前倒しとなり、さらには初日にはなかったと思われる「転売屋と判断された方への販売はお断りいたします」の注意書きが。

「ちょっと転売屋っぽい顔だなあ」などと言われて列から叩き出されてしまった気の毒な無実の人がいなかったのかずっと気になっております。

 

ガンズ九谷豆皿を含むお目当てのグッズを購入できてひと安心のわたくし。

物販の出口付近でぼんやりとしていると、係員さんが何やらシールのような物をお客さんに手渡している光景が目に入って来ました。

 

ナイトレパスポートのシールやー!

 

ご存知ない方のために補足しておくと、ナイトレパスポートとはガンズの公式ファンクラブNightrainが会員向けに配布している偽造 パスポートのこと。

中はスタンプ帳のようになっており、そこに貼るためのシール(公演ごとに異なるデザイン)が会場に準備されているという仕組みです。

そんなわけでわたくしもナイトレパスポートを準備して埼玉入りしたわけですが、会場のどこで配布されているのか事前情報が一切なく途方に暮れているところでした。

いい加減な仕事してんじゃねえぞ、この野郎。    

 

係員さんに即座に駆け寄ってシールを貰おうとしたのですが、ホテルを出る前にパスポートを含む不要品を部屋に置いてきてしまったことが発覚。

仕方ないので部屋に取りに戻ることにいたしました。

スマホのバッテリーもかなり減っておったので、部屋で充電している間にシールを取りに行けば一石二鳥です。かしこい。えらい。かわいい。

 

係員さんいわく「シールはそれなりに数があります」とのことだけれど、何事も油断大敵のマインドで臨まなければなりません。

競歩選手のマインドでホテルへ戻り、速やかにスマホを充電器にドッキング。

ナイトレパスポートをカバンに押し込んで部屋を飛び出します。

 

…と思ったのだけれど、ホテルの部屋って入口のところにカードキーを挿さないと電気が点かない仕組みじゃないですか。

カードキーを抜いてしまうと照明回りだけでなく部屋の電気系統がオフになってしまうようで、当然のことながらその間はスマホの充電は不可。

バッテリー残量が乏しくなったスマホもポケットに押し込み、泣きながら部屋を飛び出しました。

(※ 先ほど「ルームキー 電気」などで検索したところ、これを回避する裏ワザが存在するようですね。勉強になりました)

 

そんなこんなでスーパーアリーナ物販エリアに再訪し、無事にナイトレパスポート用のシールをゲット。

パスポートが届いたときは「こんなん一生使わんやろ、正味」と小馬鹿にしておったものですが、いざシールを貰えるチャンスが到来するとなると是が非でも手に入れたくなってしまいますね。

ていうか、シールの配布場所はちゃんと告知した方がいいですよ、絶対。

ナイトレパスポートを持参したホロワーさんのためにTwitterで発信などしてみたけれど、なんでオフィシャル案件を口コミで広げないといけないんだ。

いい加減な仕事してんじゃねえぞ、この野郎。    

 

ちなみに初日のパスポート用シールはこちら。

(初日のパスポート用シール)

わたくしは存じ上げなかったのですが、古今東西の漫画に精通した武田清先生(世界中から忖度される偉人)によると人気漫画『ワンパンマン』の主人公・サイタマのオマージュ的デザインだそうです。

埼玉公演だからサイタマですよ。これは洒落てる。ひねりが利いてるね。

ということは、2日目も埼玉に絡めて何かしらのひねりを利かせてくるはず。

と思うじゃないですか、普通はね。

 

2日目のシールがこちらです!

(2日目のナイトレパスポート用シール)

ええー! 元ネタがなにひとつわからない…。

バンドロゴと銃の間にあるお花は埼玉県の県花であるサクラソウかな…?と推測しましたが、前日とテイストが違い過ぎて震えましたよ、あたしゃ。

これの元ネタがわかる方がいらっしゃったらお教えいただけると非常に非常に嬉しいです。よろしく哀愁です。

 

物販の販売開始時間に合わせて2日目のシールを貰いに行ったところ、初日のシールを再び渡されそうになるハプニングもありましたね。

「えっ。これ初日のやつだと思いますよ」と係員さんに伝えたところ、「これを配ってくれと言われただけなのでわかりません」と実に潔い答えが返ってきて震えました。

現場の責任者に確認してもらった結果、どうやらバンドから主催者側に2日目のシールが渡されておらず、バンド関係者が会場に到着してから配布開始になるとのこと。

そんな馬鹿なシステムが デザインの情報漏れに細心の注意を払っていて偉いナーと心底感心いたしました。

そのわりには主催者側のホームページでは「Secret」となっていたリトグラフのデザインをガンズ公式がFacebookであっさりとネタバレしていたけれど、あれはなんだったのだろうか。それは誰にもわからない。

 

 

アレですね。ここまで文字数を費やして、いまだに入場すらしていないのヤバいですね。

そろそろ11月5日のわたくしをさいたまスーパーアリーナの内部へと誘導してまいりましょう。

それに先立って、入場前に看板前でジャンプを一発キメておきました。

本当はもっと跳べるはずだったのだけれど助走距離が足りなかった、などと苦しい言い訳をさせてください。

 

(跳躍力が明らかに不足しているおじさんジャンプ)

会場入口で検温、荷物検査を経てチケットをもぎられます。

もしも検温で引っ掛かった場合、バケツ一杯の氷水を頭からかぶって再トライするつもりだったのですが、両日とも無事に入場することができました。

さいたまスーパーアリーナの内部に足を踏み入れたのは、2020年1月のQUEEN + ADAM LAMBERT以来でしょうか。

あの時点ではまだ「中国で流行っている謎の肺炎ウイルスが日本にも入ってきたらしい。まあ、すぐに収束するっしょ」くらいの雰囲気だったと思うのですが、いまだにマスクや検温が欠かせない状況に深い悲しみを覚えてしまいました。

 

1階フロアに続く急な階段を慎重に慎重に降りると、そこはパイプ椅子がズラリと並べられたアリーナエリア。

エリアの入り口には各ブロックの配置図が貼られているのだけれど、これがどうにもわかりづらい。

配置図はステージに正対する位置に掲示されているにもかかわらず、どういうわけかステージを右側に置く形、つまり横向きで図示されているため、世界の武田清先生(メンタルがイギリス人)が「席の位置がわからないよ!」と大騒ぎ。

あの世界の武田清先生(ロイヤル・アルバート・ホールに作品が展示された偉人)を困らせてしまったということが問題視されたのでしょうか。翌日にはこの配置図は撤去されておりました。

 

アリーナエリア前方には見知った顔がちらほら。

“35,000円のガチャ”ことGOLD席を購入した同志です。

その中にはチケット発券時に「席がよくなかったー!」と嘆いていた方もいらっしゃいましたが、実際の席を見るとそこまで悪くないどころか「かなり前の方じゃね?」という感じ。

やはり今回のチケット販売に関しては公式ファンクラブが強かったナーという印象です。

 

しかし、ここで意外な強さを発揮したのが当日券組。

わたくしのmixi時代からのホロワーさん(マイミク)であるじょのさん(ブレイクダンスの達人)の旦那さんが当日券を購入したところ、なんとA5ブロックの4列目をゲット。

公式ファンクラブ先行で購入したじょのさんと大差のない良席を引き当てる豪運を披露しました。

Mötley Crüeの「Carnival Of Sins」ツアー(2005年)で当日券を買った知人が最前列だったという話を聞いて以来、当日券には大きなロマンが潜んでいると思っておりましたが、それを改めて証明する形となりました。

36,000円のガチャ(当日券価格)、恐るべしです。

 

初日はわたくしも公式ファンクラブパワーで意外と前の方の座席があてがわれまして、自分の座席に到着した途端、「えっ!こんなに近いの!?」と震えました。

“Nightrain”を演奏する前にアクセルがパ―――って鳴らすラッパがこの近さ。

これ、めちゃくちゃうるさいんだよなー。耳がおかしくなりそう。

 

(アクセルがパ―――!って鳴らすやつ)

 

ステージセットは超シンプル。

この円高のご時世、「余計な費用は一切かけないぞ!」という意気込みが伝わってくるシンプルさ。

前方には控えめなお立ち台が設置され、後方にはドラムセットとキーボードが一段高くセッティングされているだけです。

ただ、その中でもステージ両端に掲げられたウクライナ国旗が2022年という現在の世界情勢を強烈に主張していました。

(ステージ両端に掲げられたウクライナ国旗)

初日のオープニングアクトは日本が世界に誇るメタルバンド、LOUDNESS

のっけから“Crazy Nights”と“Crazy Doctor”で「クレイジー祭り in さいたま」をスタートさせると、場内は早くも大盛り上がり。

わたくしは世界のギターヒーロー高崎晃さんのほぼド真ん前で観たおったわけですが、あんなにギターが上手い人をあんな距離で観られることはそうそうないわけで、「うひゃー! ギター上手いナー!」と大興奮しておりました、ええ。

わたくしは超有名曲しか知らない超にわかなので正直なところ初めて聴く曲もいくつかありましたが、セットの最後を飾った名曲“S.D.I.”までガッツリと楽しませていただきました。

オープニングアクトとして消化してしまうのが惜しいほどの大御所パワー。

LOUDNESSをほぼほぼ知らない…いや、メタル自体をほとんど聴かないホロワーさんも「すごくよかった!」と大絶賛でございました。

 

 

さあ、ここからはいよいよガンズ待ちタイム。

2016年のリユニオン後は以前のように開演時間が大きく遅れることはないとわかっているとはいえ、やはりこの時間は緊張いたします。

場内スクリーンに映し出されたアジア・オセアニアツアー用の映像を見ながら、ひたすらに「怖いよー。緊張するよー」しか言わないマシーンと化しておりました。

 

(たまーに少しだけ動くスクリーン映像)

 

わたくしがここまで緊張しているのは、ガンズが始まるのをドキドキしながら待っているからだけではありません。

実は今回、わたくしに託された超重要なミッションがあったのです。

 

事情を簡単にご説明させていただきましょう。

わたくしのホロワーさんにねこさんという天才イラストレーターがいらっしゃいまして、ねこさんが描いたこのイラストがすべての始まりでした。

(超絶かっこいいBIG3イラスト)

来日公演から遡ること数ヶ月前、ねこさんがこの超絶にかっこいいイラストをSNSに投稿したところ、なんとアクセルのパーソナル・アシスタントを務めるベータさんから「この絵を購入したい」との連絡があり、本当にお買い上げいただく運びに。

まあ、これだけでもすごいエピソードなのだけれど、話はこれだけでは終わりません。

 

ガンズの来日公演が決定し、無事にチケット確保に成功したねこさん。

来たるべき来日公演に備え、会場内でステージに向かって掲げるために同じデザインの横断幕を作成しました。

そのことをベータさんに報告すると、なんとなんと「横断幕の現物を譲ってほしい」との驚きのオファーが。

他ならぬベータさんからの頼みにノーとは言えず、会場内で受け渡しをすることになったのです。

 

そして、その受け渡し役に任命されたのがわたくしでした。

理由はただひとつ。わりと前の方の席を確保できたからであります。

 

横断幕をベータさんに渡す。

 

めちゃくちゃシンプルな任務ですが、めちゃくちゃ責任重大。国家機密を受け渡すスパイくらいの緊張感。

失敗したら待っているのは死です。

 

しかし、ここで大問題発生。

本来であれば最前列の柵に横断幕を設置し、それを目印としてベータさんに来てもらう段取りだったのですが、なんと今回の公演では横断幕の設置がNGとなっていたのです。

まさか「天パのおっさんのところまで来てくれ」とは言えず、完全に万事休す。

万策尽き果てた我々に待ち受ける運命とは……

 

 

などと思わせぶりな展開となったところで、中編はここまでとさせていただければと思います。

本当なら前編・後編で終わりにしたかったのですが、今回も余計な脱線話を挟みまくった結果、開演にすらたどり着けずに終わる形となりました。

次回は後編なのでそこでなんとしても終わらせなければなりません。

よろしくお願いいたします。

僕の好きなガンズ 【前編】

すみません。少々お時間よろしいですか。

そうです。僕です。

久々にブログなんぞを更新してみようかと思い、パソコンを抱えて夕暮れの砂浜に来てみました。

波打ち際でクロールをするカップルを眺めながらキーを叩いております。

 

いやー。それにしてもアレですね、ロスですね。

ロサンゼルス、つまりLAじゃない方のロスですね。

ロス疑惑じゃない方のロスです。

わかりますよね。わかりませんか。

ズバリ言った方がよろしいですか。

 

そうです。ガンズロスです。

 

「そうです。わたしが変なおじさんです」みたいなノリで言ってしまいましたが、公演終了から10日以上が経とうというのに、いまだに酷いガンズロスに陥っております。

公演後は記憶を上書きしたくなくて音楽すら聴けない状態でございました。

それほどすごかった。楽しかった。面白かった。埼玉は遠かった。

 

というわけで、Guns N' Roses来日公演のブログを書いていきたいナーと思っております。

というか、「書いていきます!」とここに宣言させていただけたら嬉しいナーと考えております。

例によって導入部分が不必要に長くなってしまって恐縮ではありますが、ここから本題に入りますので読み進めてくださる方のみご登壇ください。

その他の方はタレントのヒロミさんのWikipediaへ速やかにご移動ください。

ちなみにライヴレポというよりは個人の忘備録となりますので、スタンダードなライヴレポを読みたい方は音楽誌や音楽ウェブサイト、熱心なファンの方が書かれたブログなどをお読みになるのがよろしいかと思われます。

そのあたりをご理解いただきますようあらかじめお願い申しあげます。

 

 

2022年11月5・6日の2日間にわたって開催されたGuns N' Roses来日公演。

アクセル、スラッシュ、ダフのBig3が揃ったラインナップとしては約24年ぶりの来日公演となった2017年1月の日本ツアー以来、約5年9ヶ月ぶりに彼らが戻って来たわけであります。

来日公演が近付くにつれて新型コロナウイルスの感染者数も増加傾向となっており、ちょっとばかり嫌な予感はしたのだけれど、予定通り開催されて安堵いたしました。

感染者数の発表を見るたびに心の中のアントニオ猪木R.I.P.)が「延期ですかー!?」と叫んでいたので、マジで気が気じゃなかったのよ、あたしゃ。

 

会場はさいたまスーパーアリーナ

埼玉県なる辺境の地まで足を運ばなければならない事情もあり、全国旅行支援制度を駆使して前日に現地入りすることにいたしました。

ちなみに埼玉県在住の某ホロワーさんは、自身の生活圏内の公演にもかかわらず3泊4日のスケジュールで臨むという小旅行スタイルを敢行。ガンズファン、いい感じに狂ってます。

 

ちなみにガンズのマネジメントを担当するチーム・ブラジルの面々は10月26日あたりに日本へ入国。

その中にはアクセルのパーソナル・アシスタントを務めるベータさんも含まれていたため、ファンの間では「アクセルも一緒に来ているのでは?」との憶測が浮上しましたが、そこはやはりアクセル。公演当日まで目撃談のひとつも出てきませんでした。

わたくしもチーム・ブラジルの来日を知ってからというもの、どこでメンバーに遭遇してもいいように『Appetite For Destruction - Locked N' Loaded Edition』を背負って生活しておりましたが、ただ体幹が鍛えられただけで終わったことをこの場を借りてご報告させていただきます。

 

(通称“箪笥”ことAppetite For Destruction - Locked N' Loaded Edition)

 

11月4日夕方、さいたま新都心駅に降り立ったわたくしを襲ったのは、南関東とは明らかに異なる冷たい空気。

厚手のパーカーを着てまいりましたが、それでも身体が震えるほどの寒さ。

これはマズいと思い、これからやって来る前泊組に「埼玉めちゃ寒い。キケン」と即座にメッセージを飛ばして二次災害を未然に防ごうとしたのがわたくしです。

そんなわたくしの気遣いにもかかわらず、ティーシャーツ1枚で震えながら登場した某ホロワーさんの姿を見たときは泣きそうになりました。

ふざけんな馬鹿 大切なライヴの前に風邪をひいてしまっては大変なので、人の忠告には真摯に耳を傾けてほしい。

 

とりあえずホテルに荷物を預けて会場の下見へ。

同じく前日入りのロッピンさん(名前の由来は、漫画『キン肉マン』の登場人物であるロビンマスクを成人するまでロッピンマスクだと思っていたことから)も合流し、ふたりで会場周辺をうろうろ。

小雨の降る中、スーパーアリーナの外周を散歩していると、なんと開け放たれた扉の向こう側に設営中のステージが確認できるではありませんか。

わー。本当にここで演奏するんやー。

当たり前すぎるほど当たり前の感想が頭をよぎりました。

 

会場設営と並行してステージ上では音出しがスタート。

このタイミングで扉を閉められてしまったので詳細は確認できませんが、どうやらメンバーではなくスタッフが音響の確認のために演奏しているようです。

Welcome To The Jungle”のワンフレーズや“Rocket Queen”を聴いてテンションが一気に上がる前日入りチーム。

わー。本当にここで演奏するんやー。

当たり前すぎるほど当たり前の感想が再び頭をよぎりました。

 

どうしてもアクセルに会って腕にサインをもらいたい(そして可及的速やかにタトゥーとして身体に刻み付けたい)ロッピンさんはそのまま会場外で粘りたそうな雰囲気でしたが、明らかにメンバーを待っていると思しきハイヤーの運転手さんが「まだまだ車を出せる状況じゃないらしい」などと言っているのが聞こえてきたため、会場の下見はここで終了。

下見途中で合流した前日入り組を交え、会場近くで夕飯を食べる運びとなりました。

乾杯の挨拶もそこそこに始まるのは、当然のことながらガンズの話。

今回の来日公演から噂レベルの小ネタまで話は多岐にわたり、さながら『ガンズ・アンド・ローゼズを語る会 in 埼玉』の様相を呈してきたほどです。

 

しかし、日本公演の物販ラインナップに話が及んだ途端、場の空気が一変。

みんな急に伏し目がちになり口数が少なくなりました。

選挙で落選が確実になった候補者の事務所みたいな雰囲気になってしまった理由は実にシンプル。

 

だってダサいんだもん。

 

いや、ハードロック系アーティストの物販はダサいもんだと相場が決まっているのは百も承知だし、発表前にはそれなりの覚悟をしていたわけなのだけれど、その覚悟を簡単に打ち砕くようなラインナップに愕然としたのよ、みんな。

Twitterで物販情報が解禁されたときには、それまで「さっさと情報出してくれー」って騒いでた人も黙ったもんね、完全に。

みんなで上司の悪口言ってるときに当の本人が入って来たときくらい黙った。

 

(勇ましい赤鬼)

 

赤鬼5,500円ですよ。

折からの円安でグッズの値段が上がるのは覚悟しておりましたが、胸の中央に赤鬼ドーンで5,500円はちょっと…。

まあ、このデザインのグッズがあるのは予想してた。日本公演のポスターと同じデザインだもんね。そりゃ作るよ、グッズ。

でも、これとは別に日本公演用のご当地グッズがあると思うじゃん。他の公演地ではそういうの売られてるじゃん!

2017年の来日時のグッズはそれなりにかっこよかったから、今回が余計にキツく感じられるわけです、2017年参加組としては。

 

誰かが漏らした「欲しい物が…ないんだよね…」という呻きに呼応し、ロッピンさんが「今回の物販はスルーやな」と非情なファイナルアンサー。

念のために補足しておくと、ロッピンさんの口から「欲しくない」という意味の言葉が飛び出すのは本当に異常事態なんですよ。

彼はガンズの熱心なコレクターで、普通の感覚からすると「えっ。それは要らんでしょう」という物まで買ってしまう人。

実際にモノを見てもらった方が早そうなので、ひとつご紹介しましょう。

 

(色使いがどうかしてるトレーナー)

ね。これを当たり前のように買ってしまう人なんですよ、ロッピンさんは。

黄色いやつなんて「夜道でも安心!」みたいな交通安全グッズですよ。

これを楽勝で購入するキチガイ 熱心なファンが「スルーでしょ」と言ってしまう今回の物販、マジで恐ろしいです。

ちなみにロッピンさんは上記のトレーナーを着て埼玉入りしようと思っていたそうですが、改めて現物をまじまじと見て冷静なメンタルとなり、「これは着ていったらアカンやつや」と寸前で回避したとか。

 

まあ、わたくしも内心では「今回は物販で散財する可能性ゼロ。ラッキー」などと思っておったわけですが、物販に対して消極的な態度をとるロッピンさんの姿を目の当たりにして意識が変容。

どうにかしてロッピンさんの食指を動かそうと、今回の物販ラインナップで一番の謎アイテムである九谷豆皿を猛プッシュ。

この時にはもうわたくしのメンタルは完全に売り手側になっていました。

 

(4枚も入っていてお得なガンズ九谷豆皿)

 

「ガンズの九谷焼ですよ! こんなの日本でしか買えないでしょう!」だの「かなり早いタイミングで完売するアイテムがあるとしたら九谷豆皿ですよ!」だの九谷焼の魅力を熱く語るわたくし。

そうすると不思議なもので、セルフマインドコントロールとでも言うのでしょうか。

それまで買うつもりなど微塵もなかったガンズ九谷豆皿が猛烈に素晴らしい商品に思えてきます。

店を出る頃には完全に「明日はガンズ九谷豆皿を買う」と固く心に誓うマイライフとなっておりました。

 

翌朝、ホテルのベッドで目を覚まし、寝ぼけ眼でTwitterをチェックして驚愕。

物販ガチ勢のフォロワーさんからの報告によると、午前5時前にもかかわらず物販目当てと思しき人がちらほら見受けられるとのこと。

12時開始の物販のために5時前から…。

その熱意にやられたせいでしょうか。

寝る直前まであんなに欲しかったガンズ九谷豆皿がまったく欲しくなくなっている自分がいることに気付きました。

 

まあ、前乗りチームはみんな物販欲しくないって言ってたし、とりあえずホテルの部屋でのんびりしますか。

などと思っていたら、8時前に続々と物販列に向けてホテルを出発していく前乗りチーム。

 

なぬー! 昨日のあの態度はライバルを油断させるための作戦かー!

 

相変わらず特に欲しい物はないけれど、このまま部屋にいるのも癪なので世界の武田清先生(パピコを使ってナンパをする偉人)と連れ立ってわたくしも物販列へ。

温かいコーヒー片手に物販列を冷やかしていると、列の後方に見覚えのある顔が。

そう。2017年ガンズ大阪公演で今なお語り継がれる「唇紫事件」を巻き起こした石井さん(仮名)です。

事件の詳細については控えますが、真冬の早朝から物販列に並び続け、ライヴ会場に入場した頃には疲労困憊。唇が紫になっていたという気の毒なおじさんです。

そんな石井さんですら気合を入れて並ばないわけですから、今回の物販への期待の薄さが透けて見えてしまうわけであります。

 

余談ですが、物販列の進みと日陰の動きが奇跡的に完全一致した結果、“石井さんがいるところだけ常に寒い”という現象が起こり、「逆・松岡修造」なる通り名が授けられたことをここにご報告しておきます。

 

買う気もないのに物販列付近をウロウロしていたところ、ふと気が付けば物販スタート時間が目前に迫っておりました。

ブースの近くにはティーシャーツやらパーカーやらを着せられたマネキンが並び、さながらブティックのよう。

普通のブティックと違う点を挙げるとしたら、マネキンが着ている衣服のデザインが明らかにどうかしていることでしょうか。

こんなにどうかしている商品なのに、いざ列に並んでしまうと自分でもまったく予想していなかった衝動的な購買行動に出てしまうのが物販列の恐ろしいところ。

足を踏み入れた人間の冷静な判断力を奪ってしまう謎の磁場が存在しております。

今回の物販ブースにつきましては、ブティック『気が動転して買ってしまった』と名付けました、わたくしは。

 

(ブティック『気が動転して買ってしまった』)

いざ販売がスタートすると気が動転してしまった人が続出。

「隣の人が買っていたから」という理由で九谷豆皿を追加で買ってしまったフォロワーさんまで登場する始末です。

わたくしはこの件について「物販列における伝染する狂気」として学会に報告する準備を進めております。

といいますか、わたくしも物販列の磁場にやられてしまいまして、最終的には九谷豆皿を筆頭に結構な額のグッズを購入してしまいました。

ガンズ九谷豆皿をお買い上げになったみなさん、近いうちに『ガンズ九谷豆皿ユーザーの集い』をやりましょうね。

 

そして一部で話題となったのが、サポートアクトの物販のお値段問題。

わたくしは初日に出演のLOUDNESSがこの日限定で販売する「LOUDNESS WAS HERE」ティーシャーツが欲しかったのだけれど、事前の告知段階では4,500円だったものが売り場では何故か5,500円の値付けになっていたのです。

「間違いじゃね? 教えてあげないと」と世界の武田清先生(パピコを使ってナンパをする偉人)が売り場のスタッフに指摘に行ったところ、あっさりと「お値段変わりましたー」との返答。

まあ、1,000円上がったから買わないってことはないけど、これも昨今の値上げラッシュの一環ですか…。あまり釈然としない。

 

理由のよく分からない値上げの謎。

それはLOUDNESSの物販ブースまで来たところで完全に解決いたしました。

 

 

ガンズの意向!!

 

それはもう何も言えないやつじゃないですか。

この「WAS HERE」っていうのはガンズの有名なデザインのパロディなので、もしかしたら意匠の使用料を支払うために1,000円値上げしたのでは?

いや、絶対そうだよ。だって急に1,000円値上げなんて不自然だもん。

ガンズへの上納金でファイナルアンサーだよ。

 

などと勝手な推測であーだこーだ盛り上がったのだけれど、翌日のサポートアクトであるBAND-MAIDの物販(ガンズオマージュ商品なし)も同じようにガンズの意向で1,000円値上がりしており、真相は謎のままであります。

ガンズは他の国でもサポートアクトの物販価格に口を出しているのだろうか。

それは誰にもわからない。

 

 

ていうか、前日入りから物販までで文字数使いすぎじゃないですか。

このままだとえらく長いブログになりそうなので、ここまでを前編とさせていただいて、ライヴのことは後半に持ち越しにさせていただきましょうかね。

 

まあ、赤鬼のティーシャーツを買った人は冠婚葬祭などでご活用くださいね。

よろしくお願いいたします。

Hakken Open Air 2022

どうも。幼少期に桶に入れた白米を団扇であおいでいる母親の姿を見て、“白米を団扇であおいでいくと酢飯になる”と思いこんだまま成人を迎えてしまった僕です。

ありますよね、誰にでもそういう思い込みが。

 

まあ、そういうわけでアレですね、そろそろ来ますね。

誰が。

Guns N' Rosesが。

 

ええ。あと10日もすればGuns N' Rosesが来日してしまうわけです。

こないだ来日が発表になって、こないだチケットが発売になったかと思ったら、もう来日が目前に迫っているわけです。

ふと気が付けば前日に迫っていて、さらにふと気が付けば終わっているんでしょう。

人生とはそういうものです。

 

今回はチケット発売についてはそれほどの大混乱が起こらなかった印象ですね。

2017年の日本ツアーが発表されたときは、発表日の正午から公式ファンクラブNightrainの先行予約が急遽スタートし、それはそれは阿鼻叫喚だったわけですが。

 

まあ、少しでも申し込みをスムーズにするために高性能マウスを購入するというキチガ 様子のおかしい行動に走ったファンをひとり知っておりますが、それ以外は概ね冷静にチケット争奪戦に臨んだのではないかと思われます。

ちなみに2017年のチケット発売日の様子につきましては、下記ブログをご参照いただけますと幸いです。よろしく哀愁です。

 

sasayaki-okami.hatenablog.com

 

チケットの発売が終わると次にやって来るイベントはなにか。

みなさま、おわかりでしょうか。おわかりですね。

おわかりの方のみご登壇ください。

 

そう。チケットの発券でございます。

最近は電子チケットの公演も増えてきましたが、今回のガンズは紙チケット。

やはり手元にチケットが残るのは嬉しいものです。

嬉しい方だけご登壇ください。

 

発券開始日は10月22日(土)。

つまり公演の2週間前ということになります。

転売対策なのか、最近は公演日が近付かないと発券できないケースが増えてきましたね。

今年のサマソニの発券開始日が公演前日だったのには震えました。今もまだ少し震えています。

 

 

スタンディング形式のチケットも販売されていた2017年の日本ツアーとは異なり、今回は全公演座席指定。

優先入場権利付きのアップグレードチケットを買えばかなりの確率で最前列の柵をゲットできた前回から一転、発券した時点で自分が観る位置が決まってしまうわけです。

しかも今回はアップグレードのシステムがないため、まさに一発勝負。

金の力で アップグレードの恩恵にあずかって快適な体験をした人ほど“座席指定”という言葉が重く感じられたのではないでしょうか。

 

そんな前回からの経緯もあり、いざ発券がスタートするとまさに明暗真っ二つという塩梅。

喜びの声と悲しみの声が不協和音を奏でておりました。

特に35,000円のGOLD席を購入したファンにその傾向が顕著で、たしかに「このお値段で?」と言いたくなる気持ちはよくわかります。

 

ちなみにTwitterのアンケートでの満足度はこんな結果となりました。

全券種対象のアンケートだったので、券種別に質問したらまた違った結果になるかもしれませんね。

 

 

 

というわけで、次回の来日時に役立てられる(かどうかは知らんけど)ように、今回のチケット販売について記録を残しておこうかナーと思います。

現在わかっている情報を元にして、わたくしの推測を交えながら綴ってまいりますよ。

あくまでも“個人の予想”としてお読みいただければ幸いであります。

 

(2022年日本ツアーの素敵な告知画像)

 

まずはどのルートで買うのが一番良席が回ってくる可能性が高かったのか、という点ですが…

 

 

Nightrain(公式ファンクラブ) > Creativeman 3A会員 > Power Rock Today先行 > Creativeman モバイル会員 > 各種プレイガイド先行 > 一般販売

 

 

という感じなのではないかと推察しました。

PRT先行とクリマンモバイルはほぼ同列の可能性もありそうですが、最前列を含む良席が用意されていたのはNightrainということで間違いなさそうです。

 

アリーナ席はGOLD席とSS席が割り当てられており、A~Dの4エリアに分かれています。

アリーナA・BはGOLD席、アリーナC・DはSS席という理解で大丈夫そうですが、Nightrain会員であればGOLD席はA、SS席ならC(もしくはスタンドの良席?)になったのではないでしょうか。

 

各アリーナが何ブロックに分かれているのかは現時点ではハッキリしていません。

しかし、発券を済ませたファンからの情報を総合すると、A~Dまでのアリーナは各7ブロックに分かれている可能性が高そうです。

チケットには「〇〇番」と番号が記載されているだけで何列目に該当するかは不明なのですが、おそらく各列10~12席の配置ということになるのではないでしょうか。

とりあえず各列10席で計算しておけば「げ! 12席じゃん!思ったより後ろだ!」と当日ガッカリすることはないかと思います。

 

7ブロックに分かれているということで、ステージに対してど真ん中に相当するのは各アリーナの4ブロックということになります。

アリーナ番号の数字が若くなるほどステージ下手(ステージに対して左側)、数字が大きくなるほどステージ上手(右側)という位置関係になるはずです。

下手側になったスラッシュファン、上手側になったダフファンもいるでしょうが、こればかりはもう割り切って楽しむしかないですね。

人生とはそういうものです。

 

 

Nightrainの先行販売で申し込んだ場合、どのようなシステムが席が決定するのでしょうか。

Creativeman 3A先行などとは違い、先着販売システムを採用しているNightrain先行。

個人的な印象としては、早く申し込みが完了した順番に良席をあてがっていく、という感じでした。

わたくしは前回の来日時、大阪公演が整理番号1番だったのですが、その時は人類最速で申し込みができたという手応えがありました。

そういう自分の体験もあり、個人的には「ナイトレ早い者勝ち説」を唱えております。

 

これも推測ですが、今回の先行販売で最優先で売られたのは中央ブロック(つまりアリーナA4)の最前列です。

この最前列を売り切った後は、隣りのブロック(A3もしくはA5)の最前列が売られていくシステムなのではないかと推測しています。

A3~A5の中央ブロックが最優先で売られていたのは間違いないと思うのですが、そこから先の動きは少し微妙です。

A2もしくはA6の最前列にいくのか、もしくはA3~A5の2列目以降が優先されるのか。

これに関しては申し込み完了時間のデータを秒単位で集める必要がありそうです…。

 

 

わたくしのホロワーさんに、申込完了直前で税理士さんから電話が入ってしまい、それを対応していたら思ったような席が取れなかったという気の毒な方がいらっしゃいまして、アクセルのマイクやホイッスルがその方のところに飛んできてほしいナーと願うばかりです。

 

「ナイトレ早い者勝ち説」が正しいと仮定した場合、あとは申し込みを完了させるまでの端末の操作スピード、端末のマシンパワー、ネット回線の速さなどの要素が鍵になるかと思われます。

この要素を完全に満たしたのが、埼玉県に住む会社経営・石井さん(仮名)という方で、プロゲーマ―並みの機材とネット回線を駆使して申し込みをした結果、最前列を含む超良席をゲットすることに成功しております。

 

しかも、埼玉県に住む会社経営・石井さん(仮名)が受付を完了したのは12時01分。販売開始から1分ほどで申し込みを終わらせてしまうテクニックは日々のゲームで鍛えた超絶スキルです。

こういった異次元のスピードを持ったeスポーツ選手に我々一般人が太刀打ちするのは不可能な話で、良席を奪取していく姿をただただ指を咥えて見ているしかありません。

 

そして、これは完全に仮説の域を出ないのですが、個人的には今回最強だったと感じたのは、

 

 

埼玉県在住Nightrain会員

 

 

という属性でした。

公演地である埼玉県のIPアドレスから申し込んだNightrain会員が最高に優遇されていると半ば確信しております。

ただし、この仮説のサンプルは1例、先述の埼玉県に住む会社経営・石井さん(仮名)のみなので話半分で聞いていただければ幸いです。

この仮説を立証するため、次回の来日時には公演地のIPアドレスから申し込んでみようと心に誓っております。

もしよろしければみなさんも是非。

 

 

まあ、特に今回もオチはないのですが、座席がどこであれ最愛のバンドのライヴを観られる機会は尊いものです。

チケットを買われたみなさま、思いきり楽しんでまいりましょう。

わたくし、コンタクトレンズにスニーカー、それに上着というスタイルで参上いたしますので、見かけた方はどうぞお気軽に声をおかけください。

 

SUMMER SONIC 2022 - 最終日 -

君と夏の終わり 将来の夢

オーキナキヴォー忘れない

 

オーキナキヴォーってなんですかね。こわいです。

というわけでアレです。そう、僕です。

 

前回はサマソニック初日の模様をお送りいたしました。

2日分まとめて書く予定だったのですが、どういうわけか異常に長くなってしまったため、初日と最終日に分割しております。

 

 

今回は3年ぶりの開催となったサマソニック最終日の模様をお届けしてまいりますよ。

ライヴレポというよりはおっさんの備忘録です。ご容赦くださいませ。

前回のように無駄に長くならないようサクサクまいりましょう。

 

 

・The Struts(サイン会)

 

ホテルをチェックアウトした途端に降り出した雨もものともせず、意気揚々とサマソニ会場にたどり着いたおっさんがわたくしです。(前日の合計歩数4万歩超)

疲れていないと言えば噓になるけれど、3年ぶりのサマソニというポジティヴなエナジーがおっさんの屍を衝動的に突き動かしております。

 

2日目のオープニングはライヴではございません。

オフィシャルサイン会への参加から2日目をスタートしていきたいわけでございます。対象アーティストは、初来日のサマソニを観て心底惚れ込んだThe Struts! そう、ストラッツですよ、ストラッツ。

これはサマソニ公式のサイン会専用LINEアカウントで募集しておったもので、先着10名という高すぎるハードルに躊躇しておったものですが、ダメ元でアクセスしてみたら参加券がゲットできてしまって驚愕。

「もしかしたら公式に見せかけた詐欺アカウントなのでは?」と思い、「クレジットカード情報の入力などを求められても絶対に断るぞ!」と心に誓い続けながらサイン会当日を迎えました。

みんなもそういう気持ちだったと思うし、そういう高い防犯意識が大切だと思う。

 

サイン会に参加するためにはグッズもしくはCDの購入が必要なため、わたくしはHMVさんのブースでCDを1枚購入いたしました。

ちなみになにを買ったのかと申しますと、『聖闘士星矢』のカバー曲のためだけに買い直すのもナーと思っていた2ndアルバム『Young & Dangerous』の新装版でございます。

これでストラッツのCDは1stが3枚、2ndが2枚という構成となりましたが別に後悔はしていない。

 

あ、CDを買ったのがサイン会当日のことのように書いておりますが、実は初日にアーティストグッズの物販に並んだついでに購入しております。

サイン会が始まるのが11時半、さらにその15分前には何があっても集合せよ、遅れた場合は知りませんよ、遅い人ほっときますよ、という厳しいお達しを受けておりました関係で当日はバタバタしたくなかったのです。

 

普通なら、普通の人なら「サイン会当日に買わなくちゃいけないんだろうな」と考えてしまうところですが、わたくしはもうメンタルが名探偵なものですから「まてよ…当日にしか買えないと俺たちに思い込ませることが犯人の狙いだったんだ。謎はすべて解けた。犯人(ストラッツのCD)はこの中にいる!」などと叫んだわけですよ、心の中で。

そしてあとはみなさんも知っての通り、HMVさんのブースでサイン会に必要なストラッツのCDをサイン会前日にまんまと手に入れることに成功したわけです。

 

こういうことを言うと自慢になってしまって嫌なのですが、『古畑任三郎』ってドラマがあったじゃないですか。そう、田村正和さんがキムタクを力任せにビンタしたりするやつ。

あれもね、わたくしくらいになるとストーリーの序盤でもう犯人がわかってしまうわけですよ、かなりの高確率で。名探偵の資質? まあ、そういうものがDNAの中を駆け巡っているわけです。よろしくお願いします。

 

ていうかライヴどころかサイン会すら始まっていないのに結構な文字数を費やしてしまいましたね。こわい。

古畑任三郎の話とか必要だった? いらないよね、絶対。

「前回のように無駄に長くならないようサクサクまいりましょう」なんてどの口が言ったんだ、馬鹿。

 

無人のサイン会ブース

 

幕張メッセ内に設けられたサイン会特設ブースに到着すると、まだ待機列は形成されていないものの明らかに“それらしい人たち”がそれとなく周りを取り囲み、各々が猛禽類の目でもって状況の変化を見守っておりました。

サマソニは結構な回数来ているわたくしですが、実はサイン会に参加するのは初めて。なにか粗相があってはサイン会猛者のみなさまに叱られてしまうので、慌ててスマホを取り出して「サイン会 失礼ゼロ どうすれば?」などと検索している始末。

 

予定通り開始15分前からスタッフの誘導によって整列が開始となります。

写真撮影やメンバーへのプレゼントは禁止といった注意事項を説明され、サイン会の参加券やCD購入時のレシートなどの提示、さらには検温をクリアした人から待機列へ。

何気なく後ろを見ると、想像をはるかに超える人数が並んでおります。クリエイティヴマン有料会員枠の抽選10名&公式LINEの先着10名だけだと思っていたのだけれど、どうやら別のルートでもサイン会の公募があった模様。世の中知らないことがたくさんありますね。

 

しかし、ここで大問題が発生。

CDを購入したのはいいけれど、どこにサインを貰うのかまったく決めておりませんでした。普通に考えればジャケットなのだけれど、それだとどれが誰のサインかわからなくなってしまいがちだし…。

インナーには各メンバーがピンで写っている写真が載っているけど、インクが乾く前に他のページを開いてしまうとぐちゃぐちゃになってしまうし…。

 

と絶望に打ちひしがれ、思わずメッセ内で倒れ伏してしまいそうになったまさにその瞬間、奇跡的に天啓が降りてまいりました。

なんと、CDの裏ジャケにはメンバー全員が一堂に会した写真が使われているではありませんか。

ここにサインを書いてもらうのがベストと判断したわたくし。そのためには裏ジャケをCDケースから取り出さなくてはなりません。

サイン会がスタートする前に裏ジャケを取り出すべく、猛然とCDケースの解体をスタート。不穏な破壊音を響かせながら内側のトレイを外し、無事に裏ジャケを救出することに成功いたしました。

 

この行動を客観的に観察した場合、サイン会が目前に迫った緊張によって発狂したおっさんがいきなりCDケースをバキバキと破壊し始めたようにしか見えなかったのではないか。

サマソニが終わって一週間以上が経過した今、そんなことに気付いて嫌な汗をかいております。

怖い思いをさせてしまった方がいらっしゃったらこの場を借りてお詫び申し上げます。

 

ほぼ定刻、スタッフさんの動きが慌ただしくなったと思うと、サイン会ブース奥のカーテンの向こうからストラッツの4人が登場。

少しばかりぽっちゃりした印象のルークが若き日のオジー・オズボーンのように見えたのはわたくしだけでしょうか。

 

若かりし頃のオジー・オズボーン(狂人)

改めて待機列を確認すると、人数はさらに膨れ上がって長蛇の列。

一人ひとり丁寧に対応していたらとんでもない時間がかかってしまうので、おそらく流れ作業に近いような感じになるはず。

そう思ったら一気に緊張がほぐれ、周りを冷静に観察する余裕が生まれてまいりました。するとすぐそばに顔見知りのホロワーさんを発見。数年ぶりの再会。

まさかこんな場所でお会いできるとは思っていなかったので、これは嬉しいサプライズ。「これじゃあ“サイン会”じゃなくて“再会”だねー。“ン”がどっか行っちゃった」と言ったとか言わなかったとか。(言ってません)

 

わりと早い順番だったこともあり、サイン会開始からものの数分でわたくしの順番に。

最初は拙い英語で「日本に戻って来てくれてありがとう!」などと言っていたわたくしですが、後半は「アリガトー! サンキュー!」を連発するだけのポンコツマシンへと変貌。

気が付いた時にはサイン済の裏ジャケを持ってサイン会ブースの外に立ち尽くしておりました。本日の任務終了でございます。あとはライヴを楽しむだけなんだ村。

 

死に物狂いで取り出した裏ジャケ

 

・The Struts

 

軽いお昼休憩を挟んで向かったのはマリンスタジアム

そう、先ほどサイン会でひと足先に姿を拝んだストラッツの出番でございます。

わたくしにとっては初日のオフスプと並び、今年のサマソニの目玉。オフスプとかぶらない限りは絶対に観るゾーと心に強く誓いました。そしてその誓いを守りました。有言実行の男と呼んでいただきたい。よろしくお願いします。

 

2022年中に予定されていた単独来日公演が中止になってしまったという経緯もあり、多くのファンにとっては念願のストラッツとなったのではないでしょうか。

彼らが日本のステージに立つのは2019年のサマソニ以来、実に3年ぶりのこと。2016年のサマソニで初来日を果たしたストラッツは、2017年、2019年と出演を重ね、今回で早くも4回目のサマソニ登場。常連への道を着実に歩んでおりますね。

 

毎回素晴らしいステージを披露してくれているだけにフェス内の序列がなかなか上がっていかない状況には歯がゆいものを感じますが、与えられたステージが大きかろうが小さかろうが、どういう環境であっても全力を尽くすのが彼らの良いところ。

真っ昼間の時間帯であっても全身全霊を注ぎ込んだロックンロールショーを見せてくれるはずです。

(でも、次の出演時にはインドアステージの良いポジションを任せてあげてもいいんじゃありませんか、クリマンさん…)

 

ひとつ前のアーティストの演奏が終わり、満足げに退場していくファンの間を縫ってスルスルと前方へ移動。

行けるところまで前に行こうと進んだ結果、ふと気が付けば2列目まで来ておりました。サマソニでこんなに前まで来たのはいつ以来だろうか。こんな視界でマリンステージを観るのは本当に久しぶり。

そして前方エリアは若者が多い。おそらくストラッツ目当てでなく、その後に出演するアーティストに向けて待機しているファンだと思われるのだけれど、こんなに客層の若いマリンステージは新鮮。若い人が多いのは素晴らしいことよ。

 

サッシャサマソニのすべてを掌握する偉人)のありがたいお話が終わるとアリーナからは熱いストラッツコールが。わたくしの周りにストラッツファンらしき人は見当たりませんが、この広いアリーナの一角に熱心なファン集団が陣取っていたようです。

ステージに登場したバンドが“Primadonna Like Me”からセットをスタートさせると客席は蜂の巣をつついたような大騒ぎ。始まる前は「The Strut? I don't know」などと言っていた女の子も大騒ぎ。

 

そのまま雪崩れ込んだ2曲目の“Body Talks”で完全に勝負あり。登場から5分ほどで見事に“つかみはオッケー”状態に持ち込んだストラッツ、そこからは何をやってもウケるボーナスステージに突入です。

手を叩かせ、踊らせ、歌わせる。オーディエンスに休む暇を与えないそのステージ運びは、“英国の至宝”Thunderのライヴに通じるものがあると思うんだ村の住人です、あたしは。つまり、どちらも最高に楽しいということ。

Thunderのライヴをまだ体験したことのない方がいたら、次回の来日は是非観に行っていただきたい。わたくしの言葉の意味がわかるはずです。

 

それにしても、ステージのどこにいてもオーディエンスの視線を集めてしまうルークは天性のロックスター。

フレディ・マーキュリーマイケル・ジャクソンを彷彿とさせるステージアクションも板に付いていて、安易な模倣ではなく“スーパースターのDNAの継承”といった受け止め方をするのが正解なのではないかと思ったほど。

初来日の時点ですでに卓越したパフォーマーだったけれど、彼がショーマンとしてどれだけの高みに到達するのか見届けなければいけないと強く誓ったし、みんなも誓ったと思う。

 

ルークがコーラスパートをみっちりとレクチャーした後に始まったのは、サマソニ開幕前夜にリリースされた新曲“Fallin' With Me”。「fa-fa-fa-fa-fa-fa」というファニーでキャッチーなフレーズも印象的で、他の曲と遜色ないレベルで盛り上がっておりました。

来日中に最新インタビューによれば、新曲をサマソニ前夜にリリースしたのは「久しぶりに日本に戻って来るからスペシャル感を出したかった」とのこと。

いやー。日本人冥利に尽きますよ、ホント。それをステージ上で高らかに宣言すればめちゃくちゃ盛り上がったはずなのに、帰国後に公開されるインタビューの中でぼそっと明らかにするあたり、英国紳士って感じじゃないですか。素敵やね。

 

オーディエンスを全員座らせてから飛び上がらせるお約束を経て、最後は必殺曲“Could Have Been Me”でフィニッシュ。

コーラスパートは惜しくも大合唱とはならなかったけれど、他のアーティスト目当てのファンの心にストラッツの名を刻むことに成功したのではないでしょうか。

次の来日公演はチケット争奪戦になるかもしれませんね…というか、なってくれないと困るよ! 洋楽業界希望の星として注目を浴びて数年、ここらでさらなら飛躍を期待したいところであります。

 

 

・YUNGBLUD

 

ストラッツの後に控えるのは、同じくイギリスの若手アーティスト・YUNGBLUD。このスペルで「ヤングブラッド」と読みます。若者の前で「ユングブルード」などと発音してしまうと狩られてしまうのでご注意ください。

 

得意げに発音上の注意点などを説明しているわたくしですが、YUNGBLUDの音楽に精通しているわけでもなく、サマソニの予習をしていて「お!ええやん!」と気になった程度でございます。にかわファンですらないレベル。石を投げたりしないでください。よろしくお願いします。

 

この8月に25歳になったばかりの彼は、2020年の2ndアルバム『Weird!』が全英チャート1位を獲得。ストラッツよりも後の出番になるのも納得の実績の持ち主なのです。

9月2日には3rdアルバムとなるセルフタイトル作『Yungblud』をリリース予定。全英チャートはもちろん、全米でのチャートアクションにも注目したいところ。

 

若者の巣窟となりつつあるマリンステージのアリーナから脱出し、昨日も利用したSpotify有料会員特等席でYUNGBLUDを観ることにしたわたくし。強烈な日差しを遮る屋根が無いのは難点ですが、それ以外は非の打ち所がない快適な席であります。天国。

 

えー。結論から言ってしまうと、YUNGBLUDすごかった。すごすぎた。

今回のサマソニで一番衝撃を受けたステージだったと言っても過言ではございません。

 

とにかくテンションの高さが尋常じゃないのよ。

サステナブル(持続可能な)サンシャイン池崎、永遠に続く江頭2:50の登場シーン。

そんな形容をしたくなるほど登場した瞬間からメーターがレッドゾーンを振り切りっぱなし。それが最後まで続くっていうんだから大変な騒ぎですよ、あなた。

 

これまでサマソニで観たアーティストの中で一番テンションが高かったのは2002年のアンドリューW.K.だったのだけれど、今年のYUNGBLUDは間違いなくそれを超えた。

あのアンドリューW.K.を超えてしまうテンションというのは普通の人間なら生命に関わるレベルなのだが、おそらくYUNGBLUDは「※ 特別な訓練を受けています」というテロップが表示されるタイプの人間なんだと思う。きっとそうだ。

 

こんな説明ばかり続けていると「あー。はいはい。テンションだけで押し通すタイプのやつね」と思われそうだけれど、YUNGBLUDの良いところは“勢いだけでなんとなく盛り上がってしまう雰囲気もの”ではないという点だ。

その音楽のクオリティは絶品。何か目新しいことをやっているわけではないものの、あちこちにちりばめられた絶妙なフックの数々に耳を奪われてしまうこと必至。

 

Wikipediaには彼の音楽ジャンルとして“オルタナティヴ・ロック”“ヒップホップ”“ポップ・パンク”が挙げられているけれど、実際にはもっと広いジャンルのいいとこ取りというか、幅広いジャンルの音楽ファンを繋ぐことのできる間口の広さがある。雑食音楽ファンのCDラックみたいな感じと言えばなんとなく想像がつくでしょうか…。

音源だけ聴けば、まさかこの青年が小型ハリケーンのような勢いでステージ上を暴れ狂っているとは誰も思わないだろうナー。

 

オーディエンスにモッシュを呼びかけまくるなど今年のサマソニ的には問題となりそうな行為もあったけれど、あのアリーナエリアの盛り上がりぶりは、サマソニ史に残る伝説として語り継がれていきそうなすさまじさがあった。

 

今年のサマソニの話題をさらったマネスキンのように、こういう得体の知れない強烈なエネルギーの塊に触れた若いファンが「なにこれ! よくわからないけど洋楽ってすごい!」と衝撃を受けてくれることが、低迷している洋楽人気復活の鍵になるんじゃないかと思いましたよ、あたしゃ。

YUNGBLUDは間違いなく今後の洋楽ロックシーンの中核を担う存在になると思うし、そこにストラッツも加わってくれたらナーと願わずにはいられません。

 

トリ前を務めたメーガン・ジー・スタリオンのステージもすごい盛り上がりだったと聞くし、今回のサマソニをきっかけとして、これまで日本に見向きもしなかった海外の人気若手アーティストたちが“これから開拓すべき市場”として日本を視界の片隅にでも入れてくれるようになったらいいなと思う。

今年のマリンステージは若いアーティスト中心のラインナップで、クリマンの「若い力でフェスを作り直すんだ!」という気概が感じられたので、ここから洋楽の新たな夜明けが始まったらいいですよね、奥さん。

 

ひとり暴動のようなYUNGBLUD

 

Kula Shaker

 

本当ならソニックステージで女王蜂を観ようと思っていたわたくしですが、ここに来て体力ゲージがエンプティになってしまったのでしばし休憩。

2日目終了後は自宅までのドライヴという大仕事が控えているため、途中で燃え尽きてしまうわけにはいかないのです。

無事故で帰宅し、会場で着たティーシャーツを洗濯して干して畳んでクローゼットに収納するまでがサマソニックですよ、お忘れなく。

 

エアコンの効いた車中で小一時間ほど体力をチャージし、いざ幕張メッセへ。

まずはソニックステージに立ち寄り、KinKi Kids堂本剛くんのソロプロジェクト・ENDRECHERIのライヴをチラ見。

 

ENDRECHERIは2018年のサマソニで初めて観て、その濃密なファンクサウンドに衝撃を受けて速攻で(当時の)最新アルバムを購入した記憶がございます。

本来であればフルで観たかったところですが、Kula Shakerと出演時間が若干かぶってしまい、冒頭20分だけ観て後ろ髪を引かれながらマウンテンステージに移動いたしました。

いやー。それにしても本当にすごいよ、ENDRECHERI。バリッバリの本格ファンク。めちゃくちゃ気持ちいい。サウンドチェックのバンドジャムだけでも聴きごたえ十分でございました。

 

女性率90%のソニックステージを抜け出し、足を踏み入れたマウンテンステージは、ブリットポップ全盛期に青春を過ごしたであろう年齢層の男女たちでそこそこの賑わい。

おそらく今頃、マリンスタジアムでは若者たちがメーガン・ジー・スタリオンに熱狂し、その後に控えるONE OK ROCKやポスト・マローンの登場に胸を高鳴らせているのでしょう。

今回のサマソニで心底感心させられたのが、例年とは比べ物にならないくらいの細やかな心配りで設計されたであろうタイムテーブル。

東京2日目に限って言えば、元気な若者はマリンステージ、それ以外は幕張メッセ or ビーチステージという明確なメッセージが伝わってくるわけであります。

 

これのなにがいいかと言えば、同系統のアーティストが色々なステージに分散することによって生じる民族大移動や出演時間かぶり、水と油のようなアーティストが同じステージに出演することによって発生する地蔵問題やファン同士の紛争などを回避することができるのです。

“普段あまり聴かない音楽に触れる機会になる”というフェスの醍醐味が減少するきらいはありますが、個人的にはこういった各ステージのカラーを鮮明に打ち出したステージ割はめちゃくちゃ評価できるナーと思いましたし、実際にめちゃくちゃ評価しました。

 

えっと…なんの話でしたっけ。Kula Shakerですか。

そう、わたくしにとっては念願の初Kula Shakerなんですよ! 

2016年の単独来日のチケットは買っておったんですが、ライヴ当日に謎の発熱で泣く泣く断念したという悲しい経緯があります。(しかも翌日にはケロリと治った)

2022年夏、ついに人生初キャッチ・ザ・サンに臨むわけであります。

 

そういえばTwitterでも情報を募集したキャッチ・ザ・サンに関するこちらの噂。

引き続き情報を募集しておりますので、キャッチ・ザ・サンに詳しい方がいらっしゃったらご連絡ください。よろしくお願いします。

 

 

「これからBrahmanが始まるのかな?」と勘違いしそうな荘厳な宗教音楽を出囃子として、ついにKula Shakerの面々が登場。

遠目なので細かいところまでは見えませんが、フロントマンのクリスピアンは禿げたり肥ったりすることもなく当時の印象のまま。王子ですよ、王子。

あんたはUKロック界のカジヒデキやー!と絶叫しました。心の中で。みんなも絶叫していたと思う。

 

1曲目はなんと衝撃のデビューアルバム『K』の冒頭を飾る“Hey Dude”!

心の準備も出来ないうちに早くもキャッチ・ザ・サンの瞬間が訪れてしまいました。

ついに太陽を掴んでしまったわけであります。屋内ステージではありますが、手のひらに太陽の熱さを感じたのはわたくしだけではないでしょう。

 

その後も新旧をミックスしたセットリストでライヴは進行していくものの、やはり圧倒的に盛り上がるのは名盤1st『K』からの選曲。

“Tattva”とか「こ…言葉の意味はよくわからんが、とにかくすごい盛り上がりだあ!」ってなるもんね。わかるよ。

さらには第1期Deep Purpleのカバー“Hush”でリッチー・ブラックモアのファンまで狂喜乱舞させる大サービスっぷり。いつか第3期Deep Purpleのカバーもやって欲しい。

 

最後は日本の人気シンガーmilet(ミレイ)をゲストに迎えての“Govinda”。

えっ。milet関係なくない…?と思ったのだけれど、彼女のステージ(Kula Shakerのひとつ前)を観た人によると「一番好きなバンドがKula Shaker」とMCで語っていたそう。

彼女にとってはまさに夢の競演だったのでしょう。見事な歌唱で楽曲に荘厳な響きを加えておりました。

 

終演後、Kula Shakerのデビューをリアルタイムで経験したであろう世代のUKロッカーが「泣いちゃった…」と呟いているのが聞こえて、「そうだよね。泣いちゃうよね」と肩を叩こうとしたけれど、わたくしは人見知りなので無言でその横を通り過ぎました。現場からは以上です。

 

ASIAN KUNG-FU GENERATION

 

伝説の大技キャッチ・ザ・サンで満身創痍となったわたくし。

カンジェネことASIAN KUNG-FU GENERATIONは後方エリアで座って観させていただくことにいたしました。

知らん人が見たら“トリのPrimal Scream待ちをしている邦楽に興味が無いおっさん”かもしれませんが、わたくしカンジェネ結構好きだからね。アルバムも出るたびにちゃんと買ってます。

 

開演前にぼんやりと会場内を見回して気付いたのが、出演アーティスト名が表示されるこちらのディスプレイ。

 

何故か違和感のあるバンド名

バンド名ってASIAN KUNG-FU GENERATIONSでしたっけ? ずっと単数形で記憶していたのだけれど、もしかしたら長年とんでもない思い違いをしていたのでは…。

そんな疑問をTwitterに投稿したところ、何故か数分後にはディスプレイがオフになってしまい、「ええっ!サマソニの中の人、わたくしのツイート読んだりしてないよね?」と軽く震えました。

 

バンド名に関するそんな疑問が解決されない中、カンジェネの演奏がスタート。

フェスなのでヒット曲多めでくるのかナーなどと予想しましたが、“サイレン”や“ソラニン”といった知名度の高い曲を挟みつつも、しっかりと“今のカンジェネ”を印象付ける質実剛健なセットリストを聴かせた印象でした。

 

後藤さんのMCによれば、カンジェネがサマソニに出るのは17年ぶりとのこと。

はい、わたくしは2005年観ております。あの時はマリンスタジアムの出演で、「野球少年だったから野球場で演奏できるのは嬉しいッスね」という後藤さんのMCをよく覚えております。

あの後もわたくしが観ていないだけで何回も出ているもんだと思っていたので実に意外でございました。もしかしたらサマソニ史上最長ブランクなんじゃない? 知らんけど。

 

あ。例のバンド名問題ですが、いつの間にかこのように修正されておりました。仕事が速い。

 

Sがどこかに消えた

Primal Scream

 

さあ、楽しかったサマソニも、3年ぶりのサマソニも最後の1組を残すのみとなりました。

いやー。正直なところ、観るかどうかめちゃくちゃ迷いました。

あんまり興味のないアルバムの完全再現だし、演奏時間が想像以上に長いので体力的に不安だし…。(約2時間。単独ライヴ並み)

 

などと迷いに迷った末、結局観ることにいたしました。ボビー・ギレスピー率いるPrimal Screamを!

だって、恥ずかしながら観たことないんですもん、プライマル。

せっかくなのでこの機会に観ておきたいじゃないですか。結構好きだし。

まあ、わたくしが一番好きなプライマルは『XTRMNTR』『Evil Heat』期なので、あの音像が聴けるわけではないことはよーく理解しておりますが。

 

今回は91年の名盤『Screamadelica』の完全再現ライヴ。

わたくしは個人的にアルバムの完全再現ライヴというものがあまり好きではなく、これまで観たものの中で最初から最後まで心底楽しめたのはMetallicaの『Master Of Puppets』完全再現くらい。

先ほども言った通り、『Screamadelica』にそれほど思い入れがないので、いわゆる“思い出補正”も発動しないため、始まる前は結構不安でございました。

 

んで、結論から言えば、想像以上に楽しめましたよ。完全再現パートも含めて。

「ボビー!お前はストーンズになりたいんだな! そうなんだな!?」と叫びたくなるようなムードの曲は無条件で楽しめたし、後半にLed Zeppelinの“Whole Lotta Love”風のリフをぶっ込んで延々とこねくり回す“Higher Than The Sun”はめちゃくちゃ気持ちよかった。

わたくしのような素人がこれだけ気持ちいいんだから、アルバムに思い入れがあるガチファンなんて失禁してもおかしくないレベルでしょう。

すぐ近くに前後にステップしながら顔を左に向けるという単調な動きを延々と繰り返しているおじさんがいて、「あ。これはもう完全にキマってるわ」と少々空恐ろしくなったほど。

 

『Screamadelica』に関しては完全に無知なわたくしですが、ストーンズ的グルーヴを解体してクラブミュージックのフィルターを通して再構築した、みたいな評価なんでしょうか、このアルバムは。

死んだ魚の目で客を煽ったりマラカスを振ったりするボビーの姿を見ながら、こんな覇気のない人がこんなにグルーヴのあるアルバムを作ったなんてすげえな、と死んだ魚の目をして考えていたおっさんがわたくしです。

 

再現パートが終わった後はみなさんお待ちかねの有名曲がズラリ。

“Swastika Eyes”はかっこよすぎて死ぬかと思った。『XTRMNTR』期の音像で聴いていたらたぶん死んでた。

“Country Girl”のエンディングで観客に手拍子を要求し、そのまま雪崩れ込んだのは大ロックンロール曲“Rocks”!

これよ!なんだかんだ言ってもこれなのよ、わたくしが約2時間待ってたのは!

問答無用で踊り狂って約2時間のプライマル祭り終了。体力が持つかどうか心配だったのに、アンコールパートの盛り上がりで逆にフルチャージになっておりました。元気ビンビン丸でございます。

 

個人的に気になったのはボビーの衣装。

上機嫌で帰っていくボビー

『Screamadelica』デザインの服なのだけれど、カラーリングが完全に『太陽戦隊サンバルカン』なのよ。みんなもそう思っていたと思う。

 

太陽戦隊サンバルカン

 

・総評

 

えー。今回もめちゃくちゃ長いブログとなってしまいました。

「前回のように無駄に長くならないようサクサクまいりましょう」なんてどの口が言ったんだ、馬鹿。

 

今回のサマソニには影の主役がいたのをご存知でしょうか。正確には“影のメインテーマ曲”とでも言いましょうか。

それがこちら

 

 

そう。Guns N' Rosesの“Sweet Child O' Mine”でございます。

これがね、朝から晩まで会場内でひっきりなしに流れておったわけですよ。前夜祭のSonic Maniaの時から流れまくっていたそうです。

2日間トータルで100回近くは聴いたのではないでしょうか。わたくしも結構なガンズファンですが、これだけの密度でスイチャを聴き続けたのは人生で初めてでございます。

 

あまりのスイチャ推しに海外バンドの関係者は激怒。

インスタに「どっかの馬鹿がPAスピーカーからスイチャをエンドレスで流している。鳥の大群がPAを糞まみれにして欲しい(意訳)」と怒りのコメントを投稿する事態に。

 

めちゃ怒ってる人

まあ、11月のガンズ来日公演にはクリマンの社運がかかっているんだから仕方ありません。

買おう! ガンズの来日公演のチケット!

 

ちなみにわたくしはこの出来事を『メロンコリー そして終わりのないスイチャ』と名付けました。(元ネタがわからないお友達はミスターチルのファンに訊いてみよう!)

 

 

SUMMER SONIC 2022 - 初日 -

いつもブレーキランプ 7回点滅

ド・ウ・モ・ボ・ク・デ・ス

 

はい。今回はドリカムトゥーの“未来予想図Ⅱ”風に始めてみました。

いかがでしたか。素敵でしたね。

というわけで僕です。

 

もしかしたら薄々気が付いている鋭い方もいらっしゃるかもしれませんが、お忍びでSummer Sonicに行ってまいりました。2日間。

愚鈍な 勘があまり鋭くない方々は「ええっ!」とか「わァ…ァ…」とか声が出てしまっているかもしれませんね。驚かせてしまってすみません。

 

いやー。実に3年ぶりですよ。

東京オリンピックとかコロナとか4630万円誤送金問題とか様々な問題のあおりを受け、2019年を最後に久しく開催されていなかったわけであります。

 

そんな夏の風物詩…いや、年間最重要イベントであるサマソニがついに戻ってまいりました。うれしい。こんなにうれしいことがあるでしょうか。

開催日程が発表された瞬間に宿を予約し、日めくりカレンダーにバツ印を書き込んでは破り捨てる日々を過ごしましたよ、あたしゃ。

 

ま、そんなサマソニの記録、いわゆる『サマソ日記』(10年ぶりくらいにこのフレーズを思い出しました)を綴っていこうかと思います。

ま、みなさんもこの後の予定があるでしょうし、あんまり長くなってもいけないので簡潔に綴っていきましょうね。

 

 

サマソニ初日】

ついに迎えた3年ぶりのサマソニ初日。

起床は例年よりも少し遅めの午前3時。この時点で完全に出遅れております。

超特急でシャワーを浴び、車に荷物を載せて会場である千葉県は幕張へゴー。

 

いやー。夜明け前の首都高を車でかっ飛ばす(法定速度厳守)と「うわー!これからサマソニだー!」ってテンション上がりますね。

みんなも夜明けの首都高を車でかっ飛ばしてサマソニ気分を味わってみてはどうでしょうか。

ちなみに『ピクミン ブルーム』ユーザーのわたくし、テーマパークのピクミンをゲットするべく東京ディズニーランドホテルの横を通り過ぎる際には若干ゆっくりと走ってみましたが、行きも帰りも苗をゲットすることはできませんでした。くやしい。こんなにくやしいことがあるでしょうか。

 

出発から1時間ほどで幕張メッセ駐車場に到着。

着いた瞬間の感動といったらもう! あなた!

駐車スペースに車を停めてサイドブレーキを引くときがサマソニの中で一番興奮する瞬間かもしれんね、ホントに。

あまりにもエモくなったせいか「サマソニ、ただいま」などと寒すぎるツイートをしそうになってしまい、慌てて自分の手からスマホを叩き落としました。

 

 

7時を過ぎた頃、リストバンド交換列に並ぶためにマリンスタジアム前に到着。

コロナの関係で例年よりもチケットの販売数が抑えられているせいか、待機列はこれまでで一番短い印象だったナー。

 

リストバンド待機中にかなり久しくご無沙汰していたホロワーさんに会えたのは嬉しかったー。

“TSUJIDO”とプリントされたイカしたティーシャーツを着てらっしゃったのだけれど、これが「辻堂海浜公園と間違えて幕張海浜公園に来てしまいました」という高度なギャグであることに気付いた人はどれだけいたのだろうか。

こういうことに気付ける人間でいたいと強く思った。

 

サマソニ公式が「入場時には専用アプリの提示が必須やで! ちゃんと“チェックイン”の状態にして持って来るんやで!」と繰り返しアピールしていたので、仰せの通りにして行ったのだけれど、どういうわけが提示が求められることはありませんでした。

可能性としては

 

・チェックイン登録をした人数=来場予定者を知りたかっただけ

・登録していない人が多いことが予想され、いちいち説明しているとリストバンド交換が滞る可能性が高いと判断した

 

のどちらかなのかナーと思っております。

リストバンドの交換開始時刻が若干遅れたので、もしかしたら直前でオペレーションなどに変更があったのかもしれませんね。

ちなみに例年であればチケットは全回収なのだけれど、今年はなぜか半券が戻ってきてビックリ。リストバンドと半券が揃った初めての年になったかもしれん。

 

リストバンドを無事に交換した後は、幕張メッセダッシュ

いきなり移動を余儀なくされるのは、スタジアム出演組とメッセ出演組でアーティストグッズの販売場所が分かれているからなのだけれど、スタジアムでもメッセでも2日通し券のリストバンド交換をやってくれれば解決するのよナー。

前はどちらの会場でも交換できなかったっけ? これは改善して欲しいナー。

 

物販では、The OffspringとFishboneのティーシャーツを購入。

オフスプのDance Fucker Danceティーシャーツは正直普段使いには厳しいやつなのだが、そういう冷静な考え方ができなくなる異様な磁場が物販列にある。

ちなみに<アーティストグッズ異様にダサい問題>については下記のブログで考察しております。暇で暇で仕方がないという方は暇つぶしに是非。

sasayaki-okami.hatenablog.com

 

物販を買うところまでですでに約2,000文字を費やしております。

「簡潔に綴っていきましょうね」なんてどの口が言ったんだ、馬鹿。

いくら自分のための記録という意味も込めて書いているとはいえ、このペースで進んでいくのはなかなかしんどい。

読み始めた方の8割ほどがすでに脱落しているのではないかと推測しております。ここまで読み進めた方はエリートですよ。自慢していいと思う。

 

物販購入という最初の難関を見事にクリアしたわたくし。マリンスタジアム外周でキュウリの浅漬けとビールで乾杯。

このキュウリを食べないとサマソニに来たとは言えません。サマソニ名物。

はい、3年ぶりのサマーソニック、ついにプレイボールであります!

わたくしの中の主審が高らかにそう宣言した。ここから2日間、わたくしがルールブックです。知らんけど。

 

 

最初のバンドを観るためにマリンからメッセへのシャトルバスを使おうと思ったのだけれど、シュッとした感じのお兄さんが寄って来て「バスよりもこっちの車の方がいいですよ!」と猛アピールしてくるではありませんか。

「すわ!サマソニ会場に悪質白タク出現か!」と一瞬警戒したものの、明らかにシャトルバスよりも快適そうな高級車が目の前に停まっており、「まあ、そこまで言うなら…」と乗せていただきましたよ。

いやー。めちゃくちゃ快適だった。車のことはあまり詳しくありませんが、どうやらジャガーに乗せていただいたようです。

来年以降もこのサービスが継続するかどうかは知らんけど、もしもやってたら是非一度お乗りになることをオススメいたします。

 

 

・The Linda Lindas

 

3年ぶりのサマソニ、わたくしはThe Linda Lindasからスタートいたしました。

SNSに投稿された動画で一躍有名になったガールズバンド、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

映画『リンダ リンダ リンダ』がバンド名の由来だという日本とも浅からぬ縁のあるバンドでございます。

 

観る前は「もしかしたら人種とか性別とか年齢とかそういうフィルターを通して聴かないと評価しづらいのかナー」などと思っていたのだけれど、いざ演奏が始まったら全然そんなことなかった。

キュートでポップでロックンロール。ラモーンズだよ! めちゃくちゃ楽しかった。

 

すごく楽しそうに演奏している姿がよかったなー。

“自分が言いたいことを曲にして大声で歌う”っていうのが音楽が持つ大切な機能であることは間違いないのだけれど、それ以前に“音楽って楽しいものだったよね”ということを思い出せてくれたステージだった。

 

最後はブルーハーツのカバー“リンダリンダ”。

わたくしの人生をまるっきり変えてしまった曲が3年ぶりのサマソニで、しかもアメリカ人の若い女の子たちによって演奏されていることに無性に感動して泣いてしまった。

リンダズ、また来日して欲しいなー。

あの場にいた中高年は例外なくメンタルが父兄になっていたと思う。

 

 

・Beabadoobee

 

リンダズの感動冷めやらぬ中、マリンへ移動してBeabadoobeeの途中から入場。

Spotifyのプレミアム会員だけが利用できるボックスシートからのんびりと観させていただきました。(この席、めちゃくちゃ快適だった)

 

2020年の1st『Fake It Flowers』が素晴らしいオルタナアルバムだったので楽しみにしておりましたよ、とても。

まったりした感じのライヴになってしまうのではないかと危惧しておりましたが、ご本人は想像以上に元気なキャラクターでひと安心。

ドリーミーでノイジーで心身ともに気持ちよくなるライヴだったー、

前方エリアでは熱心なファンがずっと腕を振り上げていて、日本にもしっかりとしたファンベースが築かれつつある様子。

単独公演があったらチケットは結構な激戦になりそう。

 

本当なら1stアルバムのモードのうちに観ておきたかったナーとかメッセのステージの方がよかったんじゃないかナーとか言いたいことはあるけれど、間違いなくこれからのシーンで重要な存在になっていくであろう彼女をこのタイミングで観られたのはよかった。

 

 

マキシマム ザ ホルモン

 

お昼休憩を挟んで再びマリンスタジアムへ。

バインミーを食べたのだけれど、行列がとにかく進まなくて完全に心が折れた。

今回のサマソニ2daysで一番つらかったのはバインミーを買い求めるための時間だったと断言いたします。

ひとり当たり7バインミーくらい購入しても楽勝でさばけるくらいバンバンバインミーを量産して欲しかった。

 

まあ、そんな恨み言はさておき、ホルモンですよ、ホルモン。

たぶんだけどホルモンを観るのは前回のサマソニ以来じゃないかナー。つまり3年ぶり。

今回のサマソニでよく見かけたティーシャーツはホルモンとマンウィズが2強だったので、もしかしたら入場規制かかるかも?と思ったけれど、普通にアリーナに入れて安心いたしました。

 

正直に言ってしまえばセトリはわたくし好みではなかったものの、やっぱり名曲“「F」”はテンション上がったナー。

某ドラゴンボゥルの某フリーザ様のことを歌った楽曲で、とにかくギターソロがかっこいい。

“チューチュー ラブリー ムニムニ ムラムラ プリンプリン ボロン ヌルル レロレロ”もわりとライヴで聴けるのは珍しい曲かな。

アルバム『ぶっ生き返す』はホルモンサウンドの完成形だと思っておりますので、同作からの曲が聴けるのは幸せでございます。

最後は“恋のスペルマ”かナーと予想しておりましたが、“恋のメガラバ”の方だったので狂喜乱舞。大騒ぎのフィナーレとなりましたよ、最高。

 

まあ、そんな感じで大層楽しかったのだけれど、サウンドはあまりよくなかったナー。ていうか、ホルモンのライヴを満足なサウンドで観た記憶がほとんどない気がする。

彼らのライヴは結構な回数観ているので、これは観た位置の問題とかではないと思うのよな。あえてああいう音作りにしているのかしら…。まあ、好みの問題なのかもしれん。

 

 

・Fishbone

 

ホルモン終わりでマリンから離脱。

ちょいとビールを補給して向かったのはメッセ内マウンテンステージ。

 

そう、ミクスチャー・ロックの重鎮、Fishboneであります。

正直なところFishboneにはあまり詳しくないマイライフなのですが、彼らの出演が発表されたときからめちゃくちゃ楽しみにしておりました。

だって、演奏激ウマでファンキーでスカパンクで場合によってはメタリックでプログレッシヴなのよ。そんなん期待するしかないじゃない、あなた。

 

いやー。これがマリンステージだったら熱中症患者が続出したのではないかと空恐ろしくなるようなエネルギッシュな演奏。

粒立ちがすごすぎるベースを聴いているだけでもう気持ちよくなってくるやつですよ、奥さん。

ひたすらに観客を煽り躍らせまくるフロントマンのアンジェロのライヴ運びはまさに百戦錬磨。最強のライヴアクト。

 

ていうかアレですね。あまりにもライヴが熱すぎて、「これはコロナ禍に観るバンドちゃうやろー! 惚れてまうやろー!」と叫びました、心の中で。

これはぐっちゃぐちゃのフロアでぐっちゃぐちゃの汗まみれ&ビールまみれになりながら踊り狂って、ぐっちゃぐちゃの天パで帰りの電車に乗りたいやつよ。

それまでしっかり予習しておくので、コロナ禍 is overになったらまた来て欲しい。よろしく哀愁です。

 

 

ザ・クロマニヨンズ

 

Fishboneの熱演の後に登場するのは、日本が誇るロックンロールレジェンド、ヒロトマーシー率いるザ・クロマニヨンズ

その出演がアナウンスされた瞬間、彼らのステージは絶対に観なければならないと心に誓いました。そしてその誓いを果たすためにマウンテンステージに来ました。

今後はわたくしを有言実行の男と呼んで欲しい。よろしく哀愁です。

 

The Linda Lindasのところでも少し触れましたが、ザ・ブルーハーツに出会ったことで人生が変わったわたくし。マイライフにおける最大の影響源と断言しても過言ではございません。

ヒロトマーシーがいなかったら今頃こうして息をしていたかどうかも怪しいところ。本当にブルーハーツ漬けの青春を送りましたよ、あたしゃ。

 

ブルーハーツ解散後、↑THE HIGH-LOWS↓ザ・クロマニヨンズについてはそれほど熱心には追っていなかったものの、ヒロトマーシーへの尊敬の念はまったく薄れることなく今に至っております。

ハイロウズの“十四才”とかすごい曲よな。大好き。

 

などとブルーハーツ好き、ヒロトマーシー好きをアピールしているわたくしですが、実はこれまで彼らを生で観た経験がございません。

このウン十年、それこそ観る機会なんていくらでもあったはずなのに、どういうわけか一度もライヴに足を運ぶことなく今日まで過ごしてきてしまいました。

神様すぎて逆に恐れ多いというか、「ここまで来たら逆に一生観ないのもアリ」という気持ちがあったりなかったり。そんな気持ちわかるでしょう。

 

まあ、そんな自分語りはさておき、ザ・クロマニヨンズですよ。

知ってる曲は“タリホー”くらいしかなかったけれど、安定のヒロト節&マーシー節が次から次へと繰り出されて、どの曲を聴いても「わー!ヒロトっぽい!」「わー!マーシーっぽい!」と感動しっぱなしでした。

ヒロトのマッチ棒みたいなシルエットもマーシーのバンダナも健在で、あの頃にタイムスリップしたみたいだったナー。

間違いなくレジェンド級アーティストなのに、なんか“こちら側の人”みたいに感じてしまうのは何故なんだろうか。それがパンクスピリットというやつなのかもしれませんね。

 

ヒロトの「サマーソニックは80年ぶりの開催で…(前回は)まだ生まれてないからよくわからないけど、こんなに良いイベントなら毎年やってもらいたいよね。みんなも長生きして毎年来るといいよ」という朴訥とした謎MCもよかったな。

よくわからないけど泣けてしまったよね。

 

クロマニヨンズは何枚か持ってるけど、ちゃんと全部聴き込んでツアー行きましょうかね。またあのふたりに会いに行きたいナー。チケット取れるかしら。

クロマニヨンズのチケット事情に詳しい方がいらっしゃったら色々と教えていただけるとマイプレジャーです。

 

The Offspring



 

さあ、本日のメインイベントがやってまいりました。

ポジション的には“トリ前”なのだけれど、わたくしにとっては今日一番…いや、2日間を通して最大のお楽しみであります。

 

アメリカンパンクの雄、The Offspringでございます。オフスプですよ、オフスプ。

彼らの出演を知った時から「裏かぶりが誰であろうとオフスプで燃え尽きる」と

心に誓いました。そしてその誓いを果たすためにマウンテンステージに来ました。

今後はわたくしを有言実行の男と呼んで欲しい。よろしく哀愁です。

 

オフスプのライヴは鉄板で盛り上がるだけに、逆に前方エリアで観てしまうと今のご時世的にマズいかナーなどと危惧しつつも、ふと気が付けばわりとステージ近くまで接近しておりました。

わたくしの横にはいつの間にかノーマスクの外国人グループがいて、みんなでキャッキャしてるし、もしかしたらこれは思った以上にマズいのでは…

 

と思ったところで場内暗転。

出囃子が鳴り響き、バンドメンバーが次々とステージへ登場。

デクスター(Vo, Gt)の「OK!!!」というセリフから雪崩れ込むのは

 

ヤーヤーヤーヤーヤー!

 

名盤『Ixnay on the Hombre』(1997年)収録のキラーチューン“All I Want”でございます。はいっ!オフスプ優勝!

後方から押し寄せる人々の圧を数年ぶりに感じました。めちゃ楽しいけど、ご時世的にはマズいやつかもしれませんね、コレ。

 

デクスターのアカペラから始まるアレンジの“Want You Bad”などそこからもうキラーチューンのマシンガン打線

昨年リリースの最新アルバムのタイトルトラックで、コロナ禍について歌った“Let the Bad Times Roll”も素晴らしかった。これは今の時代に最高に刺さる曲なのでは。

 

日本だけで何故かウケる曲(バンド談)“One Fine Day”はもちろん、他の国では馬鹿ウケなのに日本では全然ウケない曲(バンド談)“Self Esteem”がどちらも聴けたのは嬉しかったナー。

“Self Esteem”は始まった瞬間から大騒ぎだったので、もう日本ではウケない曲という汚名は返上できたのでは。

 

Twitterなどで話題の声出しだけれど、これは正直ありましたね。

“All I Want”の「ヤーヤーヤーヤーヤー」の時点ですでに合唱に近い勢いで盛り上がってたし、ヌードルズ(Gt)の「Fuck yeah!!!」コール&レスポンスも大盛り上がりだった。

バンドメンバーは“声出しNG”ルールについては把握していたようで、コール&レスポンス中にヌードルズも「You guys are rulebreakers」みたいなことを言って笑ってた。

 

ちなみにサマソニ後のバンド公式Twitterの投稿では

 

 

サマソニに戻って来れて嬉しいよ! 君たちが一緒に歌うことができなかったとはいえ、それでも君たちの素晴らしいエナジーを感じることができたよ!)

 

などと白々しいことが綴られておりました。大阪でも同じような感じだったんだろうか。

オフスプをぐちゃぐちゃになって観てから1週間。わたくしは幸いなことに感染しなかった(と思う)のだけれど、あの状況に不安を感じた人も少なからずいるのではないかな…。

早くコロナ禍が過ぎ去って、誰もが不安を感じることなくライヴ会場に足を運べる日がくることを祈るばかりです。

 

初日は予定通りオフスプで燃え尽き。

最後にちょっとビーチに寄ったけれど、疲労困憊のため花火だけ見て退散。

雨も強くなってきたし、翌日のことを考えたらそれが正解なんだと思った。

 

 

【余談】

サマソニに出演したアーティストが声出しの是非について発言したことが話題になっておりますね。

わたくしはそのステージを観ていないのだけれど、報道などで見聞きする限りでは

 

・前のステージに登場した海外アーティストの時点でめちゃくちゃ声出しがあった。もういくら声出ししたって関係ない。

・今年の夏フェスは出禁になる出演している。

・怒られたら自分が謝るから声出しをしてもいい。

 

という意味の発言があったとのこと。

この発言をしたアーティストの真意はわからないけれど、仮に自分が出演側だとして、事前に説明されたルールを厳守するつもりで会場に足を運んでいたとしたら、めちゃくちゃ腹が立つと思う。

「えっ。決められたルールが全然守られてないやん」って。

 

ただ、そこで「他のアーティストも破ってるからもうルールを守らなくてもいいよね」に持っていくのは違うナーとは思う。

「声出しNG」というルールに納得して出演を承諾したのであれば、まずは主催者側に「事前に説明されたルールが守られていない。主催者としてこの状況を容認するのか、しないのか」の説明を求めるべきだったのでは。

その上でルールを守る or 破るを表明した方が、まだ筋は通っていたかな、と。

超人気アーティストの出禁上等宣言というのも、本人がそのつもりがあるかどうかは別として、「俺たちが出ないと困るでしょ?」という強気が透けて見えてしまって、なんか嫌な感じがするし。

 

いずれにせよ、コロナ関連のルール破りっていうのは、モッシュやダイヴと違ってライヴ会場だけで完結する話ではないので難しいですよね。

みんなライヴが終われば日常生活に戻っていくわけで、ライヴ会場が感染拡大の場となってしまうのは避けたいことの筆頭だと思いますよ、あたしゃ。

いきなり電車の中でクラウドサーフをキメたら単なる狂人として警察官に連れて行かれるだけだけど、ライヴ会場で感染拡大ってことになると“コンサートが感染拡大の一因になっている”と業界全体の話として扱われるようになるのは必至。

将来的なことを考えれば、あとしばらくは我慢の時期として楽しみ方を少しセーブしないといけないのかな、と個人的には考えております。

 

まあ、色々と問題点もあったけれど、サマーソニック初日はめちゃくちゃ楽しかった。

特にコロナ禍に音楽を好きになった人にとっては、今回のサマソニが大型フェスを体験する初めての機会になったかもしれないし、(声出しの是非は別として)めちゃくちゃ盛り上がっていたので、海外アーティストやマネジメントに対して「日本のマーケットはまだまだ死んでないぞ!」という大きなアピールになったのではないかナーと思っております。

 

というわけで初日の日記はこれにて終了。

本当は2日間合計でこのくらいの分量になるはずだったのだけれど…。世の中上手くいかないものですね。

 

 

 

ゆくガンズくるガンズ - 2007年日本ツアーの思い出

  。

 

書き出しのアイデアがどうしても浮かばず、縦書きにするというコペルニクス的転回で対応してみました。かしこい。

読点の位置が変になってしまったので今後はもうやりません。

 

ていうか、アレですね。

ついに発売になりましたね。

なにが。

Guns N' Rosesのチケットが。

 

みなさん買えましたか。

わたくしは買えました。

なにを。

Guns N' Rosesのチケットを。

 

いやー。めちゃくちゃ緊張しました。

初日に売り切れるわけがないとは頭では理解しているものの、今後の人生を左右する大イベントくらいのテンションで臨んでしまったのはわたくしだけではないでしょう。

Twitterにも書きましたが、わたくしのガンズ仲間のひとりはパソコンでの購入動作を少しでもスムーズにしたい一心でマウスを新調。

完全にeスポーツの選手なのよ、メンタルが。こわい。

 

万が一にも買いそびれてはいけないと思い、発売時刻の5分前にアラームをかけていたのだけれど、発売5分前なんて緊張の極致だからそのアラームの音に驚愕して心臓がおかしくなりましたよ。

危うくイープラスの画面を開いたまま召されるところでした。

心臓に優しいアラーム音の開発が待たれる。歌手の中森明菜さんの喋り声みたいな感じの。

 

 

えー。そろそろ本題に移りましょう。

前回からガンズ来日公演の思い出を語っております当ブログ。

わたくしが初めてガンズを観た2002年のSUMMER SONICについて思い出すがままに書き殴らせていただきました。

今回はその第2弾、2007年の日本ツアーの思い出を語っていきたいと思います。

例によって資料などは確認いたしませんので、記憶違いなどがあってもご容赦くださいませ。

 

 

 

【2007年】

人生で初めてガンズを観たSUMMER SONICから約5年。

2007年4月にガンズの再来日が決定した日のことは、どういうわけかまったく記憶にございません。

その当時はSNSといえばmixiくらいしか存在しておらず、いわゆる“ネット上の知り合い”と喜び合ったという記憶も皆無。

たぶんめちゃくちゃ喜んだとは思うのだけれど、なんせ15年前の話なので記憶に残っておりません。

 

1993年以来の単独公演となる日本ツアーは東名阪を回る全5公演。

チケットはもちろんのこと、ホテルと新幹線も確保して全通する構えは万全でした。

しかし、すんなりと物事が運ばないのが当時のガンズ。

日本ツアー開幕の数日前(2日前とかだったかもしれない…)、ガンズ来日中止の噂が…。

 

不穏な噂の真偽を確かめるべく、招聘元のCreativemanのテレホンサービス(最新の公演情報などが聞けるのだと思う)みたいなところに電話したのをよく覚えてる。

そのときは物凄く歯切れの悪い口調で「ステージ設備の都合上」と説明されていて、ちょっと納得いかない感じがすごかった。

ただ、「あ。ガンズが来ないのはホントなんだな」とめちゃくちゃ悲しかったナー。

直前のキャンセルにも関わらずホテルのキャンセル料を支払った記憶が無いので、たぶん「こいつから徴収するのは忍びねえな」と同情させてしまうくらい意気消沈した声で連絡を入れたんだと思う。

 

バンド側からの公式発表によれば、来日中止の理由はベーシストのトミー・スティンソンが手を負傷したことによるもの。

それを聞いたとき、「ステージ設備の都合上はどこ行ったんだよ!」と思ったよね。

まあ、唯一の救いは「中止ではなく延期。バンドは7月以降に振替公演を希望している」というニュースを聞けたこと。

 

その説明通り、ガンズは7月に振り替えとなる日本ツアーを敢行。

大阪公演は2公演から1公演に縮小されたものの、追加公演となる日本武道館を含む全5公演をきっちり完走してくれました。

幕張、幕張、名古屋、武道館、大阪という流れだったのだけれど、名古屋から東京に戻って来て、そこから大阪へ移動するのがつらかったナー。

名古屋公演の翌日が武道館だったので、ゆっくり観光する時間がなかったのも悲しい。

 

 

日本ツアー初日は7月14日の幕張メッセ公演。

この日は台風直撃で、それはもうとんでもない暴風雨でございました。

幕張まで車で向かったのだけれど、ワイパーを全開にしても前がほとんど見えないくらいの雨。わたくしの人生はレインボーブリッジで終わるのかもしれないと本気で思った。

 

この日は整理番号がイマイチだったのだけれど、アリーナ前方のそれなりにいいポジションを確保してアクセルの登場待機。

いやー。アクセル待ちがとにかく長かった。

コロナ禍のライヴを考えると、あんな人口密度のなかで何時間もよく待てたもんだナーと感心いたします。

 

待ちに待った末、場内暗転。後方から押し寄せる人の波。悲鳴。

ふと気が付けば、ずっと待っていたアクセルではなく、目の前で“Welocome To The Jungle”のイントロを弾いているロビン・フィンクの名前を絶叫していた。

自分でもなんであんなに「ロビン! ロビン!」って叫んでいたのかわからないし、周囲の目には熱狂的なロビンファンに映っていたであろう。

今にして思えば、ロビンはガンズメンバーとしてはこれが最後の来日。思いきり叫んでおいてよかったのかもしれない。

 

ギターソロタイムでは“君が代”やX JAPANの“ENDLESS RAIN”などご当地ソングも披露され、「わー!こういうのも演ってくれるのか!」と感激。

出す出す詐欺を繰り返していたアルバム『Chinese Democracy』からも数曲が演奏されたけれど、リーク音源まで追っていないお客さんの反応はイマイチだったなー。

盛り上がるごく一部のファンの様子を見て、アクセルが「この国にもDownload-Motherfuckersがいるようだな」とか言って笑っておりましたね。

 

最大のサプライズは最後の最後にやってきました。

ガンズライヴ不動のラスト曲“Paradise City”が終わり、場内は完全に大団円の空気。

客電も点いて、観客が出口に向かい始めたとき、ギタリストのロン・サールが再び登場したではありませんか。

まさかのダブルアンコールに客席は騒然。

これまでガンズのライヴでこのような演出がおこなわれた話は聞いたことがなく、わたくしの頭の中にも「???」が渦巻いておりました。

 

ロンが弾き始めたのは名バラード“Don't Cry”。

ガンズとしては1993年のツアーを最後に長らく演奏していなかった楽曲で、2006年あたりからロンが自身のソロタイムでインストバージョンを披露するようになっていました。

いや、嬉しいけど、これをやるためにわざわざ戻ってきたん…?

 

若干の蛇足感を覚えつつも、初めて生で聴く“Don't Cry”のイントロに酔いしれていると…

アクセル登場! そして歌い出した!

えっ。なにこの大サービス。14年ぶりの“Don't Cry”復活の生き証人になってるの、わたくし。

“Paradise City”終わりで帰っちゃった人がいたら気の毒すぎる。

 

終演後は海外のガンズサイトも大騒ぎ。

「日本だけいつも優遇されていてずるい!」という声も結構多かった。(東京ドームの公式ライヴビデオ、『Live Era』のボーナストラックなどのことだと思われる)

ていうか、“Don't Cry”がレア曲…いや、封印されていた時期があるなんて今から考えるとすごく不思議だナー。

ちなみに次の日からは普通にセットリスト入りしておりました。

たぶん、アクセルはずっと“Don't Cry”歌いたかったんだと思う。良い曲よな。

 

ライヴが終わった後、幕張メッセの2階通路からアクセルが顔を出してくれたのは初日だったっけな。

「あ。めちゃくちゃ機嫌ええやないの」と嬉しくなったのをよく覚えてる。

“Mr.Brownstone”で死ぬほど盛り上がってる観客を観て「What a crowd!!(なんちゅーやつらやねん!)」って言ってくれたのも初日だったかな。

よい手ごたえがあったんでしょう、きっと。

 

 

台風が去った翌15日の公演は、整理番号がよかったので念願の最前列。

ガンズを最前列で観られるなんて想像もしていなかったので、最前の柵を掴んだときは幸せすぎて死ぬかと思った。

まあ、2017年のツアーでは金の力で その後も何度か最前列をゲットする幸運に恵まれたけれど、嬉しさで言えばこの日がダントツかもしれん。

 

で、この日もとにかくアクセル待ち。

日曜日の公演ということもあって開演時刻が前日よりも早く設定されていたのだけれど、アクセルが登場したのは前日と同じ時間だった。

つまり、開演時刻が早まった分だけ長く待たされたことになりますね…。

 

あまりにもバンドが出てこないので、途中でクリマンの社員さんがステージに登場して状況説明してたもんなー。あれは気の毒だった。

そして、それ以上に気の毒だったのがオープニングアクトに抜擢されたMUCC

2007年の日本ツアーを語るうえでMUCCの存在を避けて通るわけにはいかないでしょう。

 

 

MUCCと書いてムックと読むMUCCですよ。ムックね。

今やキャリア20年以上を誇る大御所V系バンドでございます。

ウィキペイディアンによると1997年結成とのことなので、2007年時点でちょうど10年選手の仲間入りを果たしたことになります。

ポジションとしては中堅どころと言ったところでしょうか。

 

まあ、オープニングアクトの出演が発表された時点では、「前座はいらない」という意見がわりと多かったように記憶しております。

わたくしも不要派のひとりで、それはMUCCがどうこうと言うわけではなく、ガンズファンとして「1秒でも早くガンズが観たい」という思いによるもの。

正直なところ、どの日本のバンドを起用したところで反対意見は出ただろうし、セバスチャン・バックでも連れてこない限りは肯定派が多数になることはなかった気もいたします。

 

 

わたくしの記憶によれば、初日は特に問題無くオープニングアクトを務めあげたんですよ。

別にウケていたわけではないけれど、ブーイングや野次などが飛んだ記憶はない。

問題は2日目。

 

この日はどういうわけか血の気の多いお客さんが多かったようで、「ガチャピーン!」という明らかに小馬鹿にした野次はまだマシな方で、ここではちょっと書きたくないような罵声が飛び交う事態に。

しかも、MUCCにとって不運だったのは、この日は前日にさらに輪をかけてアクセル待ちタイムが長くなることが見込まれていたようで、セットを急遽延長しなくてはならなくなったこと。

 

おそらく延長が打診されたのは彼らの出番の最中だったと思われ、メンバー全員がステージ上で緊急ミーティングをおこなうという見慣れない光景が。

出演時間を延長することが決定し、ヴォーカルの逹瑯が「BGM代わりにもう少しお付き合いくださいっ!」と言ったときに場内を埋め尽くした「えー!」という悲鳴、そして罵声。あれは忘れられないし、心底気の毒だと思った。

「親御さんが晴れ舞台を観に来てたらどうすんだよ!」って心配になったよね。

 

好きなバンドにあんなリアクションされたらMUCCファンも悲しいだろうし、ガンズのことも嫌いになるよね、絶対。

わたくしも「あ。ガンズファンにこんな心が狭い連中がいるのか…」と悲しくなったんだ村です。

そんなMUCCファンのお姉さんたち(ムッカーとお呼びするんですか?)は全5公演、どこの会場でも最前列で首がもげそうな勢いで頭を振っていて、それを見ながら「MUCCとムッカーのお姉さん(の首)がんばれー!」と心のなかで応援しておりました。

 

ちなみにこのときに演奏されていた“悲しい話”という楽曲が非常に気に入りまして、同曲が収録されている『フライト』のシングル盤を買ったのがわたくしです。

あんな名曲がカップリング曲だなんて! 全盛期のオアシスか!

 

あまりにも壮絶な体験をしたMUCC

後年、「バンドの歴史で一番の試練がガンズの前座だった」みたいなことを語ってるインタビューを読んで、「あのときは申し訳ございませんでした!」ってなりましたよ。

でもね、『Chinese Democracy』のサンクスリストにバンド名が載っているのは本当に勲章だと思う。その節は本当にありがとうございました。

 

思った以上にMUCCの話が長くなってしまいました。

まあ、念願の最前列を含む幕張2公演が大満足のうちに終了。

ここからは人生初のおっかけ旅に突入するわけです。

 

 

名古屋公演は日本ツアーで唯一の座席指定。

最前列ではなかったものの、わりと前方の席だったと記憶しております。

駅から会場に向かう途中、ものすごい土砂降りだったのも覚えてるナー。

 

この日最大のサプライズは開演前…いや、それどころか会場入り前にやってきました。

雨のなか会場まで歩いていると、前方にVelvet Revolverティーシャーツを着ている男性を発見。

わたくしは思わず身震いいたしました。

 

当時、ロック界随一の犬猿の仲だったアクセルとスラッシュ。

嘘か誠か、“スラッシュのティーシャーツを着たファンがガンズのライヴで入場を拒否された”などという噂が飛び交っておりました。

アクセルがそれを目にしたらライヴを放棄する可能性がある、というのがその理由だったかと思います。

Velvet Revolver…いや、ヴェルヴェット・リヴォルヴァー(片仮名で書きたいバンド名第一位)はスラッシュとダフ・マッケイガンの元ガンズ組が結成したスーバーヴァンド。

 

前述の理屈に当てはめれば、ヴェルヴェット・リヴォルヴァーティーシャーツがアクセルの目に触れるのは非常にヤヴァイことだと言えるでしょう。

そんな危険なティーシャーツを着た男性はガンズのライヴ会場に入ることができるのか?

噂の真偽を確かめるべく、男性の尾行を開始しました。

 

大雨のなか、すこしずつ会場へと近付いていく男性(とわたくし)。

もしも注意されるとしたら、チケットを提示するタイミングなのかナー。

などと考えていたとき、会場入口よりも数十メートル手前の時点で会場スタッフが小走りに男性のもとへ駆け寄ってくるではありませんか。

会話の内容はあまり聞き取れなかったものの、男性がうわずったような声で「着替えます! 着替えます!」と連呼しているのが確認できました。

 

 

 

【結論】

噂はガチ

 

 

 

いやー。非常によいものを見させていただきました。

あの男性は物販でガンズティーシャーツを買って入場したのでしょうか…。

ていうか、アクセルへの気の遣い方が半端じゃない。

この時期はまだ“キレどころがわからない暴君”ってイメージだもんナー。

関係者のみなさまの気苦労を想像すると泣けてくるわ。

 

演奏内容やセトリに特筆すべきことはなかった名古屋でしたが、“Out Ta Get Me”

の演奏中にとなりの席のお兄さんが「新曲…?」と呟いていたのはよく覚えております。

そんなに影の薄い曲かね、これ…。

 

 

名古屋で1泊し、翌朝の新幹線に飛び乗って東京へ。

日本ツアー4公演目の地は、追加公演として発表された日本武道館でございます。

ガンズとしては1988年の初来日以来の日本武道館。初来日(わたくしは観ておりませんが)のときも追加公演だったんですよね、武道館は。

 

幸運なことに武道館でも最前列をゲット。人生2度目のガンズ最前。

この日はゲストの出演が予告されていて、ファンは「イジーに違いない」「いや、無難にセバスチャン・バックあたりだろう」と予想合戦を繰り広げておりました。

 

ライヴが終盤に差し掛かったこと、ついにその瞬間がやってきました。

アクセルに呼び込まれてステージに登場したのは……

 

 

 

すみません。どなたですか…?

 

 

 

アコースティックギターを抱えた眼鏡の男性の正体は、アクセルが気に入って観ていたというカナダのTVドラマ『トレイラーパークボーイズ』の登場人物・バブルス。

まあ、日本ではまったく無名すぎてお世辞の「わー!」もなかったよね…。

“Liquor & Whores”という楽曲を披露してくれたのだけれど、「アクセルが楽しそうだからいいか…」という感想しか出てこなかった。

バブルス氏もよく日本まで1曲だけのために来たよね、よく考えたら。

 

そういえばこの日はカメラが複数台入って撮影をしていたと記憶しております。

それがどこかで使われたという記憶もないので完全にお蔵入りなんだろうナー。

余談だけれど、ドラマーのフランク・フェラーは武道館にちなんでCheap Trickのバン・E・カルロスのコスプレで演奏しておりましたね。

もしも同公演のDVDが発売されることがあれば(ないと思うけど)フランクの衣装にもご注目を。

 

 

ツアー最終日は大阪公演。インテックス大阪陸の孤島でした。

チケットの売れ行きの関係だったのか、大阪は2公演から1公演へ縮小されてしまって気の毒だったナー。

この時期のガンズは曲間にジャムセッションを繰り広げることが多かったのだけれど、この大阪公演でのジャムは「もしかしたら新曲なのではないか」と海外ファンが推測するほど完成度が高い演奏を聴かせております。

興味のある方は西新宿のブー 「どんな演奏だったのかなあ」と想像してみてください。

 

2007年日本ツアーで唯一“Rocket Queen”が聴けたのが大阪公演。

今の基準で考えると、“Rocket Queen”もレア曲枠だったのは本当に不思議な感じがいたします。

めちゃくちゃ踊れるガンズ曲といえば“Rocket Queen”。これからもセトリの定番として演奏し続けていただきたい村です。

 

いやー。大阪はライヴもさることながら観光が楽しすぎたことの方が印象に残っておりますよ、あたしゃ。

たこ焼きをせんべいで挟んだ“たこせん”の美味しさを初めて知ったのもこのとき。

巷では“ヤク1000”なる商品が大人気ですが、わたくしの心のなかでは“たこせん”の圧勝です。

たこせんレディに毎日配達に来て欲しいくらいです。よろしくお願いします。

 

 

ていうか、ガンズの思い出を語るの、めちゃ長くなりすぎる傾向にありませんか、わたくし。うざくね?

次回は2009年のお話をいたしましょう。

2公演だけなのでそれほど長い話にはならないはず、たぶん。ねえ。